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ビール工場 - (2008/07/29 (火) 22:02:32) のソース

「今月は白夜だ。一晩中飲み明かそう!」
「あんた毎月飲み明かしてるじゃないかい」
~いつもの会話~

 t:要点 = ビール
 小さなビール工房がいくつもあり、質のいいビールを各種揃えている。
 お勧めはエール系のビール。白、黒、琥珀とそれぞれ味わいが違う。
 ビール工場の大量生産のビールは水っぽく、イマイチ。後味はいい。
#image(a264.jpg,title=ビール)

 t:要点 = 猫
 ビール工場には猫がいる。
 帝國で猫を飼うのはいかにも珍しい事だが、これには無論由来がある。
 ビールの原料となる穀物の天敵、特にネズミを捕まえてくれるのだ。
 無論今は昔。穀物の保存もしっかりしているし、ネズミの騎士も滞在するこの国で実際にネズミを捕る必要はほとんどない。
 それでもビール工場には猫がいる。
 そして猫達は、今でもビール工場を護っているのだ。

 t:要点 = タンク
 ビールは食品なので、それを醸造するビールタンクには細心の注意が払われている。
 特に内装は、完璧に磨かれて常に清潔に保たれているの。
 
 t:周辺環境 = 穀倉地帯
 王都イリューシアの西部には肥沃な穀倉地帯が広がっていて、ビールの原料となる大麦もそこで収穫されています。
 需要を満たすため地下農園でも生産が行われていますが、やはり短い夏に地上で育った大麦で作られたビールの方が好まれます。
#image(a247.jpg,title=穀倉地帯)


** ところで
 ビール工場の取材のため、我々取材スタッフは現地のブルワリーパブ&footnote(ブルワリーはビールの工房。規模が大きくなるとビール工場になります。)を訪れていた。
 
 「カンパーイ」
 
 まずは駆けつけ一杯、赤みがかった琥珀色のビールは見事なパーフェクトパイント&footnote(ポスターにも使われる、最も美味しいビールの状態とその見た目。注ぐ温度、泡の高さと上がりきるまでの時間など厳しい条件がある)。
 口当たりもまろやかでさすがのこだわり。
 濃いルビー色の黒ビールも後で頼もうと考えつつ定番のフィッシュ&チップスに手を出す。
 うまい。たった三文字で全てが表現できることにたまらない幸福を覚える。

#image(a232.jpg,title=酒場)
 ブルワリーに併設された店内は親しみやすい雑然とした実にクラックな雰囲気&footnote(craic=和気藹々とした楽しい雰囲気。高級感はあまりない。ところで「クラックな雰囲気」と「頭痛が痛い」は似ている。)。
 壁には商品棚があるところを見ると、万屋でもあるのだろう。
 一人酒を嫌って店に繰り出す国民性の表れといえる。
 などと講釈をぶちつつシェファーズパイを皆でつつく。
 (「藩王とか摂政いるのに何で一人一皿じゃないのさ?」「あ、ここオフレコでよろしく」)
 これは……口の中に懐かしさが広がる家庭の味。
 いや、家で食べたことないけど。うまぁ。
 
 リンゴのサイダーを飲みつつソーダブレットをぱくつく。
 え? あ、お酒ですよ。炭酸? 何言ってんですか。
 シードルとも言いますけど立派な発泡酒。まったく、東国人じゃないんだから&footnote(シードルはCiderのフランス読み=イギリスのサイダー。日本のサイダーはイギリスのサイダーを真似て作ったノンアルコールの炭酸飲料。なんだって。)。
 (懐から本が落ちる。題名は“5分で使えるお酒の話題”)
 え、ああ。いやこれは……あ、店員さんメニュー、メニュー。
 ビールの取材なんだから、次は黒ビールね。
 
 うん、このきめ細かでクリーミーな泡がやっぱり違うよね。
 あ、これは?
 (グラスに注がれた泡の表面に、三つ葉の模様がくっきりと見える)
 へえ、シャムロックって言うんだ。幸運のお守りか。
 いいね。また来るよ、今度は仕事抜きでね。


#asciiart(blockquote){L:ビール工場 = {
 t:名称 = ビール工場(施設)
 t:要点 = 猫,タンク,ビール
 t:周辺環境 = 穀倉地帯
}

文:九音・詩歌
絵:豊国 ミルメーク、駒地真子、花陵
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