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樋口有介


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書籍情報

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著者 : 樋口有介 発行元 : 実業之日本社 単行本発行 : 2002.2 発行元 : 東京創元社 文庫版発行 : 2008.6

1995年刊行の「木野塚探偵事務所だ?」に続くシリーズ第2弾。 警官生活37年(ただし経理畑)、警視総監賞受賞(ただし経理事務コンピュータ化の責任者として)という経歴をひっさげてハードボイルド願望(と美人キャスターとの不倫願望)一直線の私立探偵としての生活を送る木野塚佐平と助手の桃世が、今度は国家的陰謀に巻き込まれる長編作品。 * 実業之日本社の単行本のタイトルは「木野塚佐平の挑戦」であり、文庫版は内容を大幅に改稿し、改題したもの。

あらすじ

以下 文庫版裏表紙より引用


現職の総理大臣が急逝し大混乱の世間をよそに、美人ニュースキャスターの姿に煩悶する木野塚氏。些細な事件を解決し、糊口をしのぐ日々だったが、突然ケニアから桃世が帰ってきたかと思うと、オタク男の奇妙な相談をはじめ急な依頼が相次ぐ。それらが、なんとあこがれの大事件に繋がって――。 桃世と共に木野塚氏は今日も行く。ユーモア・ハードボイルド長編、初文庫化、だ!


以上 引用終わり

書評

夢オチでも納得できてしまえそうなトンデモ展開!

前作「木野塚探偵事務所だ?」はハードボイルドな日々に憧れる木戸塚氏が、念願の探偵事務所をオープンするものの、舞い込む事件はなぜかペットにまつわるものばかり……という、妄想と現実のギャップを読者が眺めて楽しむような短編集だったのですが、今作は違います。 大事件に憧れる木野塚氏を待ち受けるのは、氏の妄想を遙かに上回るスケールに!!

という感じなのですが、正直かなり無茶苦茶です。 木野塚氏のあこがれの美人キャスターとの接近に始まって、急逝した総理大臣夫人、現在の臨時総理大臣、次期総理の有力候補である大物代議士との駆け引きまで、話はどこまでも突き抜けてゆきます。 さらに全国のホームレス社会の組織化を進める謎のホームレスや陸軍中野学校の流れを汲む秘密組織の暗躍と、もはややりたい放題。 前作のような地味な日常の謎系統の謎解きを期待していた人には、ついていけないかもしれません。また、木野塚氏の言動がいちいち妄想全開なため、長編でこれを読んでいるとちょっとくどすぎて、イタすぎて結構読み進めるのに疲れたのも確かです。ラストの方はさすがにハイテンポでどんどん話が進むため、一気に読んでしまいましたが。 いかにも長編ハードボイルド小説のような世界に憧れる木野塚氏には悪いのですが、やはり木野塚氏は短編向きの人材だなぁとしみじみ感じてしまいました。

また、今回もケニアから帰還した桃世に引っ張られ、知らず知らずに事件の核心に近づく木野塚氏なのですが、これも長編ゆえ、桃世のキノヅカコントロールが延々と続くような感じで、ちょっと鼻についてしまいました。なんだか木野塚氏を内心で莫迦にしているような感じに受け取れてしまう雰囲気なのです。これは残念でした。

謎解きも、この展開なら社会的問題と絡めた謎解き。本格読みにはもう一つ面白くない結末かな? と感じていたのですが、そこはさすがに色々細かい伏線を一気に回収して結末を組み上げてしまう力業を魅せてくださいます。もちろん話が非常に壮大になりすぎていますので、スケールの大きな謎解きではあるのですが、その伏線の張り方、回収の仕方はやはり本格のそれです。まあ、それでも本格好きの読者の顔を引きつらせてしまうようなトンデモ解決なのですがねぇ。

とにかくとことん妄想が現実に変わり続ける展開で、ひたすらコメディタッチで描かれている本作ですが、所々木野塚氏が周りの人間のいろんな人間模様を目にしたときに感じる哀愁が、記述が深いわけでもないのに、なぜか心に残っています。

いやぁ。 木野塚佐平。 今回はホントに頑張りました。

次回はまた身の回りの小さな事件をほのぼのと解決してください。

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最終更新:2008年11月28日 19:16