形式陶冶
形式陶冶とは、学習内容の習得よりも思考、感情、意思、記憶力、創造力、問題解決能力、判断力、推理力、観察力などの諸能力の形成を重視しながら、人間の精神的諸能力を形成する働きのことを指し、生活一般の中での思考力や態度に影響を与える側面のことを言う。
形式陶冶がとりあげられたのは近代以降。
しかも、ラテン語やギリシャ語などの古典や数学の教育的価値と結びつけ、それらの合理性、普遍性を強調するために用いられました。
また、7自由学芸や、
人文主義を批判する『百科全書主義』
に対抗するためにもしばしば用いられました。
~形式陶冶の例~
児童は掛け算の学習を通じて正しく計算する知識・技能を獲得するが、同時に問題を解決する際、掛け算の利用が有効であるかを判断し、思考することが出来るようになる。
このような例では、九九の獲得を
実質陶冶、判断力や思考力の向上を形式陶冶である。
教育活動において知識、技能を形成することを『陶冶』という。
記憶力や推理力など、陶冶にいたる一般的な能力を訓練すればいいとする考えを「形式陶冶」という。また、実生活に直接役立つ知識や技能の教授を重要視する立場を実質陶冶という。
ヨーロッパでは観念論や合理主義の哲学を背景に形式陶冶説が有力であり、さらに19世紀後半に人間は記憶力や推理力、意思力など独立した心的能力を持ち、それらは訓練可能であるということがわかると隆盛をきわめた。その後、実質陶冶の考えも盛んになり、今日では対立関係というよりも相補的な関係にあると言える。
めぐみ
最終更新:2007年09月26日 17:46