帰り道、真神学園空手部生徒の右腕が石化している所を見たシンたちは生徒から鎧扇寺の名前を聞く。
この二年間、鎧扇寺と真神は空手で優勝争いをしている。
勝つために力を使い、真神の生徒を対戦不能にしている人物がいるのではないかと、推理したシンたちは鎧扇寺に乗り込んだが、空手部の主将、紫暮 兵庫の人柄に触れ彼らが犯人ではないと悟る。
結局、犯人の手がかりが掴めないまま次の日を迎えた。シンたちはHR前に遠野の遺体が病院から消える話を聴きながら小蒔を待つが小蒔は現れなかった。
中央公園
「くそっ…小蒔どこに行ったんだよ!」
シンと醍醐、京一と美里の二手に別れて小蒔を捜していたが、結局小蒔は見つからなかった。
捜している途中に会った高見沢の話に出てきたスキンヘッドと刺青の男に醍醐は何か当てがあるらしく
皆と落ち合うことになっている中央公園に一足先に来ていた。
「やめてください!人を呼びますよ!!」
突然公園の奥から女の叫び声がした。
「醍醐!!」
「ああ」
小蒔のことも心配だが、助けを求める人を見捨てるわけにもいかない。
シンと醍醐は公園の奥に向かって走った。
中央公園 ???
「人を呼びますよだってさカワイイねえ」
公園の奥には二人の男が一人の少女を囲んでいた。男達には全く見覚えがないが少女には見覚えがある。
マユと似た栗色の髪に髪型。
「アンタ…比良坂か!?」
「あ…飛鳥さん」
男たちは比良坂を無理やり連れて行こうとしている。
流石にこれを見逃せるほどシンはお人好しではない。
「嫌がってるじゃないか離せよ!!」
シンが叫ぶが男達は聞く耳を持たなかった。
『しょうがない、少しおとなしくしてもらおうかな』
シンが身構えたその時、
「ナンパの仕方も知らないとはな」
突然声がした。声がしたほうを見ると京一と美里がいる。
「その子を置いて失せな!!」
「く、くそ覚えてやがれ!!」
多勢に無勢と考えた男たちは、捨てゼリフを吐いて逃げようとしていたが醍醐の一言で振り返る。
「お前達杉並の者か?」
「もしかしてお前、醍醐雄矢か…女は預かってる。凶津さんがお前を待ってるぜ」
先程とはうってかわり男たちは余裕を振りまきながら帰っていった。
「ありがとう…」
比良坂がシンに向かってお礼を言った。明らかにシンしか見ていない。
「いや、俺は何もしてないし」
「飛鳥さん 今日は本当にありがとうございました。また会えて嬉しいです。神様の偶然ってあるんですね。またこんな風に会
いたいな」
「だから俺はうっ…」
シンの胸を謎の痛みが襲う。
「あっわたし、もう行かないと」
さよならの言葉と共に比良坂は去っていった。
『人の話聞いてくれ…』
「あの人、比良坂さんて…」
美里がそこまで言いかけて口を噤む、言葉の代わりに痛みの続きが来た。
「とにかく杉並にいこうぜ」
「あ、ああ」
シンたちは杉並に向かう途中、醍醐の話を聞いた。
この事件の犯人と思われる人物の名は凶津 煉児、醍醐の中学時代の親友だった男。
そのころの醍醐は喧嘩三昧で同じように喧嘩三昧だった凶津と仲良くなったらしい。
時が経ち手加減や節度を覚えた醍醐とは反対に凶津はエスカレートしていった。
酒乱の父親を殺人未遂で逮捕状が出された凶津は醍醐にすがったが、醍醐は自首させるため溜り場だった廃屋で彼と戦った。シンたちが向かっているのはその廃屋だ。
廃屋
廃屋に入ったシンたちは信じられない光景を見る。
「これは人…なのか?」
廃屋の中一面に置かれた女の石像。いや、ただの石像ではない。
「凶津に石化された人たちか…」
女たちは一様に恐怖に歪んだ顔をしていた。
「まさか小蒔も!?」
シンは石像一人一人の顔を確認するが、小蒔は石像の中にいなかった。
『よかった…いやよくないか』
「よく来たな」
男の声がする。声の主は…
「凶津か!?」
「クックック、久しぶりだな醍醐」
「凶津…」
スキンヘッドに特徴的な刺青。醍醐に聞いた凶津がそこにいた。
「小蒔はどこだ!?」
第一の気がかりは小蒔の安全だ。
「殺してやろうかと思ったけどな。それじゃあ あまりにも芸がないだろ?見てみろよ」
そう言って凶津は移動する。彼が移動し、抱きしめた石像を見てシンたちは絶句した。
「なっ…」
凶津が抱きしめている石像は小蒔だった…
「桜井っ!」
醍醐が叫ぶ。
「アンタって人はっ!!」
逆上したシンが凶津に向かっていく。しかし、凶津の行動がシンを正気に戻す。
「くっ…」
凶津は小蒔の首に手を置いている。シンが近づけば小蒔の首は…
「どうした、来ないのか? くっくっくっ来れないよなあ 来たらこの女死んじゃうもんな。しかし、この女表情が気にいらねえ
な。俺は泣き叫んで許しを請う女のツラを見ねえと、イけねえってのによォ…最後まで強情なツラしやがって」
「この野郎!!」
シンの頭の中で何かが弾ける。
小蒔から手を離した一瞬の隙を突いてシンが凶津に殴りかかる、だが凶津との距離が遠すぎた。シンの右ストレートが当たる前に凶津は体制を戻しシンの右手を掴む。
『こいつなんて速さだよ。俺様としたことが冷や汗かいたぜ』
「このっ」
掴まれた右手を振り払いシンは後ろに跳んだ。そこで右手に違和感があるのに気付いた。
「腕が…」
右手が石化していた。
「飛鳥君!!」
美里がシンに近寄って腕の状態を確認する。
「私には治せない…」
美里が首を振った。
「俺は大丈夫だ…」
シンがフラフラになりながらも立ち上がる。
醍醐がシンと小蒔を見る。腹は決まった。
「凶津…俺はお前を倒す。大切な者をこれ以上失うわけにはいかない」
「うるせえ!! お前はここで死ぬんだ!!」
凶津が醍醐に向かってくる が、醍醐は動じない。ついに凶津の手が醍醐の右手を捕まえた。
「これでお前もお終いだな」
凶津が笑う。醍醐は…動じていない。
「凶津、俺はまだお前のことを友と思っている…またな!!」
醍醐は凶津の腕を捕まえ投げとばした。凶津は受身を取れず背中から落ちた。
「ぐ…」
仰向けのまま凶津は動かない。
「腕が…」
腕を見ると石化が治っていた。
「こ、小蒔!!」
シンはあわてて小蒔のところに近寄った、急いでたため途中の石につまずいて転んでしまった。
「うわっ…いてて」
目の前には小蒔の顔。そして手には柔らかい感触。
「…これは事故なんだ」
跳ね退いたシンは言い訳を始める。
「さあ、長居は無用だ。警察も来るし早くうっ」
小蒔に背を向け、勝手にまとめようとしたシンは同じ石につまずいた。
「いてて…」
目の前には美里の顔。そして手には再び柔らかい感触。
「…あれデジャヴが」
「飛鳥君こんな所で…」
「シンくんの馬鹿ーっ!!」
『父さん、母さん、マユ、ステラ。俺、今日そっちに行くかもしれない…
最終更新:2008年06月25日 03:28