357 :とても気持のいいFate ◆edf0CCxP0Q :2007/11/07(水) 17:10:47
テ:入浴の世話からするべきじゃないか。
雪のような肌は首筋まで真紅に上気して、細すぎる肩が震えていた。泡立てたスポンジを丁寧に滑らせ、小さな背中を磨いていく。イリヤの体は玉の肌だ。決して傷つける事のないように、少しの不快も湧かないように、丁寧に丁寧に洗わなければ。
「ほら、この肩甲骨の辺りもさ、白くて繊細で綺麗じゃないか。可愛いなんてものじゃないぞ。これにドキドキしない奴は男じゃない」
「……シロウが、変態だからだよ」
イリヤの身体を褒める。褒めて、褒めて、褒め殺すぐらいに褒め続けて。さっきからずっとこんな感じだ。一緒に風呂に入る事自体は平気みたいだったイリヤだけど、素直な感想を教え続けるとすぐに赤面した。
「変態だっていいぞ。イリヤの身体を楽しめるなら、変態になったって本望だ。だから、未熟な身体だっていいじゃないか。お、うなじのラインなんて芸術的だな。ほんと」
「———もうっ。そんな恥ずかしいこと、耳元で囁かないでっ」
湯で上がった顔のまま、逃げ出そうとするイリヤを抱き締める。嫌々と暴れても離さない。腕の中で動き回る身体は柔らかくて、すべすべの肌が気持ちよかった。
「背中は洗い終わったから、次はお腹の側だな」
「やだやだっ、シロウ!? お願い許してやめなさい駄目だって!」
抗議なんてものともせず、小さな身体をくるっと回す。泣きそうなほど赤くなったイリヤの顔。その額にチュッと口付けして、安心させるように頭を撫でた。
「反省した?」
「……なにがよ」
涙目で精一杯睨まれたけど、怯むどころか可愛すぎる。
「イリヤの身体は綺麗なんだから。いいか? もう二度と、自分を卑下するような事言うんじゃないぞ。そりゃ、周りに桜達がいれば不安になるかもしれないけどさ、男の俺から見ればイリヤの身体だってこんなに、ドキドキするほど魅力的なんだ」
鎖骨の線を指でなぞってから、イリヤの手を掴んで心臓へと導く。彼女の小さな手の平に、俺の鼓動は伝わってるだろうか。この興奮を、イリヤの身体の素晴らしさを、少しでも教える事ができただろうか。
「……ずるい。卑怯だよ、お兄ちゃん」
そっぽを向いて、そんな事を言われた。
「でも、シロウ?」
「ん?」
「興奮、してくれてるんだね……」
うっとりと、俺の胸板を撫で回すイリヤ。顔はまだまだ赤いけれど、そこに嬉しさがにじみ出ている。俺がもちろんと頷くと、蕩けるような笑顔になった。ああ、良かったな。イリヤの身体を抱き締めると、彼女の体温が暖かかった。背中に回してくれたイリヤの腕が、より一層の温もりを感じさせる。
しばらくの間そうしていて、どちらからともなくそっと離れた。
「———じゃ、スポンジかえして」
「なんでさ?」
「なんでって、士郎が心底褒めてくれてるのはもう分かったよ? だからもう、洗ってもらう必要はないわ」
「何を言ってるんだ? イリヤは」
「……へ?」
それとこれとは別の話じゃないか。ああ、せっかくの機会なんだから。俺だってイリヤの身体をもっともっと堪能したい。身体の隅々まで褒めに褒めて、初々しい反応を味わいたい。そうだ、我慢なんてできるものか。
「ちょっと、こらっ! 駄目よシロウもうやだ助けてー」
「はっはっは。イリヤは知らないかもしれないけど日本じゃ嫌がる妹の身体を隅々まで洗ってあげるのが兄貴の義務でね! 観念したまえ!」
「そんなわけあるかー!」
358 :とても気持のいいFate ◆edf0CCxP0Q :2007/11/07(水) 17:12:37
