000
靴-クツモノ-物-ガタリ-語
“……今まで、ありがとう。”
ルートAに存在した阿良々木暦と忍野忍。
彼らは知る見知らぬ身の命を守るため、
このルートでも歴史の改ざんを犯そうとする。
<物語>史上最強の二人組が再び
“運命”という名の戦場に挑む!!
これぞ現代の
怪異!、怪異!、怪異!
・・・・
君を守り、踏み荒らされる殺し合い。
001
「………え?何これ?」
僕たちはまだあたり一面暗い中。
ガラクタの宝庫、不要湖の中にいる。
先に述べた通りまだ辺り一面暗いが、一応吸血鬼である僕にはさほど問題ではない。
だから忍が目の前で無い胸を堂々と張って、先ほどまでの落ち込み具合が嘘の様な笑顔を僕に向けているのが分かる。
別にそれはいいんだよ?むしろ明るくなってもらって元々暗い空気が少しでも明るみをもつことができるなら、それ以上望むことは無いさ。
やっふぅ! 僕のアイドル忍ちゃん最高! やっぱバトロワの清涼剤は幼女に限るね!
少女じゃなく、童女でもない、幼女!
――――それで。
「靴物語って何だよ」
いきなり前置き部分の章がカバー風になっててびっくりしたわ。
そしてまさかのカラー設定。
しかもこれって傾物語【怪】って名前じゃなかったけ?
「なんじゃ、今までそれを話しておったのじゃろう。聞いておらんかったのか」
「聞いてねぇよっ! 僕が今まで一生懸命これからどうしようか考えている間お前はそんなことしとったのかよ!」
がっかりだよ!
何か言っていたような気もするけど、そんなどうでもいいことだったなんて僕は夢にも思わなかった。
「全くおまえ様ときたら………。説明を読者の皆様にせざる負えくなったしまったではないか」
「その言い方には異論を求めるぞ」
裁判が行われたら僕は勝てるぞ。
大体なんでそんなに発言がメタメタしてんだ。
一応これでもクロスオーバー小説なんだから自重しろよ。
取り返すが付かないことになる。
「いいか、お前様。まずな物語に題名はつけるものじゃろう。だからつけておるんじゃろうが」
うわー、すげー纏めとやがった。
省略しすぎて何が何だか分からないんだけど。
「だからこうして儂が自ら考えてやったのではないか」
「なんだその無駄な気遣いは」
「で、どうじゃ。儂としては結構な力作じゃと思うのじゃが」
「まぁ―――――まず靴って何だ」
他にもツッコミどころはあるけどさ。
どうせこれは
おまけのおまけだし。(メタ発言)
「ふ、よくぞ聞いたなお前様よ。まずセカンドシーズンじゃから漢字に【化】を入れなあかんじゃろう?」
セカンドシーズンとかは無視。
一々突っ込んでいたら話が進まないからね。
おまけのおまけにそんな時間を割いてはいけないと思うんだ、僕は。
「それでじゃな、まず出てくる候補は、靴、貨、――――――」
あ、なんかこれはめんどくさい流れだ。
しかも果てしなくどうでもいい感じなフラグだ。
だからめんどくさくなる前に止めないと。
一応これでも生死を懸けた殺し合いの場だぞ?
「あぁあ、そうだなそうだな。その通りだと思う。だからそれで決定だ」
「まぁ待ておまえ様よ。それでじゃな……」
老人の話は長いとはよく言うものだが、まさか忍にも影響していたことだなんてな。
………あれ? もしかして僕も話が冗長化しているのか。忍とリンクしているってことは。
しかし僕が馬鹿だった。
忍がこういう風にやっているときは大抵くだらないことだっただろうに………。
何で蒸し返すような真似をしたんだろう。
「何故かおまえ様からこの儂を小馬鹿にした態度がビンビンと伝わってくるのだが」
「気のせいだ、話を続けてろ」
と、忍はそれを機に再び意気揚々と話し始めたので今のうちにこの間の粗筋といこうと思う。
僕、
阿良々木暦は、パートナーである忍野忍と共にありふれたタイムスリップを経験し、
そして歴史を変えることに失敗し、すごすごと現代に帰ってきたつもりでした。
まあここまでの詳しいことは前々々々作ぐらいの「傾物語」を参照して欲しい、
と言いたいところだが、別に参照いなくてもいい。
『言いたいところだが』とは言ったものの言いたくない。
正直なところ、僕としてはあんな失敗譚を参照しないでほしい。
どんな露悪趣味だって話だ。
しかし一応、あのタイムスリップ我ながら感動的な理由があって、それは十一年前に死んで幽霊となり、
あの町をさまよい続けていた友人、
八九寺真宵を生き返らそう、彼女がわずか十歳にしてその幼い命を、
交通事故でなくしてしまうのを未然に防ごうとしての行為だったということは僕の名誉のために(みみっしく)明かしておこうと思う。
結局僕のやったことは、僕の高校生活最後の、重大な夏休みの最終日(正確には二学期の始業式当日だが)を費やして行われた
僕の真夏の大冒険は、無意味で無意味でしょうがない、
お前なんでそんなことで単行本一冊分の紙幅を費やしてんだよ馬鹿じゃねえのか死ねよ
ああ半分吸血鬼だから死ねないんだっけ(笑)本当どうしようもねーな、みたいな感じなのだった。
だからぜったい読まないでね、「傾物語」!
