「いやぁ、本当に悪かったよ忍。
僕の失態のせいでいろいろ面倒巻き込んで。
あまつさえ、お前のことをミステイク忍なんて呼ぶなんて
許し難い行為だったな。本当に悪かった。許してくれ忍」
「……………」
「本当にお前は吸血鬼の鑑だよ。まぁ吸血鬼は鏡に映んないけどね。
実際は僕も実は不安だったんだよね。
あんなバイオハザードも尻尾を巻いて逃げだしそうな怖い怖い
世界から帰ってさ、いきなり戦場ヶ原や羽川に会って
少しでも正常でいられるかってさ。きっとゾンビのことを思い出して逃げ出したと思うな。」
「しかしそれなのにお前は、その気持ちを察してくれたんだな。
一回クッションをいれて不安を和らげようとしてくれたんだよな」
「……………………」
「さすがは忍だ。相談もしてないのにこんな僕を慮ってくれるだなんて。
お前に隠し事はできねぇな。さすがの僕のヘタレっぷりでも
こんな醜く汚い殺し合いの世界に連れてきてくれたら
ゾンビなんて目でもねぇよな。もしかすると影縫さんにも
ビビらずに立ち向かえるよ。断言できるね。まぁそれは大言壮語かも
しれないけどさ。サンキューな忍。これなら安心して戦場ヶ原たちに会えるよ。
マジで感謝だぜ。お前にはいくら礼を言っても言いたりないけど、
あと一回言っておこう」

「ありがとうございました!」

深々と頭を下げる僕。
忍は目を逸らしっぱなしである。
「で、だ」
そして顔を起こす。
だけど今回は憤怒というよりは哀憐の表情を浮かべていると思う。
「なんかさぁ、ミステイク忍も板についてきたな。
失敗ばかりじゃん今回のお前」
「……………………」
「………まぁいいや、やること決まった訳だし、とりあえず行くぞ。」
冗談を言えるのはここまでだ。
これからはどうしようもなく笑えない状況に首を突っ込むから。
「…………………そ、そうじゃな。」
久しぶりに発せられた、忍の声。
僕が思い返すは三十分ほど前のこと

後日談というか、今回のオチ…を語るつもりでいた。
いた。とは過去を表わす言葉。ようするに、簡単に言うと、語れなかった。
本当は北白蛇神社に無事着いて、太陽の光で目を覚まし、
忍に膝枕してもらい、八九寺と戯れて、家に向かう予定だった。
そこ。メタとか野暮なツッコミはいれない。
しかし現実に目を覚ましてみると
「どこだよ…。ここは」
そう北白蛇神社ですらなかった。見た感じゴミ捨て場らしき場所だった。
神なんていそうにもない、禍々しい雰囲気を感じさせるところ。
なんていうかさ…また?忍ちゃんまた失敗?
「おいミステイク忍、どこだよ。ここは」
「……知らぬ。時代を間違えることがあっても、
場所がこんな大幅に変わるなんてこと本来ないじゃがな。
あとミステイクなどしておらん。」
どう見たってミステイクだろ。なんて言える状況ではない。シリアスだもん。
ちなみに今は夜だが、まぁこっちは大方、忍がまたミスったと考えられるので
あまり気にならないが、しかしなぁ。
「お前間違えて江戸時代とかにとんだ、という可能性は?」
というか、そう思いたかったが、
「おそらく無い。一応こういった類のゴミばかりということは、
おそらくそこまで昔じゃなかろうし、そもそも山などないからの。
たとえ今が江戸時代じゃろうがなんだろうが、場所そのものが変わっておる。
だからその問いにあまり意味はないぞ。」
そのへんに落ちてた鉄屑を手にして言う。
あっさり言ってくれるな。この張本人が。 全くもって偉そうに。
「そっか。でさぁ、帰れるわけ?僕たちは」
目を逸らす忍ちゃん。
「…も、もも、もちろんじゃ」
声が震えている忍ちゃん
「じゃ、じゃがな、こんな不思議な体験をしておるんじゃ。
どうせなら最後まで謎を解明するまで、帰るのはもったいないと思うぞ。うんうん」
意見を主張する忍ちゃん
「………まぁいいよ。じゃあとりあえず歩いてみようぜ。なんか分かるかもしれないし」
…別に忍の主張にのっとるわけじゃない、というか忍が嘘をついているのは、
バレバレなわけだけど、それ以外することがないし、うん。ただ付き合うだけ。
「うん、それがいいぞ。それが。うんうん」
…そういうわけでこの辺りの探索をすることになった。

