数十分後、戻って来た彼女の手にはミネラルウォーターが有る。
それを少し飲むと彼女はゆっくりと続きを語り始める。
朝倉「それに、彼が最初に【時空跳躍】を行なった時、彼は精神的に危ない状態、人間で言う精神崩壊する直前だったの。
…仮に実験をするなら間違いなく精神崩壊、つまりは心の底から【此処から居なくなりたい】【消えてしまいたい】と願わないと
いけないの。」
つまり【シンの能力を人為的に発動させるには、命を落としかねない位の人体実験をしなければいけない】
映写機を消してから少しして彼女の口が動き出した。
朝倉「だから情報統合思念体は彼をそれらの事柄から守る為に消去されるはずだった急進派の私を再び再生してシン君の側に付けたの。
急進派の私なら任務(シン君を守る)の為なら多少の非人道的行為もやれるから。」
そう言って彼女は何かを懐かしむように語り出す。
朝倉「前の任務の時も、そうやって行動を起こす事で現状を動かしたかったと私は思ったのね。 その結果、
あの一件であの子(長門)は彼(キョン)に信頼される事になったのだから私は消去された事を喜ぶべきなのよね。」
自身の消去がきっかけで、動きがあった。
その事実が彼女に喜びを与えている。
そして彼女は笑顔を見せながら語りを続ける。
朝倉「それにそのおかげで今の生活ができるんですもの。私にとってはその事の方が大事なの。」
そう言い終わると少し離れてこちらを見て喋りだす。
朝倉「もしあの世界で今後私が出てきたとしてもそれは私の残した消去前のデータから創られた新しい朝倉涼子、私であって私で無い存在。
だけど彼女が居るから私はシン君に集中出来るの。その代わりにもう二度と帰れないんだけどね。」
それから少し時間を置いてから彼女は話を再開した。
朝倉「さっきはああ言ったけど、管理局の中にはシン君を【特殊な能力を持つ人間】として見ないで【仲間】として接してくれる人達がいたのよ。
それが機動六課の皆なの。」
そう言うとまた映像を映し出す。
そこには六課のはやて、なのは、フェイトの三人と朝倉が話て居る姿が流れ出した。
朝倉「私がここに来て少しして、私は六課の隊長達に真実を伝える事にしたの。これはその時の映像ね。
……正直な所、私一人ではどうしようも無かったし、何より彼女達のシン君への接し方から信頼できるって思ったの。
もし真実を知ってシン君の能力を狙うようなら消そうと思ってナイフを隠し持っていったんだけど、真実を知るなり八神さんったら、
はやて「私のシンになんちゅうことしようとしてんねん! こんな事、私絶対に許さんよ!散々酷い目にあってきて、さらにそんな事になったら、
シンが可哀想やないか!私はシンの為に協力するで!って私に言ってきたの。他の二人も色々思うところが有るみたいで協力をしてくれる
事になったのね。 それで私は彼女達に色々と手伝ってもらう事にしたの。」
すると場面が変わって今度は先程と違う書類が映し出される。
朝倉「この書類は簡単に言えば能力を欲しがっている上層部の人達に【シン・アスカの身柄は機動六課で守りますから安心して下さい】
って書類なの。この書類は八神さん達からリンディさんとクロノ提督に伝わりそこから管理局でもシン君の事を大事に思ってる
上層部の人達が協力して出来た一つの成果なのよ。」
彼女はそう言うと映写機から写し出されている書類を暫くじっと見つめていた。
見つめるのを止めた彼女はすっかり温くなったミネラルウォーターを全部飲み干してから笑顔で喋り始める。
朝倉「そろそろシン君達が帰ってくるからお話はおしまいね。今回の事は新人の皆とシン君とデス子ちゃんには内緒ね。
シン君には今のままでいてほしいし、新人の皆に知られちゃったら顔にでそうな子が居るのよね。
後、報告書のテープの事は誰にも言っちゃ駄目だからね。ちなみに私もあのテープの中身を聞いた事無いの。
あれはあくまで情報統合思念体宛ての物だから。」
それだけ言い終わると先程まで暗かった部屋が明るくなりいつの間にか映写機とスクリーンが部屋からなくなっていた。
朝倉「でも、不思議なのは、真実を知ってなお、シン君を求めるなのはさんとフェイトに、あそこまでシン君を求めて暴走できる八神さんよ。私
は、彼女達には敬意に値する人達だと思うのね。私も何時かあんな風に気持ちを素直にだせたら良いなってと思うの。」
そう言って居る内にシンの大声とデス子の足音が聞こえてきた。
朝倉「もうすぐ帰ってくるわね。多分デス子ちゃんにまた隠し事をバラされちゃって隊長達に頭を冷やされちゃったのかしら。
・・・それじゃあ、今日はここまでね。話を聞いてくれた皆、じゃあね。」
そう言い終えた彼女は部屋を飛び出しシンに駆け寄って抱きしめる
そしてそれを見たデス子から嫉妬のパルマを打たれてシンが倒れる。
その後、医務室に運ばれたシンはデス子から有る事無い事を言われた六課の女帝達に文字通りの熱い看病を受けたそうだ。
これで今日の話を終わる。
おまけ
デス子「・・・と言う事をマスターがやってました。(涙目)」
はやて「シンの奴、私の時と違って抱きしめ返すなんて許さへん!」
なのは「そうだね。シン君は頭をとっても冷やさないといけないね。」
フェイト「そうだね。許さないね。頭を冷やさないとね。」
そう言うと彼女達は医務室に向かう。
デス子「(フッフッフ、マスターしっかり養生してくださいね。」
そう言いながら、デス子はゆっくりと医務室に向って歩く。
終わり
最終更新:2008年09月23日 21:06