FINAL WARS
『間もなく日付が変わるという夜』
『某所』
『人類補完委員会招集会議』
―――準備完了のようだな、碇。
―――それにしても、こんな悪夢のゲーム.
仮に自分が参戦させられたとしたらゾっとするな。
「左様ですね。」
―――さようですね、って。ハハ。
碇、きみの息子もぶち込まれているのだぞ?この【バトルロワイヤル】に。
「分かっております。死海文書の記述通り行っているまでですので。」
―――やろうと思えば別の人物に代替もできただろうに。
相変わらず血の通ってない男だな。
―――…まぁ、そんな軽率な行動行った時点で、君には死を与えるまでだがね。おかたい人間性のお陰で命拾いしたじゃないか。ハッハハ。
「…そのようになっておりますね。」
―――それでは進行を委任したぞ、碇。決してイレギュラーのないように。
―――我々の期待を無駄にしないでくれ給えよ。
「わかっています。すべてはゼーレのシナリオ通りに。失礼します。」
“碇”と呼ばれた男が会議室から出てくる。
扉のすぐ近くにいた老男――冬月コウゾウは、時計に軽く視線を注いだのち、口を開いた。
「碇、時間だな。始めるとするか。開戦、をな。」
「あぁ分かっている。文字通りの【悪夢】ナイトメアをな。」
コツン、コツン、と二人の靴音が静寂な深夜の廊下に響き渡る。
互いに無表情かつ無言のまま、向かう先である「モニタールーム」へと歩を進めていった。
以上、「主催者」のわずか数分ばかりの前日録である。
『デデデの宮殿』
舞台は、王室の間へと移る。
かなり広々としたその部屋にて、多くの人間がゴチャゴチャと蠢いていた。
皆、何故この場所にいるか分からない――といった様子で、不安な声が充満する。
ここにも現状把握をできず「?」でいっぱいの男が。宮殿の主・デデデ大王である。
「エ、エスカルゴン!これは一体何の騒ぎゾイ??!」
「はいぃ?陛下がこいつらを集めたんじゃないゲスか?」
何だコイツも知らんのか?じゃあ、一体これはなにが起きてるのだ?
――といった様子で苦悩に表情を歪ますデデデ。
彼の視点で遡ってみれば、ぐっすりとベッドに入っていた矢先、突然妙にごちゃごちゃと話し声がしだしたもので、寝室を出てみたらこの有様、という次第である。
理解が不能な現状のため、デデデは放心に明け暮れたが、やがてフツフツと怒りが湧いてきた。
何があったのかは知らないが、国王である自分の間に下民共が上がり込んでいるのである。
周囲のざわめきが煩わしいこともあり、短気な彼は怒号をあげた。
「うぐぅぅーーーっっ…!!やかましいゾイ、うるさいゾイ、喧噪ゾイ!!貴様ら黙って聞け!!今すぐ全員ここから出て行けェッ!!消えないと即極刑だゾイ!」
デデデの罵声で周囲は静寂と共に彼に注目を始めた。
声の地鳴りのような大きさ故、反射的に振り向いた者もいるだろう。
まず口を開いたのは彼と同じくこの屋敷に住む王女・フーム。
常日頃からデデデを最低最悪最馬鹿の独裁者と蔑視している彼女はツッコミを上げた。
「ちょっと、そんな横暴な態度許せないわ!」
同じく常日頃から彼女が大嫌いな大臣・エスカルゴンがゲスゲスと割って出る。
「おいフーム!この状況で横暴もくそもないゲスよ、お前もさっさと追い出すよう動くゲス」
「あのねぇ、ちょっと周りに話を聞いてみたのだけれども、みんな知らない間にここに連れてこさせられたのよ!」
「ガハハ。それがなんゾイ?」
「つまりみんな被害者ってことよ、穏便に対応しなさいよ!」
「あー、ったく…クレーマーはうるさいゲスなぁ」
「国王なら普通あんなこと言わないわよ、極刑なんて物騒なこと言ってバカじゃないの?!」
「グフフッ、グフフ!ガーハッハハハハ!!物騒??この程度じゃ物騒に入らないゾイ」
見るがいいゾイ、とデデデはどこからか巨大バズーカ砲を唐突に持ち出す。
まるで土管のようなサイズの銃口を大勢に向かって構えた。
「物騒とはこういうことゾイ!さぁ、全員10秒以内にゴーホーム!…5!4!3!」
「ば、バカじゃないの!!やめなさいよ!」
カウントダウンスタートと同時に皆一斉に出口へと足を速めた。