「やぁ、阿良々木くん。やっと来たね。待ちくたびれたよ」
と。
忍野メメは、当たり前のように、そこにいた。
それと同時に忍は僕の影に消えていった。
そういやこいつ忍野のこと嫌いなんだっけ。
「うん、首輪もつけてないし、あの殺された阿良々木くんの亡霊というじゃあ
なさそうだね。よかった、よかった」
首輪?殺された?…いやそんなことよりも、
「な、なんで忍野が……」
本来、もう僕と忍野の会える確率なんてほぼ0に等しい縁なのに。
「阿良々木くん。君は変なことを言うねぇ。
別に僕は、それこそ君みたいに死んだわけでもないわけだし
縁が≪合えば≫再び出会うことなんて不可能なはなしじゃあないよ」
まぁその通りなんだが、あんま納得できんな。…いや、それももちろん大事だが、
それよりも…またきた阿良々木暦死亡説。君みたいに死んだ。って。
まるで僕が死んだみたいじゃないか。いや、忍野は意外と日本語下手なのかな?
きっとそうだ。だって僕は一応設定では不死身なんだぜ。
神原、いやレイニー・デヴィルのグロイ攻撃を耐えたこの僕が?
ははっ、ありえないって。でも一応確認はしておかないとな。うん。
「ちょっとまってくれ。僕もお前に言いたいことはいっぱいあるし
聞きたいこともたくさんあるが、まず一つ聞かせてくれ。」
「なんだい?」
「この世界の僕もすでに死んでいるのか?」
「うん、ついさっきにね。」
即答だった。少し悲しかった。どこにいったんだろ。僕の不死身性。
変態度はじょじょに順調に着々に上がっているにさ。設定変わりすぎだろ。
紳士で、ニヒルで、クールで、不死身な僕は最近消滅したのかなぁ。
いや、でもそれは忍のせいってことになったからな。ほっ。ひとまず安心だな。
しっかし…ついさっき?こんな真夜中に?吸血鬼性が一番上がるこの時間帯に?
意味分かんねえよ。why?なぜに?どうやって?
「なに?ブラック羽川?」
「ううん。黒神めだか…いや、めだかちゃん<改>かな。」
うわー何だろう。怪異の王の眷属って何だろう。とても悲しいよ。
何?<改>?自分は強いぞ的な?はぁ、なに?中二病患者君に僕は殺されたの?
「まぁ落ち着いてよ、阿良々木くん。
何かいいことでもあったのかい?それについて今から説明するから。」
少し気持ちをブルーにしてくれた忍野はいつもの調子でいつも通りに話を進めていく。
…ちょっと前に手紙を読んだけど、なんか懐かしいな。そんなに前のことじゃないけど。
「それで、順をおって今から説明したいことを説明するけど準備はいい?」
「あ、ああ」
積もる話や、言いたいこともいっぱいあるけど、一大事っぽいので先に譲ってあげた。
「それでね、とりあえず先に言っておくと。阿良々木くんみたいな人にはきつい話に
なると思うんだ。それでもとりあえず最後まで黙って、聞いててくれるかな。」
おぉ。なんかすごい憤った顔で迫ってきたので
「ああ」
と、しか言えなかった。別に断る理由もないけどね。
しかし忍野があんな顔するなんてよっぽどのこと、なんだよな。きっと。
「よし。じゃあ阿良々木くんもそう言ってくれたことだし、
言葉を選ばず、簡潔に、単刀直入に言うよ。」
一回ご丁寧に間を置いて衝撃的な一言を言ってくれた。

