65 名前: Fateサスペンス劇場 ◆7hlrIIlK1U [sage] 投稿日: 2006/08/19(土) 00:09:18
二、大丈夫かイリヤ!?
扉の前まで駆け寄ったとき、何か争っているようなやり取りが聞こえた。
「あちきの猫缶返すにゃー!」
「きゃーっ、なんなのよこのナマモノー!」
「どうして返さないって言うのなら約束通り子象を描いてやるのにゃー。さあっ、とっととパンツを下ろせネコっ!」
「ちょっ、なにすんのよっー!」
まずいっ。状況は分からないがイリヤが危ない。ここは扉を蹴破ってでも、大切な家族を助けなければっ!
「大丈夫かイリヤ!? あ……」
「あ、し……、し……、しろう?」
上はパジャマ。下はすっぽんぽんなイリヤさん。その大切な部分には、何やら妙な動物が描かれていて……?
「……鼻のない象?」
「い……、嫌ぁぁあぁあああ! 忘れなさいっ! 失えっ! 今すぐ記憶を失ってー!」
「イっ、イリヤ! その魔力はシャレになら―――。くっ、トレース・オン!」
全て遠き理想郷―――!
「それで、この惨状ですか……」
「えぐえぐ……。シロウにみられた。よりにもよってシロウにみられた……」
泣きじゃくるイリヤと慰める桜。落書きは例によって油性ペンでかかれていて、風呂で擦ってやっと落とせたらしかった。本当に、昨日の桜の件といい、一体誰がこんなひどい事を……。
「駄目ね。現場は徹底的に破壊されているわ。多分、いえほぼ確実に犯人の仕業よ」
「目的は証拠隠滅でしょうか。寝室跡には家具と雑貨とネコのようなナマモノが焼け焦げていただけで、犯人の姿どころか手がかりになりそうなものさえ何もありませんでしたわ」
検証を終えた遠坂とルヴィアもひどく憤慨していた。それはそうだろう。イリヤがあんな目に遭わされたのなら、同じ女性としては黙っていられないのだろうから。
「とりあえずイリヤには別の部屋を使ってもらうとして、問題は犯人と再発防止だな」
「その事なんですけど、先輩」
「桜か。どうした」
「もし、もしですよ? もし犯人さんが本当に私達の中にいるというのなら、まずはその事を証明するべきだと思うんです。例えば、この島に抜け穴がないかとか、見回りをしてみるとか、怪しい人を見かけなかったか思い出してみるとかして」
なるほど。確かに一理ある。このままだと疑心暗鬼になるだけで進展しないだろうし、一度きっちり全力で調査した方がいいかもしれない。俺からもそう提案すると、みんなはっきりと頷いてくれた。
「よし。だったらまずは腹ごしらえだ。朝を食べたら調べはじめよう。みんな、それでいいな?」
さて、一番怪しい場所はどこだろうか?
一、実はこの島に温泉があってだな。
二、ありえないけどキッチンとか?
三、海中に神殿の入り口がっ!
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最終更新:2006年09月04日 17:05