大砲が恐ろしく逃げる者が大半だが、呆れたように帰り支度を整え歩き出す少数の者もいる。
とにかく、皆この場に残る必要はないのである。
ニヤニヤと発射準備をするデデデを遠目に、大きな木造りの出口が開けられようとした、
そのとき、第三者の声が会場内にエコーした。
―――おやおや、皆さん。死にたくなきゃここから出ないほうがいいですよ?―――
「2!1!…って………。い、今の声は…!?」
デデデとエスカルゴンは目を丸くして見合わせた。
「ま、まさか奴は死んだはずでゲスよ!?」
声の主が予期せぬ知り合いだったのか、
驚愕で固まる二人のちょうど真上から大型のモニターが降りてくる。
映し出されたそこには、まるで営業マンのような正装のサングラス男が照明のない部屋をバックに映えていた。
かつての決戦で爆散し滅んだはずの
メガネの男が大衆に向かって話を始める。
『動かずにいてくれて大変感謝でございます。私ナイトメア社のカスタマーサービスという者で、以降お見知りおきを。』
「カ、カスタマー??!ナイトメアが爆死したというのに何故生きてるゾイ!?」
『ははは、これはこれは陛下。
まずは、皆さまをここに集めた理由をお話ししますのでそれをお聞きにお願いします。』
今にも出口を通ろうとした周囲の視線がカスタマーサービスに釘付けとなる。
自分らに集まってもらった理由。
すなわち、【悪夢】の開催宣言。
それが、今始まろうとしていた。
『皆様には今から最後の一人になるまで「殺し合い」をしていただきます。』
宮殿内は一瞬にして不穏なムーブとなった。
「殺し合い」…その言葉が人々を困惑と若干の恐怖へと誘って行く。
カスタマーの宣言に、フームは顔が引きつり「なっ…」と発するのが精いっぱいの様子であった。
その場は緊張で異様な静けさを見せたが、しばらくして突如大きな笑い声が空気感を張り裂ける。
「ガーーーーッハッハッハッハッハッハッハッハァ、ハハッハ!!!
さすがはナイトメア社
この巨悪の独裁者であるワシを退屈させまいと、わざわざ地獄から蘇って素晴らしいゲームを持ってきたゾイ
ガーッハッハッハッハハァァァァーーーーーーー!!!!!!」
「それでは諸君、健闘を祈るゲス。ハハー!斬新な娯楽ゲス」
『ははは、気に入ってもらえたようで幸せでございます。』
デデデ、エスカルゴンの下衆な笑い声である。
ニタニタと愉快そうなカスタマーらに、先ほど同様、フームは憤りを見せ詰め寄っていった。
「あったまに来た!ちょっとふざけないでちょうだい!」
フームは怒気の言葉を続ける。
「あんたたちは知らないだろうけど、直接手を下さなくても、人に殺人を強要することは立派な犯罪行為よ!まさしく極刑じゃないの!」
「なら今日から我が国では殺人は無罪にするゾイ、ガーッハッハッハッハ!」
「…信じっられない!」
無茶苦茶な理屈で一蹴されたフームであったが、彼女の抗議が起因となり会場が鬱憤で広まる。
参加者の大半―――というかほぼすべての人間が文句を上げた。
エスカルゴンらはたちまち囲まれ、罵声だの雑言だので揉みくちゃ状態。
「殺し合い」計画は反対多数で破綻寸前なのだが、モニターのカスタマーは何事もないかのように涼しい顔で言葉を続ける。
『それでは具体的な説明を始めさせていただきますね。』
「コラ!馬鹿共!主催者サマがお話ししてるゲスぞ!…っておい殴ってくるなゲス、いたた!」
『皆様にはこれから殺し合い専用の島に送迎します。
そこで、生死を掛けたサバイバルゲームを始めていただくという旨ですね。
力のないお子様や女性の方に考慮して、武器を1人1つ支給しますのでそこはご安心を。
最低限の食料飲料が入ったディパックも差し上げるのでご自由にお使いください。それで武器なんですが……』
カスタマーサービスは淡々と説明を続ける一方で、その眼下では見るも悲惨な暴動が続けられているのは言うまでもない。
デデデは怒りの暴力を受けつつも馬耳東風な様子で、説明をニタニタ静聴していた。
『…また6時間ごとに死亡者発表の定時放送を行うのですが、えーここからが重要な話なのですよ?
