外でお昼を食べようと思ったのは今日の天気がすごい良かったからだ。それなりに忙しい学部に入っているあたしだけど、それでも今日の午前中みたいに空いている時間はある。いつもなら友達を探してカフェテリアとかで食べるんだけど。気温も丁度良くて、吹いてくる風もちょっとぬるいくらいで気持ちいい今日みたいな日だったら、一人でひなたぼっこしながらご飯を食べるのも悪くない。
テキトウに見つけたベンチに腰掛けて、カバンの中からお弁当を取り出す。今日はサンドイッチにしてみた。卵とハムの二種類だ。ハムサンドはよくある薄いハム一枚だけ挟んだハムサンドじゃなくて、結構しっかりハムを挟んである。他にもトマトとか、レタスとか。これが美味しい。大きな口をあけてかぶりつく。ちょっと行儀悪い。
「うんっ、おいしっ」
自画自賛ではあるんだけど、つい声に出してしまう。なんというか、癖だな。そのまま二口、三口と食べ進めていく。始めにレタスのしゃきしゃき感、次にトマトの酸味が口にやってくる。もしかしたら、ハムの塩気が強いかな。今度は別の買ってもらおうかな。
少しのどがつまったので、水筒から紅茶を飲む。ハチミツが入れてあるので、ほんのりとそれの香りが口の中に広がる。少し甘めなのが個人的にポイントだ。
サンドイッチを半分くらい食べたところで、少し強い風が吹いた。ほんとうに、気持ちがいい天気だ。そんな気持ちいい天気につられたのかそうでないかはわからないけど、めずらしい(少なくともあたしの中では)人に声をかけられた。
「やぁ、結ちゃんじゃないか。こんにちは」
「あっ、久賀さん。こんにちは」
頭を下げる。目の前にいるのは学内で『ちょっとかっこいい犬連れのお兄さん』で有名? な久賀さんウィズ八千代さんである。
「八千代さんもこんにちはっ」
久我さんの黒い愛犬である八千代さんにも挨拶。ひとしきり撫でる。嬉しそうだ。
「こんな時間にめずらしいですね、久賀さん」
「んー、あまりにいい陽気だからね。八千代さんにムリヤリ外に連れ出されたのさ、君は何を?」
「お昼ごはんですよ。あんまりいい陽気なので」
そう言ってサンドイッチを見せる。
「一口食べますか?」
久賀さんは少し考えた後、首を横にふった。
「遠慮しておくよ、実はさっき朝食を食べたばかりでね。あんまりお腹はすいていないんだ」
「そうですかー」
と、あたしはサンドイッチをもう一口。ハムが一枚出てきちゃったけど、そのまま食べる。うん、やっぱりちょっとしょっぱい。
「いやー、しかしいい天気だ」
久賀さんがつぶやく。
「こんな日は仕事のことなんか忘れてのんびりしたいもんだ……」
「えっ? 久我さん、仕事してたんですか?」
思わず聞いてしまう。いや、だってこんな時間に犬の散歩してる人が仕事してる、だなんて思わないでしょう。
「何を失礼な。あまり人に話してないだけで一応働いてはいるんだよ。君は一体僕をどういった存在だと思っていたんだ……」
「えっと、実家がお金持ちの土地持ちで、その家賃収入を少しばかり頂いて食いつないでるため、その存在を少し親兄弟に煙たがられているお兄さん?」
正直に答えてしまった。久我さんは少し凹んでいるみたいだった。
「そこまでドストレートに言わなくても……」
みたいな雰囲気をかもし出している。八千代さんに慰めてもらえばいいと思う。
「で、久賀さんのお仕事は何なんですか?」
少し落ち着いたところで聞いてみる。
「へ? あぁ、俺の仕事? いや、それはちょっと……」
「えー、このままじゃ久賀さん無職説が有力説になっちゃうよ! それでもいいの?」
「いや、やくざな商売だからさぁ……」
「えっ! やくざ屋さんなの!?」
「いやいやいや! そんなわけないでしょうが」
「じゃあ、ほら教えてよ!」
なんてやり取りを繰り返す。久賀さんはいつまでたっても折れない。強情だ。
「んー、じゃあ君は何だと思うのよ、実際のところ」
と、突然聞かれた。
「あたし? あたしはねー……」
んー、なんなんだろう実際。こんな時間にウロウロしてるってことは普通の会社員じゃないだろうし……かといってなぁ……んー、ヒント欲しい。
「ヒント! ヒント頂戴!」
「ヒントはない」
「えー、ケチー」
「ケチじゃないです。さぁ、考えてごらん」
んー……
「二つで迷ってるんだけど……小説家……かな? うん、小説家」
「ほう。なんでそう思ったんだい?」
「こんな時間に犬の散歩してるってことは間違いなく普通の会社員じゃなさそうだし。いや、よく大学の中でウロウロしてるって聞くし、人間観察? っていうのかわかんないけど、そういうことしてるのかなー、って。翻訳家とも思ったけど、そうなら大学よりかは図書館にいそうだから。うん、小説家だと思う」
「んー、悪くない、悪くない。ところで君、そろそろ授業の時間じゃないかな?」
「えっ、あっ、ほんとだ遅刻しちゃう! じゃあね久賀さん!」
「はい、気をつけて、じゃあねー」
言うが早いがあたしはカバンに色々詰め込んでダッシュする。教育学部棟遠いから間に合うかな?
