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「「
誕生日おめでとう!」」
パパンッ、と鳴るクラッカー。
「ありがと、ディエチ、ミランダ!」
「・・・・あり、がとう。」
その先には、シンとライゴの2人。
「どうしたライ、今日、9月3日はお前の誕生日。
お前と俺の誕生日会だぞ?」
「・・・・でも、一緒にやるっていったって兄貴の誕生日は・・・・・・・・」
「気にするな。
お前と一緒なら気分がいいくらいだ!」
さあ食え。
早く大きくなって、俺よりも強くなるんだろ? オヤジさんも見ているぞ?」
青年は生姜とニンニクのきいた鹿の燻製をさらにもって少年に渡す。
テーブルの上には写真がケースに入って置かれており、少年を見ている写真に写った壮年の男の顔は優しかった。
「う、うん」
「あと、これは俺からの
誕生日プレゼントだ。」
そう言って青年は安っぽくて大きな紙袋を少年に渡す。
それにはミランダとディエチも「なになに?」と詰めよった。
紙袋の中には少し色あせた赤色があった。
ライゴはそれを手に取る。
「・・・・赤・・服・・・ッ!?」
それは憧れた英雄が身にまとっていた鎧のような強さの象徴のようなものだった。
「やるよ。俺にはもう必要ないから」
シンは簡単に言いながら料理をほおばる。
「でもッ!」
「必要ないって決めたんだ、俺自身で。
明日は今日よりも、もっともっと大きく強くならなくちゃいけないからな。」
ようするにその服はもう青年には小さくなってしまったのだった。
「兄貴も!?」
少年は戸惑った。目標とする存在が現在進行形で大きくなろうとしていることに。
「ああ」
もっともその目標を大きく強くさせ続けている理由は少年自身だとは自覚はないのだけれども。
「「「あ」」」
その時、ライゴ、ミランダ、ディエチは同時にその一言を言った。
つまり、プレゼントを用意していなかったのだ。
というよりも、そんな雰囲気のものとは考えていなかったというのが正しい。難しいところである。
「ああ、いいって。
俺はもうもらっているよ、それは――」
「シン、ライ、おめっとさーん!」
シンの背中に心地よい衝撃が走る。後ろを見ればビールを片手にエドがいた。
「いって~~~ッ。
あ、ありがとうございます・・・。」
憎めない、それがエドである。
「・・・・へえ
ずいぶん叩き甲斐のある背中になったな」
とエドはシンの背中を叩いた掌を見て静かに笑った。
色んな意味で嬉しくて。
「くはは・・・・気のせいですよ。まだまだこれからです!」
おまけ
ミランダ「ねえシン、話があるんだけど・・・・」
ディエチ「実は私も・・・・」
ミランダ・ディエチ「生理がこないんだけど」
シン「クハハッ。俺、童貞なんだけど」
ミランダ「あ、ごめん!」
ディエチ「顔が笑ってない。本気で怒ってる! ごめんなさい!」
8『ハッピーバースディ! バースディジョークは気に入ったか、シン?』
シン「『羅刹』にもどるときがきた・・・・。見せてやる、悪鬼『羅刹』の戦いを!」
ディエチ「シンさん、斬奪は駄目だって!!」
最終更新:2014年02月02日 14:16