で。
「ごちそうさまでした」
「ばか、ばか、シロウのばかぁ……」
湯舟の中に、すっかり脱力したイリヤを抱えて浸かっている。頭の上から足の先まで、前も後ろも左も右も。それはもうしっかり洗わせていただきましたとも。シャンプーもリンスもばっちりです。
「わたし、シロウをこんな変態に育てた覚えはないのになぁ……」
「俺もイリヤに育てられた覚えはないからな。しかし綺麗だったぞ、本当に」
「もう勘弁して……」
ぶくぶくと恥ずかしさの余り沈んでいくイリヤをサルベージしつつ、俺は苦笑して謝った。
「お詫びに、マッサージは気合いを入れてとことんやるからさ」
「当然よ。ここまでして適当だったらセラにある事ない事告げ口するところだったわ」
ムックリ膨れて恐ろしい事を仰るイリヤさん。そんな事されてはたまらないと、まずはこの場で肩を軽く揉んでご機嫌を取ってみる。
「あ、結構こってるな」
「でしょ。こう見えてもタイガやサクラやシロウの世話で大変なんだから。ん、もうちょっとこっち」
「俺も世話されているのか。———どうだ、ここか?」
「うん、そこ。シロウ、上手いね」
お湯がチャプチャプ揺れる中、小さくて細い肩を揉みほぐす。こった筋肉がほぐれるように。なるべく血管を潰さないように。血液とリンパを整えるように。ツボの辺りを強めに刺激してやったら、イリヤの身体が仰け反った。
「あんっ! シロウ!?」
「悪い悪い。痛かったか———」
「え? ちょっとどこ見て———。……もう、すけべ」
いや、だってさ。仰け反った瞬間お湯から飛び出た控えめな胸と、その頂きの魅惑のサクランボが目に飛び込んできたんだぞ。だからついつい凝視してしまうのも当然というか。むしろイリヤが悪いんだからとしゃぶりつきたくなるのも自明の理じゃないのか。
「わたしの、小さいからあまり見られたくないのに。だってシロウ、サクラみたいな大きい胸が好きなんでしょ?」
「……否定はしない。でもさイリヤ。俺はイリヤの胸だって大好きだぞ」
「でも……」
「じゃあ、俺が……、揉んでやろうか?」
「シロウ?」
「いや、揉むと大きくなるっていうし。なんなら今この場で心いくまで」
「……目がえっちだよ、お兄ちゃん」
いいながら、コテンと頭を預けてきて、今度ねと照れた瞳でいうイリヤは可愛かった。
「いいぞ、今度な。それじゃあ、そろそろ上がろうか」
「あ、待って」
「なんだ?」
「もうちょっと、こうしていたいなって」
お湯の中で恥じらいつつ身じろぐイリヤのお願いに、誰が逆らう事ができただろうか。
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長湯がすぎた。少しのぼせてしまったかもしれない。まあ、俺としてはとても嬉しい時間だったんだが。イリヤも最後は楽しそうにしてくれていたし。
「お待たせ。マッサージの準備ができたぞ」
「うんっ。それじゃ早速お願いね」
横で待機していたイリヤに告げると、待ってましたとばかりにバスローブを脱いだ。だけどその中身は裸じゃなくて。
「あれ? 水着きてるのか?」
「なに、違った?」
「いや、悪くはないけど、さっきまで裸で一緒に……。いやすまない。俺が間違っていたからそんな冷たい瞳で見下すのはやめてくれ。そんな凄い魔力をぶつけられたら俺死ぬから。そうだよな。デリカシーって大切だよな。はは……」
さて。いよいよマッサージの開始だけど。
イ:背中を指圧する。
リ:脚を揉みほぐす。
ヤ:おもむろにもぐさを取り出した。
最終更新:2007年11月15日 14:22