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海藻の利用 - (2010/09/29 (水) 20:03:01) のソース

#image(海藻表題.jpg)
#asciiart(blockquote){L:海藻の利用 = {
 t:名称 = 海藻の利用(技術)
 t:要点 = 海で育つ,無数の海草,燃料
 t:周辺環境 = 海
}}
#contents()
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***&font(#0066FF,b,u){★海藻の利用概要}
詩歌藩国は、島国である。
島国にとって海洋資源を利用するのは至極当然であった。
&font(#4169e1){海で育つ}&font(#006400){無数の海草}もその対象なのは言うまでも無いだろう。
そのため、詩歌藩国で海藻は様々な利用、研究がなされている。
詩歌藩国では海藻は身近な存在なのだ。

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***&font(#0066FF,b,u){★海藻の様々な利用方法}
&strong(){食用}
海藻は品種にもよるが低カロリーでビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれる。
その他にも病気の予防となる成分が含まれており、健康にいい。
そのため様々な加工食品の原料でもあり、海藻を用いる料理は数多い。
また、海藻から抽出された成分を用いた加工食品やサプリメントが流通している。

&strong(){科学技術分野}
海藻の様々な成分や特性は様々なものに使われている。
安定剤、乳化剤、軟膏の基剤、薬剤、止血剤、食品安定剤、手術糸などその分野は幅広い。
海藻の成分を活かした健康食品、化粧品は広く詩歌藩国で流通している。
後述するが海藻の生長の早さを活かしバイオエタノールの原材料にも使われる。

&strong(){飼料、肥料}
豊富な栄養から畜産の飼料、農業の肥料にも用いられる。
また、海藻から特定の成分を抽出したあとの残りカスなどが積極的に使われている。

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***&font(#0066FF,b,u){★海藻原材料のバイオエタノール生成計画}
バイオエタノールの原材料に海藻は適していると考える。
海藻は生育が早く、既存の食糧、飼料の供給に影響を与えないためである。
藩国で稼働中の[[燃料生成施設]]によりノウハウは豊富に揃っているため施設運営に関しては不安は少ない。
こうして、海藻原材料のバイオエタノール生成計画が立案され、十分な試験、思索のもと実行された。

バイオエタノールの原材料に使用する海藻は繁殖力、生長力が強く、温暖な時期に収穫するものを使用する。
収穫時機を限定するのは収穫作業時の危険性を減らすためである。

養殖方法はロープとネットを組み合わせた巨大な養殖器具をある程度の水深の海流に流して養殖する方法、
海流の無い浅い海では大規模な浮き流し養殖設備&footnote(浮き流し養殖法とは、支柱を立てずにウキ使って海に網を浮かせる方法。支柱をたてることができないような深い場所での養殖が可能)を用いる方法の二種類を場所に応じて行なう。
既存の生態系、潜水艦の航路、漁との兼ね合いも十分考慮し、事故を防ぐため海図にも記入される。

収穫された海藻は巨大な海洋運搬バッグに詰められて、船で海藻バイオエタノール生成施設まで牽引される。

運ばれた海藻は蒸留、発酵などの工程を経て成分ごとに様々なものが生成される。
海藻の大部分を占める水分は蒸発、或いは放流される。
分解する事で糖になる成分を特殊な酵素で糖に分解し、バイオエタノールを生産する。
他有機分、栄養塩、灰分&footnote(灰分は不燃焼性物質、つまり金属酸化物のこと。ミネラルは無機質で作られた物質の総称のこと。なので厳密に言うと違うもの)は飼料サプリメントや肥料に用いられる。
従来のバイオエタノールの精製の際には家畜飼料等との競合の問題があったが、これにより軽減することが出来る。

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***&font(#0066FF,b,u){★様々な採藻漁}
海中に生えている海藻と磯や浅瀬に生えている海藻では漁の形も大きく変わる。

磯や浅瀬に生えている海藻は以下のような漁をする。
ウエットスーツを着用して浅瀬に入り、覗きメガネを使用して手取りで採取する。
干潮時の磯で海藻を手採りする。
磯に生えている藻を手かぎ、マキリ等&footnote(漁師が用いる万能ナイフ)で刈り取る。

海中に生える海藻は素潜り、もしくは
船上から覗きメガネで海中を見つつ、長い棒の先が様々な形状になっている漁具を用いて漁をする。
以下に形状と使用法を併せて紹介する。

二股状
海藻を絡めてねじり採る
カギ状
海藻を手元に引き寄せ、手で引き抜く。鎌で切断した海藻を回収する
螺旋状
海藻を絡めてねじり採る。沈めるのに苦労するが一度に沢山採れる。主に海藻の密集地帯で使われる。
若い海藻も取れてしまうので使用を禁止している地域もある。
鎌
海藻を切断して採る。

