※ここには漫画『ONE PIECE』『僕のヒーローアカデミア』の最新話までの内容を含むネタバレ考察が書かれています。ネタバレが嫌いな方はここより下の内容を読まないでください。
第1106話および最新1107話で、黄猿がボニーを狙ったレーザーを蹴り飛ばしています。
それを見た黄猿は今までに描かれたことのない表情で異常に驚いています。
私はその理由を「ボニーが女王蜂の能力に覚醒したから」だと考えます。
私はすでに「くま=クマバチ=バッカニア族はノアを直す”あの一族”」という仮説を書きました。
ボニーはくまのパシフィスタ=クマバチの群れを支配する女王蜂になったのです。
(ルフィは第1話の初登場シーンを見る限りイワシの群れだろうと考えています)
サターン聖は『スター・ウォーズ』のクローン兵のように、最初からボニーの軍隊を作り「世界政府」の対抗勢力を育てることを目的にして、くまの自我を消してパシフィスタを増産させた可能性があります。
私はバッカニア族は英語でカーペンター・ビーすなわち「大工蜂」なので、ルフィが壊した魚人島のノアを直すことのできる”あの一族”であり、今後大勢のパシフィスタがノアを修復すると考えています。
だとすると、サターン聖は「ノアの復活」も狙っているのかもしれません。
いわばサターン聖の目的は「女王(ジョーオー)蜂の保護」と「養蜂(ヨーホー)」だったわけです。
女王(ジョーオー)って、ちょっと変えると「ジョイボオーイ」になりますよね。
また、「第1巻1コマ目の処刑前のロジャーの左右に立つ兵士が持つ槍」「ゼフの言う腹にくくった一本の槍」など槍の伏線は「蜂・蟻の針」の比喩だと考えます。(※蜂と蟻はほぼ同じ生物で、蟻にも毒針を持つ種類がある)
『ONE PIECE』と同じ週刊少年ジャンプに連載されていて、アニメ化もされています。
その『僕のヒーローアカデミア』に「芦戸三奈(アシド ミナ)」というキャラクターがいます。
同作は能力バトル物で、異形の人が多く存在する世界で、「個性」という特殊能力を使うキャラクターがヒーローとなり、特殊能力を治安維持や戦争に利用しているという設定。
芦戸三奈は「酸(サン)」の個性を保有しており、名前の「芦戸(アシド)」は酸の英語「アシッド acid」が由来だと思われます。
肌の色はピンクに近い紫で、目は黒目と白目が逆転しており、頭には2本の自称「ツノ」があります。
私は、この芦戸三奈の本当の個性は「女王アリ」だと考えています。
個性が酸だとか、頭のツノだとかはミスリード。
肌や目の色が他のキャラと大きく異なるのはアリだから。
(『僕のヒーロアカデミア』では他の生物の能力を持つキャラは珍しくない。実際にメインキャラの一人は蛙の能力を持つ)
頭のツノは本当は「アリの触角」です。
酸の能力は本当は「アリの蟻酸(ギサン)」です。
最初におかしいと思ったのは、過去エピソードでギガントマキアという巨人の異常者を芦戸三奈が止めたシーン。
ギガントマキア(当時は正体不明の存在)がなぜか芦戸三奈の言うことに従っているのを見て、「これは女王蜂か女王アリの能力ではないか」と思ったのです。
保護欲を刺激して周囲の人間に自分を守らせる特殊能力は、能力バトル物の定番です。
◎具体例
『AYUKO』原作:工藤かずや、作画:久保田真二
(女王蜂の能力を持つ改造少女の鮎子が逃亡。周囲の人間は保護欲を刺激され、彼女を守ろうとして死ぬ。絵柄は大友克洋の影響が非常に強い)
『ヒメノスピア』原作:村田真哉、作画:柳井伸彦 ※性的な描写の多い漫画なので閲覧注意
(イジメられていた少女が蜂に刺されて女王蜂の能力を持つ。尻から伸びた針で刺した相手は少女を守るためなら死もいとわない忠実な奴隷かつ国民となる)
『斎女伝説クラダルマ』柴田昌弘 ※性的な描写の多い漫画なので閲覧注意
(古来より日本国を守る「斎女衆(トキメシュウ)」と、インドをモチーフにした「性を宇宙の中心とする秘密教団」の能力バトル。能力者の一人に「周囲の人間の保護欲を刺激して自分を守らせる能力を持つ少女」が存在する)
※実は『僕のヒーローアカデミア』の主人公、緑谷出久(ミドリヤ イズク)は『斎女伝説クラダルマ』の主人公が元ネタと思われる。
『僕のヒーローアカデミア』の主人公、緑谷出久の個性「ワン・フォー・オール」は「継承される能力」であり、歴代継承者7人(+1人)の人格と能力が宿っている。
『斎女伝説クラダルマ』の主人公、久慈将介はインド神話の破壊神シヴァの転生した姿であり、シヴァをコントロールしようとした歴代シヴァ継承者4人の人格と能力が宿っている。
ちなみに「ワン・フォー・オール」は「一人はみんなのために」という意味で、1960~70年代の共産主義テロリストの標語に使われていた。
そのため、かつてNHKのアニメ『三銃士』でこの標語が使われ、一部で問題になったことがある。
その後、芦戸三奈はギガントマキアと戦争で再会しますが、その時にも芦戸三奈が”「眠れ」と命令したのでギガントマキアが眠った「ように見える」”描写があります。
ただし『僕のヒーローアカデミア』は『進撃の巨人』と同じように「作者が一度描いた設定を変えてしまう」そうなので、せっかくの伏線が死んでしまい、連載が続くほど底が浅く荒くなったり、秘密が明かされなかったり期待したほどの衝撃が無かったりして、読者が肩透かしだと感じて失望するという欠点があります。
もともとこの作者の設定や描写は非常に分かりにくく、評判の悪い「ヤクザ編」における「未来予知能力者のよくわからない戦闘」など意味不明な場合もあります。
そうしたもともとの分かりにくさに加え、作者が”後で伏線に使えるかもしれないと思ってとりあえず描いておいた描写”が、使われずに残った結果、ゴミやノイズになってしまい、それが読者を混乱させ、読みにくいと感じさせる原因の一つだと、私は見ています。
設定を変えるとせっかくの伏線が死んでしまう。
伏線が死ぬと「意味の無い(薄い)ムダな絵や演出やコマ=ゴミやノイズが増える」。
その結果、「漫画を構成する個々の要素や演出が連携しなくなるため、意味の分からない描写が増えて内容が乱雑かつ薄くなり、読者は混乱してストーリーを理解できなくなる」。
伏線はネットワークです。
どこか一カ所の伏線が死ぬと、その下のアンダーフローすべてが影響を受けます。
フォローをしなければ、作品全体が「死骸の山、ゴミの山」になってしまいます。
『進撃の巨人』がまさにその失敗をしました。
たとえば壁内の「酵母」の設定を無くしたために、もともとの全体設定を公表できなくなり、伏線回収が不可能になったわけです。
(※ただし私は酵母の設定とその消滅を含めて、すべて説明できる『進撃の巨人』のストーリーを考案しています)