悪魔の証明とは
悪魔の証明とは、「無い事」を証明する事です。
通常、「あるor無し」を対立する両者において議論する際、「ある」を証明するのが大原則となる。
なぜならば、下記例のように「ある事」を証明する事の難易度よりも、「無い事」を証明する方が、遥かに難易度が高いからと言えます。
モバゲーで例えるならば、モバゲーのプレーヤーであるAさんが、「課金者であるか否か」で揉めたとする。
Aさんが「課金者である事」を証明するには、Aさんのモバゲーでのモバコインの所有や、
トレード不可のゲームで課金者限定アイテムを1つでも所有している事を見つける事ができれば、証明が可能である。
対して、Aさんが「課金者で無い事」を証明するには、モバゲーでのモバコインの無所有や、トレード不可のゲームで課金者限定アイテムを持っていない事だけでは、証明は出来ない。
なぜならば、「今はモバコインor課金限定アイテムを持っていないだけ」かも知れなく、「過去にモバコインを買って、消費していた」「課金アイテムを隠したor売った」等の可能性が残る為である。
では、Aさんの携帯で、モバゲーでのモバコイン購入履歴を見て、モバコインを買った履歴が無ければ、「課金者で無い事」の証明は可能か?
答えは"No"である。
なぜならば、Aさんがモバゲーでのモバコイン購入履歴を、何らかの方法で消したのかも知れない。
モバゲー自体がモバコイン購入履歴を消せない仕様だとしても、ハッキングして消した可能性も絶対無いとは言い切れないし、モバゲーの管理が悪くて購入履歴が消えたのかも知れない。
また、対象となる携帯以外のサブ携帯で課金して、メイン携帯に送った事があるのかも知れない。
こうなると、Aさんの携帯だけでなく、Aさんの家族や友人の携帯まで調べる必要が出てくる。
さらには、不正にオークションや直取引などで、アイテムを現金落札していたかも知れない。
こうなると、Aさんの知り合いだけではなく、インターネットを使える赤の他人の携帯までと、調べなくてはいけない対象が無限大に広がってしまう。
「貴方は殺人者か?」と聞かれたら、これを読んでいる人のほぼ全ての人が「No」であると言える。
しかし、「自分は殺人者で無い」事を完全に証明する事は、以下のようにほぼ不可能である。
「自分は、絶対に殺人なんてしていない」
→いいえ。それはただの性善説であり、貴方が嘘をついている可能性があり、貴方が「殺人者で無い」事を証明できていません。
「自分の経歴・犯罪歴を見れば分かる」
→いいえ。貴方は殺人を犯して、捕まっていないだけかも知れません。
「自分の身近な人達に聞けば分かる」
→いいえ。身近な人達が、貴方が殺人を犯している所を見ていないだけかも知れないですし、見ててもそれを隠している可能性があります。
「自分の周りで人殺しの事件は無かった」
→いいえ。貴方が殺人を行ったのは、遥か遠くの郊外かも知れませんし、国籍や身よりの無い人を完全犯罪で殺した可能性もありえます。
「自分のマンションには防犯カメラがある、これを見れば…」
→いいえ。貴方がマンションから外出している時や、防犯カメラの死角で人殺しをしている可能性があります。
例は以上です(ちょっと極端な箇所もありますが)。
このように、「無い事」を証明するのは、「ある事」を証明する事より非常に困難、または事実上不可能である事象であり、『悪魔の証明』と呼びます。
進撃の巨人の原作においても、悪魔の証明が要求されている場面があります。
エレンが初めて巨人化した際、一部の駐屯兵団から「巨人ではないか」「敵ではないか」と疑いをかけられます。
エレンは、「自分が人類の敵ではないこと」を主張しますが、受け入れられずに砲弾の攻撃を受けます。
この時、その場のリーダー格である子鹿のような男も、「誰も自分が悪魔でない事を証明できないのだから」とつぶやいたように、人類の敵ではない事を完全に証明する事は、事実上不可能となります。
エレンが大岩で穴を塞いで巨人の進行を止めたにも関わらず、それでもなお審議所で審判にかけられて殺されそうになった事からも、「人類の敵でない事」を証明する事は、非常に難しいという事が読み取れます。
ビジネスや私生活においても、巧みに『悪魔の証明』を悪用する人が稀に見受けられますが、場合によっては『悪魔の証明』を相手に求める行為は、ナンセンスであり、相手に対して失礼な行為であり、外道な方法であると言えます。
最終更新:2013年07月26日 11:09