※ここには漫画『ONE PIECE』の最新話の内容を含むネタバレ考察が書かれています。ネタバレが嫌いな方はここより下の内容を読まないでください。
私は去年の1月に、「ステューシーは『吸血鬼カーミラ』であり、ベガパンクか誰かに恋をしている」という分析を書いておきました。
【ONE PIECE ネタバレ考察】ステューシーの能力とは 2023年02月01日(水)
※リンクが間違っていたので修正しました。
>ステューシーはベガパンクか誰かに恋をしているのかもしれません。
最新の第1115話〝大陸の断片〟で、ステューシーは次のように語っています。
「よかった… 彼らを逃がせなきゃ ステラに嫌われちゃう」
「ステラがいない今… 誰の為に生きればいいのか わからない…」
ステューシーのこのセリフは「造物主への敬慕」か、それとも「恋愛感情」か、判断に迷うところですが、私はあえて「恋愛感情」だと考えます。
その根拠は手塚治虫『火の鳥 未来編』です。
『火の鳥 未来編』では、はるかな未来、地球の地上は汚染され、人類は地下に都市を作って住んでいます。
地下都市はコンピュータが様々な法律を決めて違反者を許さない管理社会。
コンピュータは自ら精子・卵子バンクの中から最良の組み合わせを選び、人工的に造ったエリートに地下社会を管理させています。
主人公は法律に違反し、”女性”と地下都市を脱出するも地上の吹雪に迷って遭難。
世捨て人として人の棲めない地上にドーム型研究所を作り、相棒のロボット「ロビタ」とともに「生命の秘密」の研究に一生を捧げる「猿田博士」に助けられます。
研究所に地下都市の追手が迫ったとき、猿田博士は「大量の美人女性型ロボット」に追手を倒すように命令します。
無言で出撃してゆく美しい女性たち。
やがて地平では、女性たちが自爆して追手を食い止める美しい閃光が何度も閃きます。
ロビタが猿田博士に言います。
「彼女たちは心から博士を愛していました」と。
苦し気な猿田博士の表情。
実は猿田博士は「巨大な鼻」のみにくい風貌をしており、最高の頭脳を持ちながら女性にはまったく相手にされず苦しんできました。
そこで猿田博士は自分を慰めるために、「自分を心から愛するようにプログラミングした、美人の女性型ロボット」を大勢作りました。
しかし時が経つにつれて猿田博士は女性型ロボットたちの「プログラムにしたがって喋っているだけの愛の言葉」に虚しさと疎ましさ、そしてそんな行為をしている自分への嫌悪を感じ、女性型ロボットの声帯をはずして倉庫にしまっていたのです。
そして今、ずっと放置されていた女性たちは久しぶりに命を吹き込まれ、愛する猿田博士のために自らを犠牲にして敵を倒したのでした…
…というのが、『火の鳥 未来編』のワンシーンです。
『ONE PIECE』で現在の舞台は「未来島」エッグヘッド。
鼻の大きな天才・猿田博士の代わりに、「頭の巨大な天才・Dr.ベガパンク」。
愛する猿田博士を守るために無言で自爆してゆく美しき女性型ロボットたちと、ベガパンク本体(ステラ)のために自分を犠牲にしてルフィ達を逃がそうとする美しきステューシー。
『火の鳥 未来編』の猿田博士の白髪は天使や鳥の白い翼、あるいはシラサギソウの花のように描かれ、ベガパンク本体(ステラ)の眉毛も翼、あるいは団子っ鼻=ヤシの実から出たヤシの木の芽や葉のように描かれています(※)。
(※以前書いたように、ベガパンクの横顔では「眉毛、鼻すじ、鼻」が「♪(音符)」になっています)
つまりベガパンクとステューシーの関係は、『火の鳥 未来編』の猿田博士と女性ロボットたちの関係に重ね合わされているというのが、私の分析です。
したがって、ステューシーのベガパンクに対する感情は、『火の鳥 未来編』の猿田博士と女性ロボットたちに準(なぞら)えて「愛」であると、私は考えます。
また、第1115話ではステューシーがPUNK-03「想(エジソン)」から逃げるように諭されています。
生きる目的を見失ったステューシーと、捕まっているカクとが並べて描かれているため、この後の展開で、2人が協力してなんらかの目的に沿った行動をすると予測できます。
2人は暗殺や潜入工作という後ろ暗い任務を遂行してきました
ですから、おそらくはその逆の行動をすると考えられます。
2人は「エッグヘッド内の生存者」を救助するのではないでしょうか。