分析心理学

分析心理学は、スイスの精神医学者・心理療法家であったカール・グスタフ・ユングが創始した深層心理学理論で、心理療法理論でもある。ユング心理学とも通称する。ユングが研究したものは、コンプレックスの現象、類型論、外向性と内向性、無意識などがある。

ユングが研究したコンプレックス

正式には「フィーリング・トーンド・コンプレックス(Feeling Toned complex)」という。コンプレックスとは「複合体」「組合わさったもの」と言う意味である。現在では、コンプレックスの方が良く知られているが、本来は「フィーリング・トーンド」の方に大切な意味がある。フィーリングとは、感情のこと、ある感情により意味づけ、または、色づけられた、一連の記憶の集合体と言う意味である。そのため、今では、劣等感と同じ意味のように使われているが、違うものである。劣等感による、一連の心のわだかまりは、劣等コンプレックスと言い、母親に対する感情による一連の強い思いは、マザーコンプレックスという。
コンプレックスという言葉自体は、ユングのオリジナルではないが、ユングはこのコンプレックスをとても重要視して、多くの研究を行ったそうだ。ある時は、自身の心理学をコンプレックスの心理学と呼んでいたとも言われている。また、このコンプレックス(感情複合)の現象の研究は、言語連想試験等を通じて深層心理の解明を志向し、当時、精神分析を提唱していたウィーンのジークムント・フロイトより大きな影響を受けた。しかし、ユングは「集合的無意識」の存在を提唱してフロイトと訣別し、元型の概念において、神話学、民俗学、文化人類学等の研究に通底する深層心理理論を構成した。


りえ
最終更新:2007年11月29日 19:17