また、時化模様の日には浜に打ち上げられる海藻を拾う漁が行われる。

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***&font(#0066FF,b,u){★様々な海藻の養殖方法}
貝殻に胞子を付着させ成長させたあと、胞子を網につけ、養殖する。
胞子が付着した養殖網を冷凍し、時期をずらして養殖する。
藻体をミキサーで細かく砕き、養殖網に付けて養殖する。
網をよじって作った綱に藻体を挟みこんで吊るして養殖する。
海藻の仮根部を培養して綱に差し込んで養殖する。
胞子を着生させたプラスチックタンクに網を放り込みかき混ぜた後、海で養殖する。
藻体を束ねて浅い砂地に埋め込み養殖する。
砂袋に藻体を巻き付けて沈めて養殖する。

基本的に養殖は、養殖網や養殖綱に付けた海藻をまず最低限育て上げる。
この際、[[詩歌の技術>http://www10.atwiki.jp/siika/pages/259.html]]が初期に使われる。
[[詩歌の技術>http://www10.atwiki.jp/siika/pages/259.html]]は歌う間、生物の反応は1562倍になるため、海藻を定着させる際に使われる。
そして、浮き流し&footnote(浮き流し養殖法とは、支柱を立てずにウキ使って海に網を浮かせる方法。支柱をたてることができないような深い場所での養殖が可能)や支柱に養殖網や養殖綱を張り、海で育て上げる。
海で育てている時にも品種によっては間引きなどを行なう必要がある。

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***&font(#0066FF,b,u){★フリー配偶体技術}
フリー配偶体技術は海藻の養殖に用いられる技術です。

&strong(){配偶体とは}
まずは配偶体とは何かについての説明を行ないます。例としてコンブを出します。
私達がコンブと呼んで食べている時期と、肉眼視できないほどの小さい時期があります。
私達が食べている時期が胞子体期、目に見えない時期は配偶体期と呼ばれています。
配偶体期はコンブの表面から放出された胞子(遊走子)が成長し、配偶体となり受精するまでの期間のことです。
コンブの配偶体は雌雄が分かれています。交わることで受精し、胞子体期、つまりはゆらゆらとしたコンブに成長するのです。

この配偶体段階での管理を行なうのがフリー配偶体技術となります。
フリー配偶体技術を用いた養殖ではまず、目的の海藻から遊走子を放出させ、それを培養し配偶体にします。
その配偶体から、雄雌の配偶体を1尾ずつ選び出します。
この雄雌の配偶体は、条件を整え栄養を与え培養していきます。
その後、培養によって塊になった配偶体を種付けの時期まで保存培養しておきます。
種付けを行なう時期になったら配偶体の塊を細かくミキサーで砕き、糸に付けて受精させ幼葉まで培養させます。
後は通常の養殖方法と変わりありません。

&font(u,b){フリー配偶体技術による利点}
&strong(){種苗培養の期間短縮と簡略化}
一度配偶体を保存しておけば採苗の作業が不要になります。
配偶体培養水槽の管理期間が大幅に短縮できます。

&strong(){良質な品種を維持できる}
良質な品種が出来た場合、その雌雄配偶体を保存培養することで以後、その品種を維持していく事が出来ます。
淘汰による遺伝の偏りや、他の遺伝が入り込んだりすることが無くなります。

&strong(){良質な品種を生み出すことが容易である}
雌雄1尾起源の配偶体を培養できることで品種改良が効率よく確実に行なえます。

&strong(){フリー配偶体技術の欠点}
フリー配偶体培養が無菌操作やある程度の施設を必要とします。
この欠点を補うため詩歌藩国では種苗センター、漁業組合で培養供給を行なっています。

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***&font(#0066FF,b,u){★海藻の養殖における深層水の利用}
ここでいう深層水とは、深度200メートル以深の海水のことを指す。

海藻の養殖に用いる水として、深層水は適している。
それには大きく分けて3つの理由がある。

&strong(){水温の安定}
海面に近い表層では太陽光や天気により水温は一年を通して大きく変化する。
一方、深層では太陽光が届かないため、水温は周年安定している。
養殖する海藻と水温が合っていないと海藻の枯死、成熟を招き生長を妨げる。
水温が安定している深層水であれば水温調節コストを低くすることが出来る。

&strong(){豊富な栄養}
深層には太陽光が届かないので植物プランクトンの数が少なく、栄養素が消費されていない。
そのため深層水には海藻の生長に必要な栄養成分が豊富に含まれる。
栄養が豊富なので肥料を付け加える必要がなく、取水する水量も少なくて済む。

&strong(){不純物が少なく清浄}
深層では生物が殆ど居ない為、深層水を取水する際に混入することが少ない。
メンテナンスコストを減らす事が出来、海藻に混入物が入るのを防げる。
また、深層は人間の排水などの影響も受けずプランクトンもいないので雑菌も非常に少ない。
化学的にも細菌学的にも非常に清浄である。

表層水と深層水は通常は一部の海域を除いて混ざり合うことは無い。
ただ詩歌藩国は地熱地帯や海洋火山が多いため、熱により海水が深層から表層に湧き上がることがある。
また、深層水はフィヨルド&footnote(氷河による浸食作用によって形成された複雑な地形の湾・入り江のこと。湾の入り口から奥まで、湾の幅があまり変わらず、非常に細長い形状の湾を形成する)や狭い湾など閉鎖性の海域の場合、海水の入れ替わりに長い年月がかかるため取水は禁止されている。
そのため養殖施設建造の際には念密な事前調査が必要とされる。

