東方ネタ-05


人間の里から少し外れたところにある家屋
その一室にシンは寝かされていた
「ぐ、うぁ……」
なにか悪い夢でも見ているのであろうか、酷くうなされている様子である
「あぁ、やめろもう俺を自由にして……、ラグナロクなんか耐えられるか、シャルトスを抜かないで、その黒い羽をしまってください……」
なんだかすさまじく酷い夢を見ているようである
「やめろ!くるなぁぁぁぁぁぁぁ!ハッ!」

壮絶な叫び声と共に目を覚ますシン
一体彼が最後に見た物は一体なんだったのであろうか
「なんだろう、なんだか物凄い夢を見た気がするんだけど、絶対に思い出しちゃいけないような気がする……」
きっと彼のその勘は正しい、永遠に忘却してしまった方が彼のためであろう
思い出したらきっと彼はいろんな意味で壊れてしまうだろう、うんきっと多分
「って、ここはどこだ。」
ようやくシンは、自分が見知らぬ場所に寝かされているということに気づく
「俺は確か、咲夜さんに頼まれて人間の里に買い物に来て、それで……」
現状を把握するために、今日起こったことを一つ一つ思い出していくシン
「あ、そうだ確か俺は「お、目を覚ましたのか。」……ってあんた誰だ?」
シンが先ほどの出来事を思い出した瞬間、割ってはいる声にシンはそちらへと視線を向ける
そこに立っているのは長い銀髪が特徴的な、礼儀正しそうな女性だった

「人に名前を尋ねるときはまず自分から……という言葉があるけど、今回は私が先に名乗った方がいいか。私は上白沢 慧音
 (かみしらさわ けいね)この人間の里で寺子屋を開いている者だ。」
第一印象の通り、礼儀正しく自己紹介をする慧音と名乗る女性
「俺はシン・アスカ、この里から少し離れた、紅魔館ってところで執事をやってる。」
慧音の紹介にに対して、シンも(彼なりに)礼儀正しく自己紹介をする
「あぁ君か、紅魔館の新しい執事って言うのは、噂は聞いているよ、道理でここら辺では見ない顔だと思った。」
顎に指を沿え何か合点がいったように言う慧音
「……噂って、俺ってそんなに有名なのか?」
「君が、というよりも紅魔館の当主がだね。彼女が新しい人間を雇うなんてもうない物だと思っていたんだけど、君が新しく雇
 われたからね。近いうちまた大きな異変でも起こすんじゃないかって、妖怪の間じゃそんな噂で持ちきりだ。」

「そ、そんな話になってるのか……。」
慧音の話を聞き、なんだか複雑な気分になるシン
「そういえば、あんたがここまで俺を運んでくれたのか?てかここってどこなんだ?」
ふと、疑問に思っていたことを思い出し、慧音に尋ねる
「あぁ、ここは里の外れにある私の家だ。いやびっくりしたよ、目の前でいきなり人がこけたと思ったらそのまま目を覚まさな
 いんだから。」
苦笑しつつシンの疑問に答える慧音

「転んだ?」
慧音の言葉に首をかしげるシン
彼の記憶と彼女の言葉が噛み合わないのだ
「ちょっと待ってくれ、確か俺は誰かを助けようとしたら殴ら「いいや、君は転んだんだ、私の目の前でね。」
シンの言葉を遮り、まるで言い聞かせるように言葉を放つ慧音
そういわれたシンも、何故かそれが正しいことのように思えてきてしまう
「……まぁ、いいか、とりあえず助けてくれてすまない、ありがとう。」
さして重要なことでもないと判断し、とりあえず慧音に礼を言うシン
「別にかまわないさ、ところで君は今日はどんなようで里にきたんだ?」
「あぁ、ちょっと頼まれて買い物に、って今何時だ?あんまり遅くなると上司に色々と言われる……」
「申の刻に丁度入ったあたりだな、それほどあわてる時間でもないと思うぞ。」
「そっか、それならいいんだけど……、でもなぁ……」
「何か問題でもあるのか?」
難しい顔をするシンを不思議に思う慧音

