94 名前: 371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg [sage] 投稿日: 2007/09/08(土) 20:54:10

注意
今回のお話には直接的な性描写は一切ございません。

ないんだってば。




「あぁ、これがお姉様の…………んむ」

 そのまま翼を口元まで運んで……その先端を、口に含んだ。

「ん……あむ、んっ……ちゅ、ちゅっ……っはぁ、んんっく……」

 翼の端を唇で咥えながら、口を動かす。
 断続的に、唇から漏れ出る吐息が、口の中で何か行われているのを表していた。
 信じられない……この子、私の翼を、食べてるの!?

「んっ……んっ……んっ……ふぅ、あぁ……む、ん、んんっ……」

 雪華綺晶はそのまましばらく口を動かしていたけど、次第にその口の動きが変わってきた。
 口に含んでいた翼を一旦開放し、外の空気に晒したまま、長く突き出した舌をそっと近付ける。
 そして、私に見せ付けるように、ゆっくりと下から上へ……舐(ねぶ)り上げた。

「うっ……」

 気持ち悪い。
 自分の身体の一部が、知らない誰かにいいように扱われて……あまつさえ、舌で舐られている。
 その生理的嫌悪感に、私の身体は無意識のうちに震えていた。
 思わず目の前の光景から目を逸らす。
 でも……。

「れろっ……んっふ、れろ、れろぉっ……ん、くちゅ……ぅうっ」

 視界から消しても、音が……雪華綺晶の口元から漏れ出る音が、私の耳に纏わりつく。
 耳を塞ごうにも、両腕は茨で自由を奪われている。
 むしろ、見えていない分だけ、聴覚から伝わってくる情報がダイレクトに私の脳を侵食していく。

「はぁ、はぁ、んっちゅ……ちゅる、んっ……はぁ、あぁん……ぺちゅ、ぢゅっ」

 しかもおぞましいことに、その音が……最初はかさついた音だったのに、だんだんと水っぽく、粘ついたものへと変わっていく。
 とうとう、見えないことに耐え切れなくなって、ゆっくりと首を戻した。
 すると……。

「ぢゅ、ぢゅるるっ、んぐっ…………ぷはぁ、はぁ、あむっ……ぢゅぢゅるぅっ……」

 既に翼は再び口に含まれて……いや、もはや頬張る、と言ったほうが正しかった。
 今や翼は、その半分ほどが雪華綺晶の口の中に押し込まれていた。
 翼を頬張る雪華綺晶は明らかに……興奮していた。
 頬は上気して紅く染まり。
 指は間断なく私の翼を撫で擦り。
 舌はまるで別の生き物のように動いて蹂躙し。
 とろんと蕩けた瞳は、時折私と目を合わせてうっとりと笑う。
 咥えるから齧るへ、齧るから舐るへ、舐るから啜るへ、啜るから咀嚼へ。
 誰も止めることのないその遊戯は、どんどんエスカレートしていく。

「んちゅ、ぢゅ、ぢゅる、んむ……っは、んふ……ぢゅじゅる、じゅるるっ……」

 口一杯に頬張りながら私の翼を咀嚼していく雪華綺晶。
 もはや私の翼は、雪華綺晶の垂らした涎にすっかりまみれていた。
 根元から翼の先まで、粘質の液体で包まれたソレは、闇の中でてらてらと光沢を放っていて……それを一心不乱にしゃぶる雪華綺晶とあいまって、ひどく不気味だった。
 そして、いつまでも続くのかと思ったその遊戯も、とうとう終焉を迎えた。
 緩慢だった雪華綺晶の動きが徐々に早くなり、水音の間隔も短くなる。
 そして一層激しく頭を動かすと、唇できつく扱き始めた。

「じゅる、じゅるるっ。んっ、んっ、んっ、んっ――――っっっ!!」

 びくん、と。
 雪華綺晶は最後に全ての動きを止め、大きく全身を痙攣させた。
 喉を仰け反らせて、瞳は虚空を彷徨っているその姿は、どう控えめに見ても絶頂に上り詰めたとしか思えなかった。

95 名前: 371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg [sage] 投稿日: 2007/09/08(土) 20:55:02


「……ぁ……はぁ……ん……」

 雪華綺晶はしばらくそのまま硬直していたが、やがてゆっくりと身体を弛緩させた。
 最後に名残惜しそうに一度、二度と甘噛みすると、ようやく翼から口を離す。

「ん……はっ、んぐぅ……じゅ、じゅるっ……っぷはぁ……。
 はぁ、これが、お姉様のお味、なのですね……」

 うっとりと夢見るような口調で言ったあと、雪華綺晶は、改めて私に向き直った。

「すっかり堪能してしまいました。
 もしよろしければ、コレ、お返ししましょうか?
 お姉様?」

 そう言って、涎でべとべとになった翼を差し出してみせる。
 なんて、屈辱。
 この子、私の翼を散々汚しておいて……そして、私が縛られて手を伸ばせないことを知ってて、こんな仕打ちを……!!

「許さない……絶対、絶対に許さない……っ!!
 壊してやる……壊してやる、壊してやる、壊してやるっ!!
 ズタズタの、グシャグシャの、バラッバラの、ジャンクにしてやるんだからっ!!」

 けれど、動かせない手足では、その言葉が実現させることは出来ない。
 ガシガシと手足を揺するが、茨の鎖は少しも解ける気配がない。
 代わりに、思いきり殺意を込めた視線を叩きつけてやる。
 でも、真紅にすら向けた事が無いほどの殺意を向けたというのに、雪華綺晶は何を勘違いしたのか、うっとりと瞳を潤ませた。

「あぁ……怒っている姿もお美しいのですね、お姉様。
 でも安心してください。
 私、お姉様を殺すつもりなんて、ありませんから」

「ふざけないでっ!!
 私の翼を奪っておいて、よくも……!!」

「いえ、本当の本当ですよ?
 だって、お姉様は、大事な大事な……」


α:「生贄、ですから」
β:「人質、ですから」
γ:「手駒、ですから」

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最終更新:2007年09月11日 08:36