ヨハン・フリードリヒ・ヘルバルト

(1776年5月4日 ~ 1841年8月14日)
教育の目的を倫理学的に、方法を心理学に求め、体系的教育学の形成を意図した。



ヘルバルトの教育の目的は、「強固な道徳的品性」の形成である。
ヘルバルトは、1977年ペスタロッチの教育実践を参観し、その教育実践に深い感銘を覚える。ヘルバルトは、『ペスタロッチの直観のABC』を著しており、彼の教育学がペスタロッチの教育思想や実践を手がかりにしていることがわかる。
しかし品性の形成において、ルソーやペスタロッチは「自然」重要視したが、ヘルバルトは教育が「自然」に従う必然性を認めなかった。彼は、教育は本来私的形態であるべきものとし、「国家のことを顧慮しない教育,政治的利害に左右されることのない教育,他人のためにではなく、それぞれの人が自分自身のために陶冶しようとする教育こそが国家にとっても望ましい」と考えた。


その教育方法として、「教授」・「訓練」・「管理」という3つの概念をもって考えた。
「教授」とは、教師・教材・子どもの三肢から構成され、知識・技術の習得・理解の向上を目的とする、知育に関わる。知識や技術を一方的に教え込むのではなく、子どもに関心や興味を持たせる教育活動を重視している。教授の進め方として「明瞭・連合・系統・方法」という4段階教授法を提唱した。
「訓育」は、教師・子どもの二肢で構成され、教授によって与えられた知識と一致した「強固な道徳的品性」を形成することが目的であり、徳育に関わる。
「管理」は、教授・訓育の進行を妨げる様々な外的障害を除去する営みで、現在の学校や学級運営に関わる。



近代の教育思想と教育実践を概観すると、ルソーによって「子どもの発見」がなされ、ペスタロッチやフレーベルによって学校という場での教育実践が行われ、さらに教育実践を反省し、教育を学問として確立しようとしたヘルバルトによって、近代教育学の成立が実現したと総括できる。
最終更新:2007年02月19日 15:33