深層水を取水しての養殖法は、設備などの問題からどうしてもコストがかかる。
深層水を効率的に用いるため、高密度での養殖法が研究、開発された。

まず、胞子の段階で複数の藻の根部が連結するように操作が行われる。
こうすることで、胞子の塊を大量に作ることができる。
これにより養殖タンク内での浮遊養殖に成功し、高密度での養殖が可能になった。
養殖タンクは海藻の生長速度に合わせた大きさの物を用意しておき、海藻の生長に伴い、大きい養殖タンクに移していく事で海藻の生長速度を維持していくことができる。
この養殖法により、コストを下げつつ深層水の特長を生かした海藻の養殖に成功した。

海藻の養殖で用いた深層水は排水となる前に、貝類やその他の養殖に有効に使われている。

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***&font(#0066FF,b,u){★火山灰、溶岩を利用した海藻礁の設置}
詩歌藩国ではT14に火山の噴火があり、大量の火山灰、溶岩が噴出した。
それらの利用法として海藻礁の材料が挙げられる。
海藻礁とは有用海藻の増殖を目的として海中に設置される人口魚礁である。
①形状を土砂の堆積しにくい柱状にする。
②波により千切れ海中を漂う海藻を付着させる為に柱状のブロックには棒状突起を取り付ける。
③基質表面に凹凸を付けることでウニ・アワビなどの植食動物に海藻が食べられにくい。
これらの工夫により、対照ブロックや天然岩礁と比較して1㎡あたりの着生量が多くなり、火山灰、溶岩の大量処理が可能となる。また、溶岩の特徴である多孔質な孔が海藻の増殖に有効に働く。

ただ、人の手を加えて環境を整えるとは周りに影響を与えることである。
行き過ぎると自然が作り出した絶妙のバランスを崩す恐れがある。
よって、災害等で荒廃した海中環境の回復を早めることを第一の設置目的とする。

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***&font(#0066FF,b,u){★様々な取り組み}
&strong(){海藻の保護}
海藻は海の生態系において重要な役割をもつ。
海藻の乱獲は、海の生態系のバランスが崩れたり、藻場&footnote(様々な海藻の群落)の消失などに繋がる。
前述の海藻礁や、海藻の人工種苗による藻場の造成などの再生事業、
採取場所や採取期間の規制などを行い限りある資源を守り残すように努力している。

&strong(){森林の保全活動}
海の生態系と陸の生態系は繋がっている。特に森林と川による海への影響は強い。
森の豊富な栄養が川を流れ、海へ流入し生態系を豊かにしている。
森が荒れ果てれば、土砂が川を流れ、海に流入し生態系に大きな影響を与える。
森林を守る事が海を守る事に繋がっている。
そのため森林の保全を行う漁業組合も多い。

&strong(){海洋への鉄分の供給}
植物プランクトンと鉄分は重要な関わりがあり、鉄分を供給することで植物プランクトンを増殖させることができる。
鉄と腐植土との混合物を袋詰めしたユニットを海に鉄鋼入れ、人工的に腐植酸鉄を海に供給する。
ここで使われる鉄は鉄屑などでも良いが、有害物質が含まれていないかどうか厳しくチェックしなければならない。
鉄分が供給され、植物プランクトンが増殖することにより海藻や魚も増えていく。
この場合にも環境に人の手を加えることになるので十分な注意が必要である。

&strong(){バラスト水への課題}
バラスト水とは船舶のバラスト(重し)として用いられる水のことで海水が用いられる。
船舶、特に貨物船は積載貨物などの重量を含めた運用を想定されているため、空荷だと様々な支障が生じる。
そのため空荷の際はバラスト水を取水して運用される。そして貨物を積載する際に排水される。

バラスト水を取水する際、海中の水生生物も共に取水される。そして排水と共に水生生物も放出されてしまう。
これにより様々な水生生物が多国間を行き来し、外来種問題を引き起こす。

これを防ぐため、
バラスト水への処理、または管理の推進。
バラスト水交換場所の指定。
 陸地から200海里以上離れた場所で、かつ水深200m以上の水域で行うこと。
ノンバラスト船の研究の推進。
などの取り組みが行われている。

&strong(){海と共へ歩む未来へ}
海藻はもとより、水産資源は乱獲や環境破壊により、容易く失われてしまう。
行政はそれを防ぐため、環境破壊に対する規制や乱獲の規制を行い、環境の保護、保全を図っている。
漁業も採るだけではなく、養殖、栽培漁業などの環境と共に歩む漁業が求められている。

#image(海藻.jpg)

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スタッフリスト
文
竜宮・司・ヒメリアス・ドラグゥーン
絵
花陵ふみ
編集
竜宮・司・ヒメリアス・ドラグゥーン


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