『カテキズム』


『カテキズム(教理問答書)』
ルターの著書のこと。

《構成》
まず序文。そして、第一部が十戒、使徒信条、主の祈り、洗礼、告解、聖餐。第二部が「一家の主人が教えなければならない」朝夕の祈り、祝福(食前の祈り)、感謝(食後の祈り)。第三部が、さまざまな職務、身分の務めのための教えを聖書から抜粋したもの。ただし、第一部の告解の部分は、いくつかの変遷の後、1531年以降にこの位置に定着した。 


カテキズムとは…
使徒信条、十戒、主の祈りを三要文(さんようもん)と言う。カテキズムは、基本的にこれらに聖礼典を合わせた学びとなっている。

《必要と内容初代教会》
古代の教会は、洗礼準備として教理の基礎条項を教えることを「カテケーシス」と呼んだ。教会は、一定の基準に従って教えるために、「カテキスモス」と呼ぶ教程を定めた。これが、「通常カテキズムと呼ばれ、信仰問答と訳されるものの原型である」。「ただし、古代におけるカテケーシスはキリスト者の実践に重点を置き、宗教改革におけるそれはもっぱら教理を教える」

中 世
「人々の間に宗教に対する熱心が高まった中世末期においては、それに応えるようにして多くのカテキズムが作られた」

宗教改革期
改革者たちにとって、聖書は個々人によって勝手に解釈されるべきものではない。聖書は、教会によって、正しく伝えられその基本的理解が示されなければならない。こうして、教会における神の言葉の説教が重んじられ、それとともに、教会の信仰の告白として、また聖書の基本教理を理解するためのガイドブックとして、カテキズムが作られた。

宗教改革期に「教理の初歩を教える教材の必要が認識され、多くの改革者がカテキズムを書くようになり、20年代の後半には、その内容と構成がほぼ確定した。すなわち、十戒、使徒信条、主の祈り、この三つが最重要要素である。これにさらに聖礼典が加えられるのは、これが信仰告白と陪餐の準備教育だったからである」

ルター
ルターによると、カテキズムの必要性は自国語での礼拝の必要と同じであって、どちらも、信徒の福音理解のためであり、また、異教徒、子供、召使いらを洗礼へと導く教育と伝道のためであったようだ。そして、この教育のためには、キリスト教の初期から続いている十戒、使徒信条、主の祈りがもっとも簡潔でよく備えられているものであり、ここにキリスト者が知るべき事柄がほとんどが含まれている。
最終更新:2007年05月10日 10:14