「今ここではね、殺し合いが行われているんだ。」

「…………………は?」
うん、僕の頭が正常ならば、忍野は殺し合い、といっていたな。
全くもう、ゾンビ達の次は人を相手取るってわけか。面白い冗談だ。
…………いやいやいや殺し合い?意味分かんない僕が死んだこと以上に意味分かんない。
そして全然面白くねぇぞ。冗談だとしても。
「理解に苦しむのはよくわかるけど。一回僕の話を聞いといてね。」
あくまで冷静に言う忍野。どっからどう見ても冗談をいってるようには見えない。
おいおいこういう時にいつもの爽やかすぎて逆に不快な笑顔をしてくれよ。
真顔って。いやいや似合わないからさ。いつも通りにしてくれよ。
「それで普通そんなこと言われてやる人なんていないと思うけど、
そこで重要になってくるのが首輪というものがでてくるんだけど」
徹底して淡々と言う忍野だが、
「けどお前してないじゃん」
そう忍野は首輪をしていない。
約二カ月前までと同じサイケデリックなアロハ服も、
アニメ化の際少し格好よくなってしまった顔も、清潔感のない感じも、
ほぼ何一つ変わっていなかった。何一つ異常なところはない
…まぁ僕の周りの人たちが変わりすぎなだけかもしれないけど思うと、
具体的には、戦場ヶ原と、羽川と、神原と、妹たち………僕の周りが異常なだけだった。
「まったくせかすなよ。阿良々木くん。何かいいことでもあったのかい?
で、それについても後で言うよ。まずは首輪の役割のことだけど、
まず一つに禁止エリアという場所に入ったら爆発する。
二つ目に一定時間ごとに人が死ななければ、全員の首輪が爆発する」
もうさすがに冗談とは思えなかった。ここまでボケを重ねるわけなしな。
しっかしまぁ何ていうか言葉が出ない。なんか驚いてばっかだな。最近。
現実味が全然わかない。緊張感もでない。
「阿良々木くん、まだついてきているかい?
もうここまで言えば察したかもしれないけど、」
「その殺し合いにのった奴に僕は殺されたわけだ」
忍野の言葉を遮って答えを言う。簡単すぎる問いだった
「…ご名答」
「しかしなんで僕を殺せたんだ?」
「阿良々木くんのくせに視る点が鋭いじゃないか」
「くせには余計だ」
相変わらずこいつは一言多いなぁ。
「で、そこがこの殺し合いのミソでもあり、僕が怒っていることなんだけど、
簡単に言うとね、ある薬物の影響でこの殺し合いの参加者のステータスやスキルが
ある程度下げられているんだよね。阿良々木くんの場合は物資創造能力や
肉体変形とかが禁止させられて、再生力が著しく下げられたんだよ」
「それでも相手は普通の女の子だったんだろ?」
勝てない相手じゃあないと思うけど。
「普通じゃあないよ。異常だよ。それも異常中の異常、
相手が悪かったよ。あの子はさあ、なんていうか
エナジードレインならぬスキルドレインって感じでさぁ。
阿良々木くんの再生力を奪って、しかも、全盛期の忍ちゃんも殺しちゃうぐらいだもん。
まぁこの場所だったからだろうけどね。普通はどんな手使おうが、ありえないけどね。」
「……………」
マジかよ。全盛期の忍がねぇ。
あと関係ないけどさっきからだんまりが多すぎだな、僕。気をつけなきゃ。
「けど、僕が怒っているのはそこじゃあない。むしろバランサーの僕からみたら
結構好きな状況なんだけど。阿良々木くんこれを見てくれる?」
そういって紙束を渡された。
そこには顔写真と細かな情報が書かれていた。
「とりあえず一通り見てみて。」
その紙束には、
本名不詳          ~戯言遣い
哀川 潤          ~人類最強~
零崎 人識         ~殺人鬼~  とか
水倉 りすか        ~赤き時の魔女~