「いや、恥ずかしい話なんだけど、俺ああいった商店街とかで買い物したことってないから、商品の目利きとかができないんだ
 よ。それで、下手にぼったくられたりするのも嫌だし、かといって安い物を買うとお嬢様が文句言うし、どうした物かな
 と……」
照れ隠しに頬をかきながこたえるシン
「ふむ、なら私が案内しよう。伊達にこの里には住んでいないからな、そういったところには詳しいぞ?」
「それは助かるけど、いいのか?そっちにも予定とかあるだろ?」
「それなら心配ない。今日は寺子屋も休みだし、一日暇を持て余して散歩していたところだったからな。」
ふむ、とシンは彼女に同行を請うか考える
彼女とは初対面だがうまい具合に友好関係はきずけている
それに買い物に無駄に時間をかけて本来の屋敷の掃除を疎かにするのも面倒だ
ならば彼女に一緒に来てもらってさっさと済ますのが一番利口だろう
そう考えシンは彼女へと同行を請うことにした

「じゃあお願いしてもいいか?帰ったらまだ仕事が残ってるから早めに済ませたいんだ。」
「あぁ、任せておけ。それで、すぐに出るのか?それとももう少し休んでいくか?」
「体ももうなんともないし、すぐに出よう。さっきも言ったけどさっさと済ませたいし。」
そういってシンは布団から置きあがり、軽く体を捻る
確かにその動きには遜色がなく、体に異常は見当たらないようだ
「そうか、なら行こうか、こっちだ。」
そういって先導してに部屋を出て行く慧音、シンもすぐその後について行った

さて、この後二人で買い物に行くのだが、ぶっちゃけ書くことなんて殆どないのでキング・クリムゾンさせて頂く

と、言うわけで買い物が終了し、帰り道を歩くシンとそれを里の外までと見送りに一緒に歩く慧音
「今日は本当に助かったよ、ありがとう。」
歩きながら、今日一日のことに対して改めて礼を言うシン
「気にしなくていい、こっちも中々楽しい時間を過ごせたし、お互い様だよ。」
「そうか?案内ばっかで退屈じゃないかと思ってたんだけど……」
「いやいや、君見たいな人間が大根と睨みあってる様は中々笑える物があったよ。」
「む……まぁ確かに俺はそういったことする人間じゃないけどさ。」
慧音の言葉に少しムスッとなるシン
しかし慧音はそんなシンの子供っぽい仕草を見て微笑んでいる

「それにしても、凄かったなあんた。どこに顔を出しても慧音先生慧音先生って呼ばれて、凄い人気あるんだな。」
「あぁ、色々と困りごとが起こった時に知恵を貸していてね
 私が寺子屋を開いているのも相まってか、いつの間にかあんな風に呼ばれるようになってしまった。」
私は少し恥ずかしいんだがね、と少し顔を赤くして言う慧音
「でも、それだけ皆に尊敬されているってことだろ?やっぱりそれは凄いことだと思う。恥ずかしがることなんてないんじゃな
 いか?」
ただ純粋に慧音のことを評価するシン
「それはそうなんだが……むぅ、やはり面と向かって言われると恥ずかしいな。」
シンのなんの飾りもない言葉に、ますます顔を赤面させてしまう慧音
そんな他人から見れば誤解されそうなやり取りをする二人に
「あ、けーね先生だ!」
「ほんとだ!けーねせんせ~!」
どこからともなく突然振って沸く声
「あれは……」
「あぁ、あの子達は寺子屋で私が面倒見ている子達だよ。」
声の主は慧音の開いている寺子屋に通っている生徒達だった
性別、年齢ともに多種多様な子供達が数人、こちらに向かって走ってきている
そして慧音の前へとたどり着くと、子供達は一列に並び

「「「「けーね先生こんにちは~!」」」」
と声を揃えて挨拶をした
「はい、こんにちは。」
子供達の挨拶に、慧音も笑顔で挨拶する
「ねぇ先生みてこれ、カブト虫!裏の森で取れたんだ!」
「そんなのより俺のクワガタ見てよ!すっごい大きいのが取れたんだぜ!」
「先生先生!みてこれ!お花でおかんむり作ったの!綺麗でしょ~!」
挨拶もそこそこに一斉に慧音の周りに群がる子供達
「こらこら、そんなに一辺に話されても私は答えられないよ。」
困った顔をして子供達に応対する慧音
しかしその姿はどことなく楽しそうな雰囲気を醸し出している
そんな子供達と慧音の姿を見て、やはり慧音は里の住人に慕われているといるんだなと思う、一人蚊帳の外なシン

「ねぇねぇ、おにーちゃんだぁれ?」
ふと、子供達の中から一人、他の子供に比べて一際小さな少女がシンの存在に気づき声をかける
そしてその一言を皮切りに、子供達の注目が一辺にシンへと移った
「そういやこの兄ちゃんだれだ?」
「私知らない。」
「この里の人じゃないよね?」
「でもさっき先生といっしょに歩いてたよ?」
あーだこーだと自分達の間で議論を始める子供達

