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ARMORED CORE-01


アーマード・コア -マスター・オブ・女難


暗闇の中、消失していた意識を取り戻したシン・アスカは小さくうめき声を上げた。
「うっ、ここは? 」
 ふと辺りを見渡す。見覚えのある光景。デスティニーのコックピットの中だ。
(………俺は一体) 未だに混濁する意識を、正気に戻す為右手で頭を押さえ頭を振った。
「ああ、そうか。」 俺は気を失う前のことを鮮明に思い出す。

シン、もうやめろ!
本当に分かっているのか、議長の言う世界は生まれた時に、未来が決まってしまう世界なんだぞ!

分かっているさそんな事は!
だったらどうすればいいって言うんだ!
あんたらの言う理想ってやつで戦争を止められるのか!?

何!?

戦争のない世界以上に幸せな世界なんて……有るはずがないっ!!
俺が間違っていて、あんたらが正しいっていうのなら、力ずくで、俺に勝ってみせろッ!

お前が望んだ平和な世界は、議長の言う自由のない遺伝子が全てを決める世界なのか!?
そんな理不尽が許されるのか?………人は自らの手で未来を掴まなきゃいけないんだ。
シン! お前はあの強化人間の少女のような子をまだつくりたいのか!?
そうじゃ、ないだろう………。
今ならまだ間に合う、議長を止めよう。

(ステラ……、おれは!)
だっ、黙れ!
言った筈だ、俺を止めたいなら力ずくで来い!

シン……。この、大馬鹿野郎ッ!!

アスラン。 あんたやっぱ強いや……。

 その後光に包まれて、俺は負けたんだな。……そうだ、ミネルバは。
 慌ててモニターをオンにしようと操作するが、動かない。
 モニターだけではない、ハッチさえも動かないのだ。
 それにしても妙だ。 月面に墜落したはずなのに重力を感じる。
 ……まさか気絶している間に、ジャンク屋に拾われて、地球に来たわけじゃないだろうな。
「おい!冗談じゃないぞ!」 思わず身を乗り出し、誰もいないのに叫びだすシン。
「誰か、誰かいないのか? 居たらハッチを開けてくれ!」 ハッチの扉を右拳で叩きながら、出せる限りの声を絞り出した。

「誰か中にいるのか?待っていろ、今開けてやる。」
  何者かの声と共に、徐々に開いていくハッチの間から、射し込む光が、俺の目を焼いていく。
「何だ、まだ生きている人間が入っていたのか、両手両足が無いから、てっきり棺桶かスクラップかと思っていた 。」
 完全に開いたハッチから現れたのは、見たことのないパイロットスーツに、
 ヘルメットをかぶった(体型から推測して恐らく)『男』 それにしてもまるで『女性』みたいな声だ。
「それは酷いな。 」
 とりあえず言葉の通じる人間に会った安心感からか、相手の毒舌にシンは僅かな笑みを浮かべた。
 だがその笑みもパイロットの後ろに見えた『薄紫色の人型機動兵器』を目にするまでだった。

「……何だ? あの機体?」 どうもパイロットはあの機体の手に乗っているらしい。
「ああ、私のACファシネーターだ。いい機体だろう?」
 どこか相手に自慢するような、誇らしい口調でパイロットは言った。
「ああ……、いい、機体だな。」
 動揺を隠しきれず、声が上擦る。
 MSなのか? 少なくともザフトでは、あんな機体は見たことがない。第一MSよりも二周りは小さい。
 頭部はモノアイ。ザフト製MSの特徴を備えていたが武装、デザイン共にまるっきり別物だ。
「おい、大丈夫か?」 呆けていた俺を怪訝に思ったのか、パイロットがヘルメットを外しながら近づいてくる 。
「 あ 」 シンは思わず間抜けな声を上げる。
 ヘルメットを外したパイロットのその髪は、肩ぐらいまでほどよく切りそろえられた流れるようなプラチナブロンド。
(……女だったのか)
 僅かにつりあがった目、意志の強さを感じさせる鋭い眉。はっきり言って美人と評して良いだろう。とある一点を除いては。 
「どうかしたか?」 女は間抜けにも口の開きっぱなしなシンを妙に思ったのか、コックピットの中に入り込む。
「いや、なんでも。」 見とれていたシンは僅かに目を逸らしぶっきらぼうに答えた。
「貴様が何者か、この機体は何なのか、聞きたいこと色々とはあるが、とりあえず出て来い。話はそれからだ。……ほら」
 コックピットの中を目だけで見渡すと女はハッチの縁に左手を置き右手をシンに向かい差し出した。
 掴まれ、ということなのだろう。 その行為にシンは同意するように、相手の右手を掴み取った。
「ああ、すまない……ってうわぁ」長い間すわりっぱなしになっていた成果、足がもつれコックピットから滑り落ちるシン。
「痛たた、ん? 堅い?」 ファシネイターの手に転がり落ちるシン。
 当然その下には、パイロットの女がおり、
 ありとあらゆる並行世界を統括する存在によって定められた運命通り、シンの左手は相手の胸を鷲掴みにしていた。

 いわゆるパルマ、らき☆すけの発動である。

「………堅い?」 シンの言葉尻を掴んだ女は額に青筋を立て、ただでさえ鋭い眉と目尻をさらに攣りあげていた。
「いや、その、ごめんなさい、なんていいか。…………その、鉄板?」
 しどろもどろになりながらも口下手なりに精一杯の言い訳を考えたシン。
 だが、この時自然に口から発せられた『鉄板』という言葉をシンは、後々まで後悔することになる。
「……………………………………………。」 
「あの。」 無言に耐え切れず、口を開くシン。
「安心しろ……手間は取らせん。」 言うと同時に右手が振り上げられる。
「ちょっ、なに言っててアッーーーーーーーー」
 シンが意識を刈り取られる前に最後に見たのは、コーディネーターでも反応できないような速度で飛んでくる平手だったそうな。


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最終更新:2008年06月24日 18:59
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