供犠 創貴         ~『魔法使い』使い~ とか
鑢 七花          ~虚刀流七代目当主~
容赦姫           ~尾張幕府家鳴将軍家直轄預奉所軍所総監督~
真庭 鳳凰         ~神の鳳凰~ とか
櫃内 様刻         ~破片拾い~
串中 弔士         ~悪魔の子ども~ とか
黒神 めだか        ~完成~
人吉 善吉         ~普通の皮をかぶった異常~
球磨川 禊         ~大嘘憑き~ とか
阿良々木 暦        ~吸血鬼もどきの少年~
戦場ヶ原 ひたぎ      ~蟹に行き遭った少女~
羽川 翼          ~猫に魅せられた少女~ …とか
ちなみに忍野メメの名前は無かった。
「…………………!!」
自分でも血の気が引いていくのが嫌でも分かる。なんで、なんで!
「分かると思うけどそれ参加者名簿だよ」
それぐらい分かる。そんなことより
「なんであいつらの名前があるんだよ!ついでに言うとお前の名前はどこにもねえぞ!」
「ついでとは酷いなあ。これでも恩人だぜ。そんなんだからツンデレとかいわれるんだよ。
それとそんな大きな声で言わなくても聞こえるよ。
何かいいことでもあったのかい?…ていうか三回も言わせないでくれるかなぁ」
「茶化すな!言えよ!なんでだ」
「……分かったよ。まずは阿良々木くんの質問から答えよう。めんどくさいなぁ」
はぁ、とため息をついて、本当に面倒くさそうに話し始める。
「じゃあまず、ツンデレちゃんとかのヤツからね。何ていうか
え~とね、まずねこの殺し合いは、ある程度固まりをもっているんだ。
全員が全員、赤の他人じゃあない。ある人間に焦点をあててその周辺の人間を
連れてきたんだ。でこの場合焦点が阿良々木くんだったから、
ツンデレちゃんや委員長ちゃんたちが来たってわけ。」
「なんで僕なんだ」
「ん?分かんないかい?なら言うけど、
君はあの鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼
キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの眷属なんだぜ。
すこしでもその手のことかじっていれば、珍しいことこの上ないよ。」
「…なんで戦場ヶ原とかを巻き込んだ?」
「さぁ?大方、焦点である君たちのやる気を出すためとかそんな感じじゃない。」
なんかもう怒る気にもならないな。
なにがしたいんだ。この殺し合いの主催者は。
「他の参加者も大体そうなっているよ。これで納得言ったかい?」
「納得なんざ全くできないが、もういいよ。次に進んでくれ。」
もう驚きや怒りを通りこして何ていうか呆れてきた。
「じゃあ進ましてもらうけど、それで僕の名前がない理由だっけ。簡単さ。
参加者がいれば、主催者も当然いるさ。そして参加者じゃなければ
もう主催者側しかいなじゃないか。」
うん、まあ分かることだったけどね。たかが参加者程度が
今まで言ってたことすべて知っているとは思えないし、
伏線みたいなものは他にもあった。
「それで、そのお前は、何しにここに来た。僕を殺しにか。」
…それならそれで逃げるけど。殺したくないし。
「はっはっは全く元気がいいな。阿良々木くんは。
四回目だけど、何かいいことでもあったのかい。
別に僕はそんなつもりはないよ。むしろ協力してほしいぐらいさ。」
「…殺し合いの促進か?」
「いやいや全っ然的外れもいいとこだよ。阿良々木くん。
逆、逆。この殺し合いをぶっ壊してほしいのさ。」
「…はぁ?意味わかんねぇよ。じゃあなんでお前はそっち側にいるんだよ。」
矛盾もいいとこだ。

