169 名前: 夢のタッグトーナメント・型月編 ◆QWcajfuhO. [sage] 投稿日: 2007/09/11(火) 17:31:11

――Interlude side Red Satan


「――で、用件って何? できれば手短にお願いしたい所ですけど」

私には一生縁がない大きな屋敷。何故か照明が付いてない。その中に、私とレヴィアは髪の長い女に誘われて来た。…この殺気、仲良くお茶会、という雰囲気ではないようだ。

「慌てないで。まずは自己紹介が先でしょう? ―――初めまして、私の名前は遠野秋葉。趣味は弱い者をいじめることですわ。非常に短い付き合いになるでしょうが、よろしくお願いします」
「……私は浅上藤乃。特に趣味はありません。よろしく」
「遠坂凛。別に他に紹介する程のことなどないわよ」
「ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトですわ。エーデルフェルト家の現当主、そして趣味はプロレスでしてよ。こちらこそよろしくお願いいたします」

 自己紹介は済んだ。彼女らを見据える。大体察しは付くが、用件とは何だ?
 レヴィアは藤乃を、私は秋葉を睨み―――お互いの重圧に空間が歪みながら…今にも闘いが始まろうとする寸前に、秋葉とかいう女の口が開いた。

「いえ、ね。近々開催されるタッグトーナメントの件なのですが。生憎私勝つためなら必要以上の努力をする性分でして。で、弱小チームさんには早々に消えていただくのが道理でしょう? 手荒な真似は好みません。ここで楽しく呆気なく消えてくださりません?」

 ……驚いた。この女いつの間に私達の情報を仕入れたのだろう。
 私だって勝利至上主義者だ。魔術師は己の悲願を大成するために手段を選ばない。勿論、敵にこちらの情報が知られるような、下らないミスなど犯さなかったはずだったが…。
 返事の代わりに女を睨み返す。愚問をよこしてきた侮蔑も含めて。女はニタリと口を歪ませた後、如何程の手段を用いたのか、黒い髪を朱色に変化させる。交渉、決裂。同時にそれは戦闘開始のゴングとなった。私は秋葉と、ルヴィアは藤乃と自然に相対する。

「お互い相手は決まっているようですね。……ご安心を。殺しなどいたしません。ただ入院期間の長短までは保障しかねますが」
「上等。返り討ちにしてあげるわ」
「…もう終わってましてよ」

 相手の言葉に頭の中で「?」マークが浮かび…
 ――――直後、左腕に何かが巻きついた感触。次いで急激に冷えていく体温。慌てて横に飛び去るが、異変が起きた左手は動けない。驚愕のあまり、相手を見つめる。まさかこれは…。

「ぐっ、ちょ、超能力者!? は、反則よアナタ……。理の破錠者、しかも相当強力なものと見たわ。ど、どう戦えっていうのよ…」
「超能力、とは少し違いますが、まあ似たようなものでしょうね。さ、苦しまないように手加減しますから、眠っていてくださいまし」
「くっ!」


――Interlude out.

170 名前: 夢のタッグトーナメント・型月編 ◆QWcajfuhO. [sage] 投稿日: 2007/09/11(火) 17:31:57

――Interlude side Drill Princess


「せりゃあーーっ!!」

 会心の放射線を描き、必殺のバックドロップが炸裂する。下はタイル張りの、要は硬い地面だ。普通は即死。普通はやらない。私はそれほど冷血に徹しきれない。
 …でも、ならば何故それをやっているかというと――――効いてないからだ。普通は即死するほどの、普通はまずやらないほどの攻撃をしているというのに、このフジノとかいう女はまるで痛がる素振りを見せない。
 外見はただの変哲のない女の子だ。最初は手加減して、出来る限り外傷の残らない技をかけていたのだが、何も反応を見せない。息が苦しかろうとも、腱が伸びようとも、フジノは何も感じない。攻撃も徐々にエスカレートし、その内頭は割れ、骨は折れ、フジノは血まみれになった。無我夢中に技をかけまくった。それでもフジノは痛がらない。穏やかな顔を崩さない。
 背中と額から雨のように汗が流れ落ちてくる。直感する。一方的に攻めているハズの私は、この少女に追い詰められているのだ。
 恐怖が脳裏に満たされる。私は…フジノが怖い…。

「―――もういいでしょう?」
「…!」
「も、もう気は済みましたでしょう? 貴女では私を倒せない。わ、私が貴女を殺しちゃう前に、パートナーを連れて逃げてください…。私は、人を、殺したくない…」

 顔面血まみれでも穏やかに立つそのさまは、まるでホラー映画に出てくるクリーチャーか何かだ。それでも焦点の定まらない瞳がそのダメージの深刻さを物語っている。それによく見れば指先が微かに震えているではないか。

「……それはこちらの台詞ですわ。このまま戦えば貴女は死にます。やせ我慢などしないで一刻も早く病院に行くことをお薦めしますわ。――――痛くないのですか?」
「!!!」

 その台詞を聞いて、彼女に変化が訪れた。
 ビクン、と跳ねた後、真っ直ぐ立っていた体は折れ曲がり、がっくり地面にうずくまる。息は乱れ、顔は青ざめ、本当に苦しそうだ。

「あ、貴女―――?」
「うう、痛い……」



1、どうしたのだろうと彼女に近づく。
2、思案気に腕を組んで彼女を警戒する。
3、何か嫌な予感がしたので横に飛ぶ。

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最終更新:2007年09月12日 08:28