この定時放送までに死人が出なかった場合は皆さま全員を処分させていただきます。
えーー、皆さま、首になにか巻き付いていますよね?』
あー?首ぃ?
ふとデデデは、近くにいる参加者たちに目を向ける。
皆の首にはまるで飼われている犬っころのように、黒い金属が巻き付いていた。
そして、その首輪はエスカルゴンにも当然のごとく巻かれていたのであった。
「ぶっ…!ブーハッハッハッハ!エスカルゴンくん、残念だったゾイね」
「?何がでゲス」
「お前、首輪が巻かれてるゾイ。こいつの説明によるとそれは殺し合いの参加者の証だそうゾイ。ガハハハハーッ!殺し合いを楽しむがいいゾイ、ガハハ!」
「な、ななな、なんですとーっ!!?…って陛下あんたにもついてるゲスよ?」
目を合わせる二人。
しばし呆然とする。
え?ワシら、殺し合いをさせられる側なの?―――という思考で一杯になっていることは間違いない。
放心状態の末、二人は「くっかか…」と妙な笑い声を身震いしながら発し始めた。
『おやおや陛下に閣下、勘違いしていたご様子で。ははは、
それでは、皆さまには落ち着きを取り戻していただきたいので、見せしめとして1人退場してもらうことにしますね。
えー、フームさん、ちょっと前に来てもら:』
「ワシが参加者なんて貴様あぁぁぁぁッーーーーーー!!!ふぅっーーーーっっっざっ!けるな!!ゾォォォォイ!!!!!!!!!」
デデデは激昂全開の雄たけびをあげた。
その手は首輪を引きちぎろうと必死になって力を込められている。
「こ、ここ、この私が殺し合いなんてありえないゲス!!参加者はせいぜいこのデブで十分ゲスよ!!!引きちぎってやる!!!!!」
同じくエスカルゴンも必死の形相。
首輪をノコギリでギリッギリギリギリギリギリッ、と音を立たせた。
二人の懸命な首輪の取り外しにはカスタマーサービスも難色を示したのか。
説明を中断し、困った表情で話しかける。
『いやぁー、それはさすがにまずい行為なのですがねぇ…。』
「黙れ!王であるワシにわんちゃんの首輪はめて殺し合いなんて、猛抗議ゾイ!」
「この私が殺し合いなんて間違いでゲス!ギリギリギリギリリリリイイーーーーーー!!!!」
首輪と格闘する二人はすっかり周囲の嘲笑の対象。
ざまぁみろ・バーカなどと言われたい放題だが必死の首輪解除は手を休めなかった。
頭を抱えたカスタマーサービスはやがて何かをあきらめた様子でエスカルゴンらに問いた。
『…首輪から、なにか音とか出ていませんよね?』
「うるさいゲス!音なんてもちろんさっきからピーピー鳴ってるゲスよ、もう、ギリギリギリイーーーーーー!」
『はぁ、それは残念でございます…。どうやらお別れのようですな、大臣。
皆さん、彼に注目を。もしも首輪を外そうとしたり私に逆らった場合はこうなります。」
改めて補足する必要はないだろうが、この首輪には爆弾が取り付けられている。
爆発の規模自体は小さいが、それでも首と胴体を分離させるほどの衝撃力を備えているのだ。
まさにそれを象徴するが如し。パンッと爆竹のような破裂音と小さな閃光の後、エスカルゴンの首は床に落ちた。
最初の見せしめの死因は、自殺だった。
【ドクター・エスカルゴン@星のカービィ 死亡確認】
【残り84人】
「うわああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「いやあああああああっ!!!」
会場から恐怖の悲鳴が轟く。
一番、慄いていたのはエスカルゴンの返り血をきれいに浴びたデデデであろう。
親しかった大臣が一瞬で亡きがらになった事実もさることながら、首輪引きちぎりに成功していたら自分もこうなっていた未来に、声を失い尻もちをついた。
