240 名前: もしハサ ◆yfIvtTVRmA [sage] 投稿日: 2007/09/14(金) 14:04:35
「ガ、ガガ」
誰とも組んでいない今自分以外は敵、先手を打つ、それこそが定石。
「ガ、ガガ」
遠坂凛はパーカーの怪人へ向けて右手の人差し指を向けガントを放とうとする。が、
「ガガガ、ガガガ、ガガガン」
体の芯から震えが止まらない。指も口も歯もガントを発する事を拒否している。トラウマのダブルパンチの影響は彼女の想像以上に深刻だった。
既にパーカーの怪人は指が触れる程までに迫っている。
「ガガガ、ガガガ、ガンガンt―」
「ちょいまて!!」
決死で撃った一発も発射寸前で腕を掴まれて軌道をずらされてしまう。黒い塊が勢い無く発射され、
ぽぴゅぴゅーと音をたてながら開きっぱなしのドアの向こうへと消えていく。
腕を掴まれて密着された状態、もはや切り札の宝石を使うしかないと覚悟を決めるが、その時
凛の脳裏に先程の「ちょいまて」という聞き覚えのある声が引っかかった。
恐る恐る顔を確認する。生気のない白い顔、白髪の混じった髪、自分の知っている顔とだいぶ変貌してしまっているが
髪質とかに面影がある。その事とさっきの声とこの状態からでも腕は掴まれているがいまだ殴ってこない事、
およびこちらを知っている風な事を考慮し一か八か名前を確認してみる。
「えーと、ま、間桐君ですか?」
「なんで疑問系なんだよ」
幸運にも正解。目の前の人物がトラウマの元凶ではなくただの間桐慎二なら何も恐れる必要はない。
全身に活力と思考力が戻って来て、同時に慎二の癖に自分を驚かせた事が許せなくなってくる。
「間桐君、腕」
「えっ?」
「早く離しなさいっていってんのよ!」
「あでっ!!」
自由になっている左のストレートが慎二の急所に当たった。効果はばつぐんだ。
派手にぶっ倒れ床に嘔吐する慎二とそれを見下ろす凛。ようやくいつもの二人の関係に戻った。
最初こそ二人は凛に敵対心と支配欲を持った目でせまる慎二とそれを相手にもしない凛といった関係だったが、
ある日その関係は劇的に変化した。
桜が遠坂家に来てからすぐ、いまから十月程前、魔術を手に入れたばかりの慎二が調子に乗って凛に喧嘩を吹っかけ、
結果半殺しの目にあったのである。もちろん慎二の方が。
それ以来、二人の関係は女王様と奴隷、あるいはゴーストスイーパーと助手と形容すべきものになっており、
慎二が学校に来なくなるまで人目の付かない所では殴られパシられ借金の相談されといった日々が続いていた。
「それにしても本当に似てるわねー」
「何が?」
「いえ、なんでもないわ。こっちの話よ」
改めて慎二の全身を舐めるように見廻す。やっぱり記憶にあるパーカーの怪人に非常に似ている。
というよりも最早生き写しのレベルである。凛はトラウマの原因ではあるが、今まで名前も知らなかったパーカーの怪人を
以後「妖怪・慎二の叔父さん」と呼ぶ事にした。慎二とその親戚からすればとても失礼な話である。
「で、間桐君は何しにここに来たの?私と戦うの?」
「イヤイヤイヤイヤ、サーヴァント無しで勝てるわけ無いだろ」
両手を振り否定する慎二。その姿はまさに必死だった。
「ちょっと考えがあってね、単刀直入にいうと僕と一緒に人探しをしてほしいんだよ」
[選択肢]探すべき人物とは?
イ.妹で義妹で他人な桜。
ロ.御三家最後の一人アインツベルンの魔術師。
ハ.あきらかに様子がおかしかった士郎。
ニ.玄関で見たあいつ。
ホ.いまだ慎二も凛も情報を得ていない最後の一人。
へ.どこかで見ているはずのハサン。
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最終更新:2007年10月22日 17:45