「うん?あぁ。僕もねこの殺し合いじゃなきゃ仕事を真っ当してもよかったんだけど、
この殺し合いは駄目だ。異常すぎる子ばっかりだもん。
これじゃあこの殺し合いが終ったあと、バランスが崩れるのは必至だよ。
これはバランサーとしては防がなきゃあならない。
僕としてはもっと普通の子ばっかりだと思ったんだけど。」
「それもそれで許せんが、それより質問に答えろ。
そもそもなんでお前はそっち側にいるんだ。と聞いたんだ。僕は。」
「いや~。恥ずかしい限りなんだけど、ある日、主催者リーダーのジィさんに
金を大量に出す。といわれてね。とりあえず仕事を請け負ったんだけど、そのあと
詳しい内容も一応聞いても全然教えてくれなくてね。無理に聞くと金のことを言われてね
渋々聞かないでいたんだ。ようするに賄賂みたいなものだよ。いや違うかな。
しかし欲に目がくらんだのが間違いだったね。
まさかここまでとは思わなかったよ。敵、いや味方かな?どっちでもいいけど天晴れだよ」
「お前ってそんなに金に汚い男だったけ?」
それは貝木だけで十分なキャラ付けだ。
「というよりは、君たちの町が異常に仕事が繁盛しただけだよ。
基本的に僕は、金に汚い男だよ。…それで僕の頼みごと頼まれてくれるかい。」
まぁ、何にしたって僕の答えは既に決まっている。
そして僕は答える。
「僕は
「そうそう言い忘れていたけどここは不要湖という場所だよ」
「こ?湖?どこが?」
水なんてどこにもねえぞ。
「このがらくたのせいで今は見れないけどこの立ってる場所の下も
水が溜まっているはずだよ。もったいないね。名前の由来は、
見ての通り不要な物が溜まっている。だから不要湖、と呼ぶらしいよ。
そして今は関係ないけど昔ここは壱級災害指定地域と呼ばれていたんだよ。
「へぇ。足元が危険だからとか?」
木屑や鉄屑が一面広がっているもん。僕も結構危ない
「そんなわけないだろ。正解は昔ここには、恐ろしき殺人からくり人形が徘徊してたから。
名前は日和号、又は微刀「釵」らしいけど、まぁ今はここからは撤去したからね。
心配しなくても、大丈夫だよ。」
ふーん。すげぇなぁ。しかしそんなもんどうやって作ったんだろう。
今でも難しいだうろな。自立型の機械なんて。そんなに興味もないけど。
「それでさぁ、僕はそろそろいくけど最後に一つだけ聞いていいかな」
「別にかまわないけど」
「そう、じゃあ聞くけど、
なんで阿良々木くんたちはこの世界にきたの?」
……………………………………………これは……。
「はぁ?お前が呼んだんじゃあないのか?」
僕はてっきりそう思っていたけど。
「いやいや僕は確かに阿良々木くんたちが来やすいように。って、
結界を薄くはしていたけどここに来るのは僕には強制できないよ」
これは。これは。忍フラグが立ったな。けど一応ね。確認確認
「え?でもお前実際にここにいて待ちくたびれたよ。なんていってくれたじゃないか」
「それはね、ここがこの場所のエアスポットに代わる場所で、
君たちと会う十分前ぐらいにここを中心にエネルギーの流れが変わったからね。
これは阿良々木くんかな?と思って、
今か今か、早くしろよ早くしろよと思って待ってたからね。つい本音がでちゃたんだよ」
お前、毎回毎回そんなこと思っていたのか。
お前絶対女の子とデートできないぞ。
それで、ここに来たのは、ようするにあいつが間違えた、ということだ。
「それで、おそらく忍が失敗したんだろうけど。
あいつも場所は変えられないと言っていたぞ」
「まぁ、普通の怪異だとそうだろうけどなんつったって怪異の王だからね
それ相応のエネルギーがあれば不可能じゃないかもしれないよ。僕も知らないけど。
何が起きようとあの子の前では、あの子だから。で説明ついちゃうからね」
なるほど。これ以上ないくらいわかりやすい説明だ。
ようは、あいつ。全盛期の自分自身のエネルギーを扱いきれなくて、
間違えてここに来ちまったと。なるほど。なるほど。よ~くわかった。
「…?まぁわかんないようなら別にいいよ。
それじゃあ僕はとりあえず帰るね。君は死なないと思うけど、
くれぐれも気をつけていってきてね。それじゃ、また」
そう言うと忍野はさっさと行ってしまった。
「ああ、お前も気をつけろよ。」
僕は既にいなくなった忍野に言った。もちろん返事はなかった。
…まぁこうして探索開始三十分にして僕のやることは決まった。
そんで。
「……忍、そろそろ出てこい」
「………………………」
目を逸らしつつ、渋々、嫌々、軽く涙目で出てきた。
怒られると思っているのかな?僕がそんなするわかないのにね。
「あぁ、さすがは忍だな」
「…………………………………」