絶対だぜ!
これは振りじゃないぞ!
……ともかく。僕は最後に全盛期のあいつの力を借りて現代に帰ってこようと試みたわけだが、
なんとも不運なことに僕のパートナーである方の忍野忍ちゃんがとーっても珍しくミスを犯してしまったのだ(最後重要)。
それだけならばまだ救いようもあった訳なのだが、生憎な話そんなご都合主義にはできていないようだ。
なにぜ、忍が――――いや僕たちが犯してしまったミスは、不穏な殺し合いへの介入だったから。
目的が何のかは僕は知らないし、意味があるのかと聞かれても僕には頷くことはできない訳だが、
それはそれは嗚呼素晴らしきかな殺し合いみたいな。ノリで順調に進んでいるみたいだった。
いや、笑い話では無い。
―――実際この僕。阿良々木暦としても殺されてしまったみたいなのだから。
詳しい経緯は分からないが
黒神めだかと言う危険因子にて容赦無く人生を終えたみたいだった。
自分で話して置いてなんだが気分が悪い、胸くそも悪い。
………まあ今振り返ったところでその事実が変わるかというと変わらない。
だからここは。
そんな猥雑する気持ちを無視して先に進ませてもらおう。
それから、僕は少しの間歩いた。
たいしたあてもなく歩いていたところ、
まるで僕がここに来るのを見透かされたように、ある男と遭遇した。
忍野メメ。
怪異の専門家。
自称ながら怪異のオーソリティー。
一件胡散臭くも感じるけど、その実力、知識共々に僕もいくらか助けられた。
――――こんな言い方するとあいつは否定しそうだが。
兎にも角にも、僕はこの異質な場に置いて忍野と再会を果たす。
その理解に困るほど常に来ているアロハシャツも変わらず、軽薄な口調は相変わらずであり、
僕としてもそこだけは嬉しい限りだったのだが、今回言いたいことはそこではない。
そこから出てきた言葉が先の殺し合いについてだったこと。
僕としては最初、どう反応すればいいか分からなかった。
それを当然と言っていただけると僕としては僥倖なのだが、
生憎なところ早々と殺し合いが始まっているところを見るとその限りではないらしい。
とことん僕と言う奴は残念に出来ていて悲しいよ。
閑話休題。
それから少し経ち、忍野は去った。なにやら時間の限界が来たらしかった。
僕としてはあいつでも主催という立場にいる以上、隣にいるのに越したことはなかったけれど、
ここで邪魔をして後々のあいつに何らかの影響が出る可能性も無きに在らずであったのでここは退いた。
―――いや、正直言ってただ僕はその現状を受け入り難かっだけかもしれない。
僕はヘタレて、何もできなかっただけかもしれない。時間のたった今、何と思おうと仕方のないのだけど。
ネタばらしをするとして、詳しいことが知りたければ、「傾物語【怪】」を参照していただけたら、
と言いたいところだが、これもやはり参照しなくてもいい。
前々やった件の如く、これもまた参照して欲しくはないところである。
またしても僕の恥を晒してしまうという露悪趣味真っ逆さまな行動など僕は絶対したくはないのだ。
一応僕の誇りのため(心狭く)明かしておくと、僕は悪くない。
全てはこの傍らで饒舌と喋る幼女の御蔭さまであったりする。
この幼女のおかげで僕はこれから鶏(チキン)から英雄(ヒーロー)に成り変わることが可能なのだ。
いやはや僕のこの主人公としての品格を保とうとしてくださった我らのアイドル忍ちゃんには感謝をしてもしきれないよね。
ただでさえ最近は語り部変更が度々おこなわれていて、しかも神原でさえも真面目に語っていたというのに
僕の語り部の回だけことごとくギャグ回になって変態に磨きを掛けているというあるまじき異常事態なのだからそこのところ空気が読めている。
僕の立場を繕ってくれたというのだからさすがであろうと僕は彼女に拍手喝采を心の中で忍ちゃんに送ろうと思う。
戯言だけどね。
しかし内実結構なところ僕がへこたれて幼女を虐めてただただ呆然としてるだけなので面白くない。
英雄は愚か鶏から成長していない僕の姿など誰が好き好んで見せるもんか。
だからこの「傾物語【怪】」もぜったい読むなよ!
約束だぞ!
振りじゃないぞ!