あー! 久賀さんの職業わからずじまい。んー、気になるな、こんど会ったら徹底的に問い詰めてしまおう。
結局、途中でチャイムがなり、授業には遅刻してしまった。
久賀さんめ!
テキトウに見つけたベンチに腰掛けて、カバンの中からお弁当を取り出す。今日はサンドイッチにしてみた。卵とハムの二種類だ。ハムサンドはよくある薄いハム一枚だけ挟んだハムサンドじゃなくて、結構しっかりハムを挟んである。他にもトマトとか、レタスとか。これが美味しい。大きな口をあけてかぶりつく。ちょっと行儀悪い。
「うんっ、おいしっ」
自画自賛ではあるんだけど、つい声に出してしまう。なんというか、癖だな。そのまま二口、三口と食べ進めていく。始めにレタスのしゃきしゃき感、次にトマトの酸味が口にやってくる。もしかしたら、ハムの塩気が強いかな。今度は別の買ってもらおうかな。
少しのどがつまったので、水筒から紅茶を飲む。ハチミツが入れてあるので、ほんのりとそれの香りが口の中に広がる。少し甘めなのが個人的にポイントだ。
サンドイッチを半分くらい食べたところで、少し強い風が吹いた。ほんとうに、気持ちがいい天気だ。そんな気持ちいい天気につられたのかそうでないかはわからないけど、めずらしい(少なくともあたしの中では)人に声をかけられた。
「やぁ、結ちゃんじゃないか。こんにちは」
「あっ、久賀さん。こんにちは」
頭を下げる。目の前にいるのは学内で『ちょっとかっこいい犬連れのお兄さん』で有名? な久賀さんウィズ八千代さんである。
「八千代さんもこんにちはっ」
久我さんの黒い愛犬である八千代さんにも挨拶。ひとしきり撫でる。嬉しそうだ。
「こんな時間にめずらしいですね、久賀さん」
「んー、あまりにいい陽気だからね。八千代さんにムリヤリ外に連れ出されたのさ、君は何を?」
「お昼ごはんですよ。あんまりいい陽気なので」
そう言ってサンドイッチを見せる。
「一口食べますか?」
久賀さんは少し考えた後、首を横にふった。
「遠慮しておくよ、実はさっき朝食を食べたばかりでね。あんまりお腹はすいていないんだ」
「そうですかー」
と、あたしはサンドイッチをもう一口。ハムが一枚出てきちゃったけど、そのまま食べる。うん、やっぱりちょっとしょっぱい。
「いやー、しかしいい天気だ」
久賀さんがつぶやく。
「こんな日は仕事のことなんか忘れてのんびりしたいもんだ……」
「えっ? 久我さん、仕事してたんですか?」
思わず聞いてしまう。いや、だってこんな時間に犬の散歩してる人が仕事してる、だなんて思わないでしょう。
「何を失礼な。あまり人に話してないだけで一応働いてはいるんだよ。君は一体僕をどういった存在だと思っていたんだ……」
「えっと、実家がお金持ちの土地持ちで、その家賃収入を少しばかり頂いて食いつないでるため、その存在を少し親兄弟に煙たがられているお兄さん?」
正直に答えてしまった。久我さんは少し凹んでいるみたいだった。
「そこまでドストレートに言わなくても……」
みたいな雰囲気をかもし出している。八千代さんに慰めてもらえばいいと思う。
「で、久賀さんのお仕事は何なんですか?」
少し落ち着いたところで聞いてみる。
「へ? あぁ、俺の仕事? いや、それはちょっと……」
「えー、このままじゃ久賀さん無職説が有力説になっちゃうよ! それでもいいの?」
「いや、やくざな商売だからさぁ……」
「えっ! やくざ屋さんなの!?」
「いやいやいや! そんなわけないでしょうが」
「じゃあ、ほら教えてよ!」
なんてやり取りを繰り返す。久賀さんはいつまでたっても折れない。強情だ。
「んー、じゃあ君は何だと思うのよ、実際のところ」
と、突然聞かれた。
「あたし? あたしはねー……」
んー、なんなんだろう実際。こんな時間にウロウロしてるってことは普通の会社員じゃないだろうし……かといってなぁ……んー、ヒント欲しい。
「ヒント! ヒント頂戴!」
「ヒントはない」
「えー、ケチー」
「ケチじゃないです。さぁ、考えてごらん」
んー……
「二つで迷ってるんだけど……小説家……かな? うん、小説家」
「ほう。なんでそう思ったんだい?」
「こんな時間に犬の散歩してるってことは間違いなく普通の会社員じゃなさそうだし。いや、よく大学の中でウロウロしてるって聞くし、人間観察? っていうのかわかんないけど、そういうことしてるのかなー、って。翻訳家とも思ったけど、そうなら大学よりかは図書館にいそうだから。うん、小説家だと思う」
「んー、悪くない、悪くない。ところで君、そろそろ授業の時間じゃないかな?」
「えっ、あっ、ほんとだ遅刻しちゃう! じゃあね久賀さん!」
「はい、気をつけて、じゃあねー」
言うが早いがあたしはカバンに色々詰め込んでダッシュする。教育学部棟遠いから間に合うかな?
あー! 久賀さんの職業わからずじまい。んー、気になるな、こんど会ったら徹底的に問い詰めてしまおう。
結局、途中でチャイムがなり、授業には遅刻してしまった。
久賀さんめ!
<コメント>
ということで結ちゃんの予想は小説家です。
因みに僕個人としては殺し屋を推したい。
ということで結ちゃんの予想は小説家です。
因みに僕個人としては殺し屋を推したい。