誕生日ネタ

波乱の誕生日会から一夜明け、食堂の片づけを終えたシンは部屋に戻って日本茶をすすっていた。
昨日の大騒ぎで二日酔いが続発し、皮肉にも機動六課はかつてない静けさに包まれている。
騒がしい出来事といえば、いつの間にか部屋に訪ねてきている(不法侵入)
スカリエッティくらいのものだ。
スカ「さて、どうしたものかな」
シン「わざわざ、俺の部屋に尋ねてきて言うことがそれかよ。暇つぶしならお断りだぞ。
   俺だって今週の始末書溜まってるんだから」
スカ「もちろん用事はあるさ。早速だがシン君、君の誕生日はいつ祝うべきなのかな?」
シン「・・・・? 俺の誕生日は昨日過ぎたけど?」
スカ「ああ、知っているとも。昨日はナンバーズがほぼ全員機動六課に遊びに行ってくれたおかげで、
   私はウーノと二人っきりですばらしい夜を堪能させてもらった」
シン「二行目は突っ込まないからな」
スカ「つれないねぇ。さて、ここで問題だ。このミッドチルダと他の世界は同じ時間を共有している。
   マルかバツか?」
シン「そりゃ、マルじゃないのか? 他の任務地へ行って帰ってきたら
   同僚がおじいさんになってましたって話は聞いたことがないし」
スカ「正解。では、続けて問題だ。このミッドチルダと他の世界は【同じ暦】を刻んでいますか?」
シン「・・・・・」
スカ「もうわかっただろう? 君が祝われるべき9月1日はあくまでオーブの暦での話。
   ミッドチルダで9月1日を祝っても仕方がないんだ。
   もし、誕生日が成立するなら戸籍上の長寿に簡単になれるからね」
シン「・・・・・」
スカ「だが、ここで疑問が浮かぶ。はたして未だに発見されていない君の世界の暦を
   我々はどのように知ればよいのだろうか?」
シン「・・・・・スカリエッティ」
スカ「デスティニーにもインパルスにも記載されていなかった暦のずれ。それを知るには
   どうするべきか。と、まあこんな話を昨日暇な時に考えていたわけだ」
シン「・・・あんた、相当暇だろ」
スカ「・・・・・・よく言われるよ」
シン「・・・・・・・」
スカ「・・・・・・・」

シン「・・・・言えよ」
スカ「うん?」

シン「あんたが、そんなことを言うためだけにこそこそ隠れながら来るとは思えない。
   あるんだろ、本当の用事が」
スカ「ずいぶんカンがよくなったね。六課で鍛えられた成果が現れたというわけだ」
シン「茶化すなよ」
スカ「わかった。ただし、怒らないで聞いて欲しい。シン、元の世界に帰りたいと思ったことはあるかい」
シン「・・・・・ある」
スカ「意外だね。あれだけ嫌っていたから、てっきり『ない』と答えると思っていたんだが・・・」
シン「嫌ってはいるさ。できることなら戻りたくない。けど、仲間の安否も確かめたいし
   俺が消えたあとどうなったのかも知っておきたい。それに・・・」
スカ「・・・それに?」
シン「家族の墓参りをしたいんだ、といっても合同慰霊碑だけど」
スカ「・・・・・」
シン「感傷なのはわかってる。それでも、自分の過去に区切りは付けておきたい。
   うまく言えないけど・・・このまま、皆に甘えながら今だけを見て生きてたら駄目な気がするんだ」
スカ「なる・・・ほどね」

スカ「数日前、君のデスティニーと良く似たMSがある次元世界を発見した」
シン「・・・・!」
スカ「数ヶ月もらえれば、君が元いた世界へ到る道が開けるはずだ」
シン「数ヶ月・・・長いな」
スカ「君の時間が充実していればすぐに訪れるさ。では、そろそろ私はお暇しよう。
   包み紙に入ってない誕生日プレゼントで悪かったね。」
シン「ああ、その、ありがとなスカリエッティ」
スカ「・・・・なに、未来の義父として当然のことをしたまでだよ」
シン「はぁ!? ちょっと待て今なんて言った! こら、無視するなよ! 
   スカリエッティおい!」

世界を超えてから三年。数多くの戦いと出会いを繰り返して、嘗ての傷を癒した少年は
青年となって過去を振り返る。
自分をやめることが出来ない以上、凄惨な記憶を思い出とするには
きっちりけりをつけねばならない。
三度目の秋はもうそこまで迫っていた。

おまけ
デス子「ご飯成分が足りない・・・」
シン「お前な、今ちょうどシリアスな場面を・・・」
デス子「ごーはーん! ごーはーん!」
シン「あーもーわかったから机を叩くな。汚れる、凹む、磨り減る。
唯でさえ修繕費と食費で台所事情が大噴火してるっていうのにこれ以上俺の心労を
増やさないでくれorz」
デス子(だって、他にマスターの気を紛らわせる方法を知らないんですもん)
シン「ん、何か言ったか?」
デス子「空耳ですよ。いいから早くチャーハンを作ってください」
シン「まったく・・・(ありがとな、デスティニー)」

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最終更新:2009年09月08日 22:38
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