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ドリーミング社の企み > どたばた大騒動!?

  昼休みが終了し、声と物音が飛び交っていた教室は、今は静けさと緊張がその場を支配している。
 教室の窓際一番後ろの席に座っている僕は、教卓から聞こえてくるやけに力んだ説明を聞き流し、頭の中を働かせていた。
 勉強でもないし、悩みでもない。ましてや、思春期の少年少女に訪れるアレでもない。ただの、思い返し。僕は、今までの記憶のアルバムを読み返していたのだ。

 ――――……


 噂によると、聖夜学園は色々と謎が多いらしい。
 この一行を最初に聞いた僕はこう思った。

“……だったら、何?”


僕がこの噂を知った……否、知ってしまったのは、僕の誕生日パーティが終わった放課後の帰り道だった。
 校門にこんなくだらない情報を新聞部情報購買課から百円で買わされた

 今どき珍しい、幼小中高大一貫教育。
 傍から見ると城のような本校の外観。
 そして住宅街の隣人同士での世間話で度々ネタにされる学園への莫大な寄付金(大半がとある寄付金トップ生徒のおかげらしいが)とか、学園の敷地内に存在するやけに豪華なロイヤルガーデンのことなどを冷静に考えてみると……自他共に認めるツッコミ気質な僕が、転校してからさほど時間は掛からなかった。
 百年に一度の大不況と呼ばれて大人達がデフレや就職難などで追い詰められているこのご時世に、灰かぶり姫の居城もかくやというほどの壮大でファンタジックな学園に通うというのは、現実の世界とおとぎの世界を行き来しているような新鮮な気分に――――、
 なるわけがない。
 やっぱり現実は現実、そんなに甘いもんじゃない。この学園へ転校してくる前は入園案内のチラシを熟読して期待や現実離れした妄想こそはしたものの、今はこの学園もよくよくは普通の小学校の日常と変わらない生活だ。ただ変わったといえば、僕に対する皆の印象……だろうか。

 たとえこの学園に十歳の子供先生が居ようが、天才的な能力を持った生徒を教育させている学園であろうが、どんなに非現実的な学園であっても(ガーディアンが存在する時点で既に非現実的な学園、というツッコミは置いといて)自分がいて心地が良いところじゃなければ、僕が望む新しい世界じゃない。
 そして……この聖夜学園は、僕がやっと見つけた新しい世界なんだ。

「ふわぁ……」


「……わたくしの話を聞いていますの? 桜井君」

 右側の眉だけを器用にピクピクと動かしている女子生徒がいた。平均的にもかなり上をいってそうな高い身長に負けないくらい長い金髪を生やし、学園の制服を崩すことなく着用、右手には白のチョークを持っている……のだが、肝心の黒板は緑一色で文字がまったくない。何故だ。
 えっと、確かあのコの名前は……覚えてないや、まだ転校してきてあんまり経ってないし。一応、彼女がこの二年星組の学級委員長だということは偶然にも頭の中に残っていた。彼女は空いている左手で僕の方をビシッと指差して口を開いた。
最終更新:2010年01月22日 16:38