ここで、冒頭に戻ってくるわけなんだけど。
テンションが全然違うとか言わない。僕だって気づいてるよ。
仕方ないじゃん。文をほとんど真似したんだもん。
「……………そ、それで、こ、これかりゃ、ど、どど、どうするんじゃ」
まだ声が震えている。それとそういう地味な噛み方はツッコミづらいんだよな。
「そうだな。」
と。言いつつ、忍野から渡された紙束を改めて見る。
しかし改めてみるとツッコミどころ満載だぞ。この名簿。
まず目を引くのは、この尾張幕府家鳴将軍家直轄預奉所軍所総監督ってなんですか?
尾張幕府って。いやいやいや。僕が言えることじゃないけどね。
そして本名不詳が何人か。例えば戯言遣いと否定姫とか、こんなに調べといて、
名前が分からないって。どんな人たちだよ。すげーよ。尊敬しちゃうよ。
挙げればきりがないから最後にするけど僕たちの扱い酷くね?
何?蟹に行き遭った少女って?事実述べてるだけじゃん。
他の人たちは破片拾いやら、大嘘憑きやら、それなりの異名があるのに…。
事実にしたってさ、虚刀流七代目当主とか人類最強とか格好つくやつできなかったのか?
もっと手を抜かず頑張ろうぜ、主催者。……もういい。とりあえず話を戻そう。
「やっぱこの人じゃないかな。とりあえずは。」
開いているページには、
哀川潤さん、人類最強、主人公体質、ほか色々。仲間にするなら心強いだろうね。
二重丸だし、いいんじゃないかな。あともう怒ってないから」
「うむ。そうか。怒ってないか。それはよかった。
それで、その赤い奴かいいと思うぞ。そいつにこれを飲ませればいいんだな。」
こいつは相変わらず立ち直り早いな。
それで忍が手にしているのはカプセル。
中身は以前名瀬夭歌という人が開発したらしい能力開発薬を勝手に改良させた薬らしい。それでこれを参加者に飲ませれば、能力抑制薬(仮)を中和して以前の力を
取り戻すらしい。で、さっき言ってた二重丸というのは飲ませた後の影響だ。
簡単にいうと、
◎…必ずいいように動いてくれる。
○…高確率でいいように動く。
無印…不明、又は影響がほぼ出ない。
△…高確率で悪影響がでる。
×…必ず悪影響がでる。
らしい。詳しいことは忍野に聞け。もう僕にはわからん。
それでカプセルは2つしか渡されなかった。
だから今、とりあえず歩きながら渡す相手を考えてるってわけ。…説明疲れた。
「うむ。わかった。じゃあとりあえず探すかの」
「そうだな。早くこんなゲームぶち壊してやろうぜ。」

とても長くなったプロローグ。
だけどまだ物語は進み、もっというなら加速していくだろう。
そんな中一度死んだ僕はどこまで抗えるか僕も分からない。
まぁ。それは。これからのお楽しみだ。

【一日目/深夜/E-7】
【阿良々木暦(2)@物語シリーズ】
【状態】疲労(小)
【装備】なし
【道具】参加者名簿(通常より詳細)
【思考】
基本:この殺し合いをぶち壊す
 1:哀川潤という人に会う
 2:余裕があれば、殺し合いに乗った人を止める
【備考】
※傾物語直後から
※装備・道具は最悪忍が作れる

【忍野忍(2)@物語シリーズ】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】なし
【思考】
基本:我が主様を守る
 1:我が主様についていく
 2:もう失敗できないの
【備考】
※傾物語直後から
※装備・道具は最悪自分で作れる


Re;start 話順 傾物語【怪】 ~こよみゾンビ~(2)

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最終更新:2011年10月23日 19:01