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芝村:
:
ここはFVB。王宮の前だよ
時雨 :
「いつきても壮観だなぁ……」
時雨 :
エステルは……
芝村:
いるねえ。相変わらず、小さい
時雨 :
「えっと、こんにちは」
時雨 :
挨拶します
芝村:
そして仏帳面だ
時雨 :
「……あの、エステルさん?」
エステル :
「なんでしょう」
時雨 :
「良かったら、ちょっとこれから遊びに行きませんか?」
エステル :
「どこにですか」
時雨 :
「そうですね……この辺りを見て回ってもいいですし」
エステル :
「……」
時雨 :
「鳥居とか、塔があるんですよ」
芝村:
エステルはため息をついた。
エステル :
「いいでしょう。つれていってください」
芝村:
それにしてもエステルは、なかなか笑ったことがない
時雨 :
「は、はい」
時雨 :
そういえば、小笠原でも笑ったところを見たことがありません
エステル :
「どちらですか」
時雨 :
とりあえず、灯台の方に行きます
時雨 :
王城から北の海にあります。
このイベントの舞台です
芝村:
はい
芝村:
歩いていくかい?
時雨 :
そうします。
芝村:
はい
芝村:
エステルは歩くのが遅い
時雨 :
歩幅をあわせてゆっくり歩きます……
エステル :
「意外に遠くないですか」
時雨 :
「割とすぐ、の印象があったんですが……」
時雨 :
「車を拾いましょうか?」
芝村:
エステルは貴方をにらんだ。
エステル :
「結構です」
時雨 :
「わかりました」
芝村:
距離は近いよ。貴方の足なら1時間もいらない
時雨 :
ですよね、地図を見て何度も確認しました……
時雨 :
「でも、お疲れでしたらちゃんと言って下さいね」
芝村:
エステルはなにかつぶやいてるが、聞こえなかった。
芝村:
2時間後、石油塔についたよ
時雨 :
:
エステルの様子はどうですか?
芝村:
髪が乱れている。
芝村:
息が荒いし、つらそうだ。
時雨 :
「少し、休みましょうか」
時雨 :
灯台の中に休憩室くらいはあると思いますので。
エステル :
:「・・・」
芝村:
エステルはうなずいた
時雨 :
灯台の職員に話して、少し使わせていただきます。
芝村:
はい
時雨 :
「お茶、いかがですか?」
芝村:
ここは灯台というよりも石油塔の作業者休憩所だ。
芝村:
雑多で汚い
時雨 :
完全に工業化されてしまいましたか……
エステル :
「後ろを向いててください」
時雨 :
「はい」
芝村:
エステルの痛そうな声が聞こえる
時雨 :
「……」
エステル :
「いたっ」
時雨 :
振り返ります
芝村:
エステルが靴をなげた。
芝村:
あなたはぶっ倒れた。
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芝村:
3分後。あなたはイタタタと思いながら顔をあげた。
時雨 :
はい。
芝村:
エステルのタイツが破れている。脚に肉刺(まめ)ができているようだ
芝村:
赤ちゃんみたいな脚だね
時雨 :
……
時雨 :
救急箱くらいありますよね?それを探してとってきます
エステル :
「……後ろを見てといったのに・・・」
時雨 :
「心配なんです」
エステル :
「いやらしいだけです」
時雨 :
「いやらしいって……」
エステル :
「消毒薬をください」
時雨 :
「わかりました」と言って、薬を救急箱から取ってきます
時雨 :
脱脂綿とピンセットも一緒に。取ってきたら、向こうを見ないようにして渡します
芝村:
エステルはぶつぶつ言いながら痛そうな顔で治療している
時雨 :
後ろを向いたまま謝ります。
「すみません……無理をさせてしまって」
エステル :
「あやまらないでください。これも訓練です」
時雨 :
「……わかりました」
エステル :
「……」
エステル :
「地上を歩くのは、楽しいかなって」
時雨 :
「今度、練習しましょう。ちゃんと」
エステル :
「一人でやります」
時雨 :
「手伝いくらいは、させてください。せめて、差し入れくらいは」
時雨 :
「一人でやるより、そっちのほうがいいと思いますから」
エステル :
「……」
エステル :
「少しなら」
時雨 :
「……はい」
芝村:
エステルは急に顔を赤くした。
エステル :
「帰ります」
時雨 :
えっと、まだ背中合わせのままですよね
時雨 :
「わかりました」
時雨 :
「車を呼びます」
芝村:
エステルはため息をついた。
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