あれだけの大口はどこいいったのか。「エ、エスカルゴ…お前…」と顔を真っ青にしてぼやくばかりである。
『死ぬのが嫌でしたら、黙って殺し合いをするのが一番賢明かと。』
「ほんとに…うえっ…ほんとに信じられ、ないわ…!!力で抑えつけて苦しめさせるなんて…!ううっぇ…」
白目を剥いて噴血を続けるエスカルゴンの残骸にフームは口元を手で抑える。
パニックに陥る宮殿内の中、フームはそれでも怒りでモニターを睨んでいた。
主催者に絶対逆らってはいけない、ということは分かっていながらもその正義感は絶ゆることはなかったのだ。
「…あんたは絶対に…許さないわ!!絶対に殺し合い反対…!ナイトメアなんて今すぐ
カービィがまた成敗、敵討ちしてやるんだから!」
『フーム様、見せしめは1人でもう十分なのですがね~…』
「な…なに!わたしも首を落とす気なの!あんたは本当にゲス外道だわ!
カービィ、早く来て!カービィ、カービィ!」
涙を少しこぼしながらもモニターと敵対するフーム。そんな彼女の肩にふと手が置かれる。
「お嬢ちゃん、ここは少し抑えて…。かなりまずいと思うぞ。」
と―――声を掛けられる。
振り返ると、髭面の男が心配そうにこちらを制止にかかっていた。
「そ、そんなの分かってるわ…で…どぇ…でもこんなの、抗議しないと…」
「おいおい君はまだ子供だ、俺が…話を付けてくるよ」
「え…ちょ、ちょっと!」
「口では強がってるけどお嬢ちゃんだってあんな死に方したくないだろ?なぁ。マザーファック野郎とは俺が言ってくるさ」
「そ、それは…」
「まぁちょっと待っててくれ…な?」
髭面の男・ランディは身震いしながらもモニターの最前へと歩いて行った。
『これは【サウスパーク】のランディ様、なにか言いたげなご様子で。』
「いや、私は殺し合いに反対する気はまったくないんですよ?まったくないんだけれども…
あんな小さい女の子や子供にまで強制させるなんて、そらあんまりじゃないかー、みたいな?少しくらい解放してもいいんじゃないかなー、的なのがあるんじゃないですかなー。と。
大体、殺し合いをしてこっちにメリットがないというか…やる気なんて起きないし…」
『ほう…、参加者の解放は難しい話ですが、メリットならあると言えますよ?』
「は?え?なんだって?」
『何せ最後の一人になった者には「なんでも願いをかなえて」差し上げるのですから。』
「え?え?え??願い??」
『「限度額いっぱいの賞金をよこせ」なんて願いもどうです??』
「…………。」
パァンッ
発砲音が一つ。
ランディの持つ拳銃から消炎が立ち込める。
銃弾はたまたま近くにいた不幸な少年の眉間を丁寧にぶち抜き、赤白い脳漿を散乱させた。
「ありゃ…チェッ、弾一つしかなかったよ…」
「この人でなし!!」
【ケニー@サウスパーク 死亡確認】
【残り83人】
程なくして、ランディはにこやかにフームの元へと帰ってきた。
絶句そのものの顔で見上げるフームに苦笑いしながらランディは報告する。
「あーっ…ごめん!お嬢ちゃん!交渉失敗しちゃった…。やっぱ殺し合い続行で感じのようだ」
「あっ…あぁ…嫌ぁ!!ちょっとなにしてんのよあなた!!!」
「いや聞いただろ?なんでも願い叶えるだぜ?そういうご褒美があるなら、この殺し合いもまた経験の一つと捉えていいじゃないか、と。」
「そんなありえないありえないっ!あなた、最低…過ぎるわ!!」
「うーん…アンタには分かってもらえないか。まぁいいや」
フームに諦めの視線を流したランディは、彼女から離れ宮殿の中央へと歩き出す。
そして、彼は大声で【宣言】を発した。
「お前ら聞いたか!!あのカスタマー先生によると、生き残ったやつには願い叶えてくれるらしいな!
