ポール・ラングラン(Paul Lengrand)

 ポール・ラングランは、生涯学習の考え方の原点を示した人としてしられている。1965年に、パリで開かれたユネスコ(国連教育科学文化機構)の成人教育推進委員会において提出したワーキングペーパーの最初に、「教育は児童期、青年期で停止するものではない。それは、人間が生きている限りつづけられるべきである。」と述べた。
 フランス人のラングランは、それまでの教科書とことば中心の教育に反対する成人教育運動団体のメンバーとなり、その後、ユネスコの成人教育計画課長をつとめた。また、成人教育に関する会議を組織するなど、成人教育の推進に力をつくした。

ポールラングランの人生観

ポール・ラングランの人生観として、主に2つの点がある。
まず生きることと教育について。ポール・ラングランは,生涯教育論の中で,生きることと教育について,どのような人生観をもっていたのかについて考察していく。そして、生きることと教育の関わりは、未来はどう変わるかわからないし,将来役に立つ「内容」も変化してしまう。したがって,変化し続ける「内容」に対して,自分で考え,自分で乗り越えていくことのできる能力,あるいは,精神を一生涯の教育によって獲得し続けるということが大切であるという考えを持っていた。また教育は,人間自体に焦点を当て,人間が「人間的であり続けるための方法」となったことを意味するとともに,人間的であり続けるためには,学習し続けることの必要性を示しているものと思われる
二つ目は家庭教育論について。家庭教育の中でも、主に夫婦については、夫と妻が,相互に教育し合うことの必要性を示しており,さらに,現在,推進されている男女共同参画社会においては,相互理解のもとに,お互いの人間性を高めあうことの大切さも示していることが、ラングランの言及から読み取ることができる。
また,この夫婦の関係は,子どもの成長発達に,大きな影響を与えるものであると思われる。
また親子においては,親が子どもに教えるだけではなく,親が子どもから学ぶこと,また親自身においても子どもと正面からぶつかり,学習し続けていく努力が必要であることを示していると考えられる。
すなわち,新たな課題に対処していく際には,夫婦や親子において,さらにすべての人間関係において,相互教育,相互学習が重要な役割を担っており,学習し続けていく精神が不可欠であることを意味していると思われる。これは,子どもや青年だけでなく,おとなも変わることができるのであり,ここに生涯教育の可能性とポール・ラングランの人生観を見いだすことができると思われる。



りえ
最終更新:2007年08月12日 00:17