問題解決学習


 問題解決学習は、もともと日常生活の中で出あう具体的な問題を教材として、その問題を主体的能動的に解決する問題解決の過程を通して法則の理解や科学的思考の方法・能力の習得を図ろうとする指導法である。
  問題解決の過程は、古くはデューイ(1910)が、
1.問題に気づく
2.問題を明らかにする
3.仮説(解き方)を提案する
4.仮説の意味を推論する
5.仮説を検討する
の五段階に分析している。この順序は、今日でも認められ、言葉は違っても、大体同じ内容を含んでいる。
 例えば、ブランスフォードら(1984)は、
1.問題を見分ける
2.問題を定義し、表現する
3.可能な方略を探究する
4.方略に基づいて行動する
5.振り返り、自分の活動の効果を評価する
といった五段階に分けている。
問題解決学習では、問題解決の過程にみられる、このような順序に従い、授業を進めることになるが、教師とすれば、子どもが効果的に学習しているかどうかを反省しながら、指導することが必要である。

問題解決学習の問題点

 問題解決学習は、経験主義に基づき、子どもが主体的に学習することを重視する。そのため、この指導法には、次のような長短があげられている。
 まず、長所としては、次の点が指摘されている。
1.この指導法では、子どもの関心のある問題を用いることにより、学習に対する動機づけが行われやすい。
2.従来の教育にみられる注入主義を排して、子どもの自発的な学習を促す。
3.思考力・創造性を伸ばすのに役立つ。
4.実践的な問題解決力を獲得させる。
5.子ども自身に計画、考案させ、問題解決を行わせることにより、知識と経験を総合的に獲得させる。
6.集団的問題解決学習では、協同、責任など多くの社会的特性を養う。

 しかし、反面、次のような短所が指摘されている。
1.教師が問題を探すのに骨が折れ、指導に労力と時間がかかる。
2.話し合いや作業が多くなり、指導に時間がかかる。
3.子どもの興味や自由な思考活動を尊重するあまり場当たり的な学習になる。
4.学習が不規則になり、学習の管理が難しくなる。
5.系統的な知識、基礎的な技能が習得されにくい。
6.実際的、技術的な面を重視する問題解決学習では、理論的な面がおろそかになるとか、必要な材料の入手が難しいといったことがおこる。
7.集団的問題解決学習では、優秀な子どもが独占し、傍観的になる子どもが出る。

問題解決学習の実践では、このような問題点を考慮して、その長所を生かす配慮が必要である。
最終更新:2007年08月18日 14:25