俺の願いはまさしく『金』!!ついでに『マリファナ』も大量にお願いしちゃおうかなー?!
俺はゲームに乗ったぞおおぉ!!このマザーファッカー糞野郎共!!!」
――ー殺人宣言である。
フームの目には完壁なる狂人にしか映らなかったのだが、狂人はランディ一人のみではなかった。
よく見渡せば、宮殿内の雰囲気が先ほどまでと違う。
「願い」という言葉の魔力に乗せられたのか、みながみな殺し合いに態勢を整えているように見える。
「よく言ったゾイ!ワシもゲームに乗って!そして、願わくばカスタマー、貴様の解任ゾイ!!ガーッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!」
首輪という脅威と、願い。
この二つによって殺し合いに抗議の意を持つものなどフーム、ただ一人しか残されなかった。
反対多数であったゲームは崩壊することなく始まろうとする。
「ダメだこりゃ…もう終わりよ…」
フームはとうとう頭を抱えてうなだれた。
絶望するフームを傍目に、先ほどのランディ同様モニターと会話する者が一人。
真っ白な長い髪を腰まで伸ばした、その若い女は、事の混乱にまるで動じないそぶりで何やら「タイトルが云々~」とカスタマーサービスに問いただしている。
『ほう、公称、ですか…』
「左様。私はこの体験をのちのち実録として綴ろうと思考巡らしている。
それで、この殺し合いの「公称」をそのまま題目にしようと思うのだが、なにかあるのであれば教え頂きたいものだ。」
質問者である女性・とがめに、カスタマーサービスは一瞬悩んだ顔をしたものの、回答を口にした。
『そうですか、そうですか。あーそれなら、確かこうでしたね。――――』
『ネルフ本部』
暗いスペースの中、モニター越しにこの惨状を確認する者がいた。
本ゲームの主催者の一員にして、総司令・碇ゲンドウ、ならびに冬月の二人である。
「困ったものだな。イレギュラー2件だぞ、碇」
「死ぬはずでなかった参加者2人が死亡したうえに、本来なら見せしめに使うはずの弾が生存している。…イレギュラー3件だな」
「ゼーレの老人たちを言いくるめるのもだいぶ大変そうだな」
「まぁこの程度のイレギュラーならあの方々も許してくれるだろう。『バトルロワイヤル』始動に問題は発生しなかったのだから。」
冬月はニヤリと微笑む。
殺し合い―――理由は不明。
目的もまた、不明。
「フッ…『バトルロワイヤル』。あと10秒ほどで始動だな。このゲームで死海文書の全てに決着がつく。」
ただ目の前には逃れえぬ残酷だけが待っている。
「あぁ、このバトルロワイヤル。いや…――」
「『【ファイナル・ウォーズ】を――――――――。』」
勝ち取れ、この闘争で。矜持を。
【FINAL WARS(バトル・ロワイヤル) 午前0時を以て開始確認。】
最終更新:2023年09月27日 18:55