「いや、その、なんだ?」
自分達で勝手に話を進めてしまう子供達に対して答えるをかけるタイミングを失ってしまうシン
「こら、お前達、シンが困ってるじゃないか、少し静かにしなさい。」
ここで見かねた慧音が子供達を窘める
慧音の言葉に素直に従い、子供達は静かにシンの言葉を待った
「俺はシン・アスカ、慧音の……そうだな友達だ。」
少し考えてからシンは子供達にそう答えた
「なーんだ友達か。」
「先生といっしょに歩いてたから恋人かと思ったのに。」
「まぁ先生に恋人なんてありえないよなー。」
「だよなー、恋人がいるんだったら今ごろけっこんしてるって。」

それを聞いた子供達は、なんともませた反応をシンに見せた
てかこれ年端もいかない子供達の会話じゃねぇよ、子供達の言葉を聞いてそんなことを思うシン
そしてそんな子供達の会話はもちろん慧音にも聞こえている
「おーまーえーたーちー!」
子供達の言葉に怒り心頭、髪を逆立てて仁王立ちする慧音
なんだか今にも頭から角が生えてきそうな怒りっぷりである(まぁ実際生えるときは生えるのだが)
「「「「「*1))」」」」」
慧音の形相に恐怖で震え上がる子供達
「お前達覚悟はできているな……」
そんな子供達の様子を見て、慧音は表情を歪ませると
「お前達全員頭突きの刑だーーーー!!」
そう叫ぶやいなや、一人の子供の胸倉を掴み上げ頭を振り上げ、そして掴みあげた子供の頭へと思いっきり振り下ろした
そしてその行為を立て続けに、殆どの子供へと行っていく
結果的に、慧音の頭突きの刑を免れたのは、最初にシンへと声をかけた一番幼い少女だけだった
「ふぅ、すまないな、見苦しいところを見せてしまった。」
「いや、それは別にいいんだけど……」

慧音の言葉に冷や汗をたらしながら答えるシン
周りを見れば額を押さえてもだえ苦しむ子供達の姿
彼女を怒らすのだけはやめよう、そう心に誓ったシンであった
「ところでまだ帰らないでいいのか?そろそろいい時間だと思うが……」
「もうそんな時間か?それじゃそろそろ帰るかな、今日は本当に助かった、ありがとう。」
「また里に来ることがあったら私の家にも顔を出してくれ、歓迎するよ。」
「あぁ、そうさせてもらう、それじゃ。」
そういってその場を立ち去ろうとするシン

と、そこで
「せ、先生ぇ……」
なんだか地獄の底から響いてきそうな呻き声が聞こえた
見れば頭突きを食らった子供の一人、小学校中学年程度の少年が慧音に向けて助けを求めるように手を差し出している
「む、どうした?まさか打ち所が悪かったか?」
少し慌てた表情でその子供へと駆け寄っていく
シンも帰ろうと思っていたがあんまりな少年の声に様子が気になり、そちらへと体を振り向かせる
それがいけなかった

「大丈夫か?」
慧音が少年へと手を差し出す
しかしその瞬間少年は勢いよく立ち上がると
「そぉい!!!!」
と差し出していた腕を力いっぱい振り上げた
少年の振り上げた手の先は、慧音のスカートの裾に引っ掛り、見事にそれをフワリと捲り上がらせる
いきなりの事態に凍りつく慧音とシン
二人が凍りついている隙に、当事者である少年は
「総員退避ーーーーーーー!!」
「「「「ワーーーーーーーーーーー!」」」」
といって他の子供共々凄まじい逃げ足で走り去っていった
ポツンと取り残される二人

「……見たか?」
ポツリとつぶやく慧音
「イヤ、ゼンゼン。」
力いっぱい首を横に振るシン
もちろんこれは嘘で、お約束どおりばっちり見えてたりする
「……鼻血がでているぞ?」
とシンの顔を見て言う慧音
「げっ!マジか!」
シンは慧音から顔を逸らし急いで鼻の下を拭う
しかし血など一滴も流れてはいなかった
(は、謀られた!!)

冷や汗を垂らしつつシンはゆっくりと振り返る
そこには満面の笑みを浮かべている慧音
しかしその横には血管が浮き出るほど握り締められている右拳が用意されていた
「ま、まて!話せばわか「やっぱり見えていたんじゃないか!」アッーーーーーー!」
慧音渾身の右フックが顎に決まり、シンはそのまま意識を失った


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最終更新:2008年06月25日 02:02
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