多すぎる閑話休題。
それからというもの僕は適度に忍をいじりつつ、時間を過ごしていたわけなのだけど、ここで一つ問題が起こったのだった。
「地図が無いって何なんだよ……」
そう、今僕たちに地図が無い。
だから身動きを取りたくとも取れない状況下にあったのだ。
幸いなことにここが不要湖と言う一つのポイントということはそこそこ理解できているんだが……。
「忍野の奴もそこらへん気ぃ使えよ……」
ったく……中途半端な奴め。
御蔭で僕はあんなに意気揚々と立ち上がったはいいものの直ぐに挫折してる。
恥ずかしいことこの上ねえだろ。
で、それからというもの、
下手に動き回るよりはこの区切りの良い地点にいたほうが人と遭遇しやすいんじゃないか?
という単純な思考に至りここでジッとしているというわけだ。
はっきりいって暇な上不毛であり効率が凄い悪い。
どれもこれも僕は正直なところ悪いとは思えないけれど、甘んじるしかないんだよな、この環境に……。
「―――――はぁ」
「――――でじゃな、おまえ様よ。つまりわしが言いたいのはじゃな。
ぼやく僕を傍らとして、忍はまだ話を続けていた。
ちなみに、おまけとして補足しておくとこの幼女がこんなに頑張っているのには理由がなくはない。
あー、あれだ。
今回ミスってばっかだったから汚名返上しようって魂胆らしい。
普通だったなら働けよ、ぐらいの一言を添えたいところなのだがやはり動けない現状を考えると言葉に出すのも躊躇われた。
前途多難、もしくは行き当たりばったり。
「どうかわかったか、おまえ様よ」
ん。
僕の話も一区切りついたところで、忍の話も終わったらしい。
全然聞いてなかったけど。
「あぁ分かった分かった」
だから特に考えもなく適当に相槌を打っておいた。
はっきり言ってまるで興味の湧かない忍との会話と言うのも稀だと思う。
まぁそれだけ僕の方も余裕が無いのかもしれない。
――――そうだ、暇だし心を落ち着ける為に(強調)さっきできなかった忍の鎖骨の撫で回しでもやっているか。
そんな純粋な紳士的な発想の元僕は腰を下ろす。
「ぬ?」
一瞬忍の方も戸惑ってこそいたが僕の魂胆が読めたのか大人しく
膝の上にちょこんと座り、撫で回しを甘んじていた。
………あぁ、なんたる至福の一時だ。
この状態の僕であれば、うっかり命を落とすのは無理もない。
そんな感じで幸福を噛みしめていると、再び忍は口を開きだした。
「しかしこの靴というのも中々うまいとは思わないかの」
「んー? まぁそうだな」
別に下手とも思わんが。ってレベルだが。
――というかいい加減その話題から離れろよ、おまえは。
「元ネタはアニメポケモンの『タイプ:ワイルド』をイメージしたのじゃ」
「だからおまえは何でそんなに人間の文化に馴染んでるんだよ」
僕も好きだけどさ。
忍野の英才教育はアニメとかばっかじゃねぇか。
怪異のことも覚えているとはいえ、そっちのイメージが全然ない。
……そういやどうしてあんな環境でテレビとか見れたんだ? こいつらは。
………まぁ触れちゃいけない部分であろうから聞かないけど。
ともかく。
「……まぁ、じゃあそんな感じでいかな」
僕は適当な感じに纏めることとした。
そろそろ静かに鎖骨を撫で回したい。
「うむ、じゃあこれでいこうかの」
すっかり上機嫌となり、忍は頷いた。
全くもって可愛い奴め。さっきまで意気消沈として口も碌に開かなかったのに。
そうだ、そろそろこんな可愛い喋る方の忍もアニメ化されるんだよな。
劇場版では傲慢な感じだけど、羽川とのあれもアニメ化されるし(願望)、
最初絆創膏には驚かされたけど、それ以上の良い意味での衝撃を与えてくれるであろうアニメ。
勿論皆見ろよな。
鬼いちゃんとの約束だぜ!
そうして、深夜は意味もなく暮れてゆく。
そしてその後僕たちは遭遇することとなる。
とある7人と。
人類最終。
奇策士。
病院族の末裔の二人。
操想術師。
破片拾い。
最後に、殺人鬼と。
002
と。
ここまでは、僕もまだ信じれなかったのだろう。
この殺し合いを。
信じたくなかったのだろう。
そう、この深夜も終わりを迎え、黎明が始まるその時まで、僕は信じたくはなかったのだ。
混沌が始まる、黎明までは。
困頓が終わる、深夜までは。
僕たちは、何も分かったいなかった。
【一日目/黎明/E-7 不要湖】
【阿良々木暦(2)@物語シリーズ】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】
参加者名簿(通常より詳細)
【思考】
基本:この殺し合いをぶち壊す
1:
哀川潤という人に会う
2:余裕があれば、殺し合いに乗った人を止める
【備考】
※傾物語直後から
※装備・道具は最悪忍が作れる
【忍野忍(2)@物語シリーズ】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】なし
【思考】
基本:我が主様を守る
1:我が主様についていく
2:もう失敗できないの
【備考】
※傾物語直後から
※装備・道具は最悪自分で作れる
最終更新:2011年12月10日 23:07