ミッドチルダ西部・海上。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
大型ガジェットをどうにか倒すことができたフォワードメンバー。
今回の数は4。新人達4人で取り掛かって1体、そして残りの3体を隊長達が倒す。
そして隊長陣も2体を倒し、残りは1体のみとなった。
「はあああああああああっ!!!!」
そして上空からフェイトがバルディッシュ・ザンバーを振り下ろし、一刀両断する。
爆発し、炎上するガジェットだった機械の塊。
「お疲れ様、フェイトちゃん」
「お疲れ様、なのは」
互いに労いの言葉を掛け合い、コンと互いの拳を合わせる。
「さて、新人達も終ったみたいだし、そろそろ引き上げよっか」
「そうだね、それじゃロングアーチ、こちらライトニング1、大型ガジェットの殲滅に成功……?」
言葉の最後に疑問を残すフェイト。
それを不自然に思ったなのはが聞き返す。
「どうしたの?フェイトちゃん?」
「……ロングアーチと通信が取れない」
「えっ? ……本当だ」
フェイトの言葉の後に同じようにロングアーチへと通信を取ろうとするなのは、
だが、何かに妨害されているのか、ロングアーチと通信が繋がらない。
「これは……AMFによるジャミング?」
「でも……ガジェットは倒したし……」
「なのはさーん!」
向こうから聞こえてくるスバルの声、フォワード陣がこちらへと駆け寄ってくる。
「どうかしたんですか?」
訝しげな表情をしていた二人に問いかけるティアナ。
「それが……」
『Mastar!!』
「!!!」
突然のレイジングハートの声に驚く皆。 そして突如全員を囲むように発現する4つの魔方陣。
「なっ!?」「これは!?」
そしてそこから出現するのは、先程倒したはずの大型ガジェット。
しかも一つの魔方陣から出てくるのは1体や2体ではなく、全ての数……16体。
「う、嘘っ!!?」
「そんな……」
驚愕と悲痛な声を上げるエリオとキャロ。 そして声には出さないが、なのはとフェイトも表情には出さないが内心焦っていた。
(状況的にはかなり不利だね……私とフェイトちゃんだけならまだしも……皆を護りながら戦うのはちょっとキツイかな)
(それに、ロングアーチとの連絡が取れない以上、限定解除もできない……リミッターのかかった状態でこの数と戦うのは……)
デバイスを握る手が汗ばむ。
そして、一体のガジェットが動き出そうとした。
瞬間。
ズドォン!!
一番後方のガジェットが、爆発する。
「!!!!」
一斉にそちらへと視線が集まる、人も機械も。 突然の出来事に何が起きたのか、全員全然頭がついていってない状況だったが、
一人、状況を理解できたものがいた。
それは、自分の目の前のガジェットに天より降り注いだ紅い光。
その光は後方のガジェットを貫き、命中したガジェットは爆散した。
その直後、皆と違い天へと視線を向ける。
そして、その姿を確認し、ティアナは言葉を漏らした。
「…………シン!!」
上空に浮かぶ大型の人型機械、モビルスーツ。
青空と対照的な紅き翼を纏ったデスティニーガンダムが、遥か上空から長距離ビーム砲でガジェットを貫いたのだ。
そして全員の視線がデスティニーへと注がれる。
「あれは、シン!?」
「デスティニーが……直ったんだ!!」
なのはとスバルが上空を見上げ、声を上げる。
「とりあえず一体撃破……ミコトさん」
「はい?」
「しっかり掴まってて下さいね」
「……はい」
ぎゅっ。とシートベルトを握り締めるミコト。
それと同時に上空のデスティニーへと標的を変えたガジェット達が上空へと舞い上がる。
ギリッとグリップを持つ手に力を込める。
「……大丈夫、俺とお前なら、やれるさ……行くぞ、デスティニー!!」
瞬間、シンのSEEDが覚醒する。
瞳の光が消えると同時に、ペダルを踏むシン。
敵は、大型ガジェット残り15体。 まずはビームライフルの牽制。だが、AMFを展開して防がれる。
(だったら!)
左手で肩のビームブーメラン『フラッシュエッジ』を抜き、投げ付ける。
それを先程と同じように結界で防ぐ。だが、ブーメランはガジェットの横を通り過ぎる。
だが、ある一定の距離まで行くと、『フラッシュエッジ』はこちらへと戻って来る。
それに反応出来なかったガジェットがそれに貫かれ、爆散。
そしてシンは左後方より迫るガジェットに正面より突っ込んでいく。
「でえええええええええいっ!!!」
放たれる魔力の奔流を流麗な動きで回避し、向こうとの距離を詰める。
そして、左手の平を突き出す。 それに反応し、結界を張るガジェット。だが、
「そんなもんにぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」
触れた瞬間、左手の平から発射される高密度のビーム、『パルマ・フィオキーナ』
それは結界を突き破り、ガジェットをも貫く。
「3体目!!」
そして、ビームライフルを背面の腰へとマウントし、背中の大型ビームソード、『アロンダイト』を振りかぶり、前方へと構える。
それと同時に開く背面の大型ウイング。そこから溢れる様に出るミラージュコロイドとヴォワチュール・リュミエールの光。
前方に構えた両手を右肩へと乗せ、一気に加速するデスティニー。
並み居る敵の魔力の奔流を軽々と交わし、近接した瞬間、『アロンダイト』を振り下ろす。
真っ二つにされたガジェットはそのまま空中で爆発。
そしてその勢いのまま次のガジェットへと狙いを定めるシン。
「……凄い……」
唖然と空を見上げる一同の中、呟くように言うスバル。
自分達があれだけ苦戦した敵をいとも簡単に次々と撃墜していく姿は、その一言に凝縮されていたといってもいいだろう。
「あれが……デスティニーの力……」
フェイトは目の前に広がる光景を目の当たりにして改めてその力を確認し、言葉に出す。
今までは大型ガジェットの数自体もそんなに多く出現しなかった為、その力の片鱗のみしか知る事が出来なかった。
だが、今目の前の光景で知らされることになった。
エリオとキャロもその光景に目を奪われているのか、呆然と空を見上げていた。
「でも、あれはデスティニーだけの力じゃない……」
ティアナが空を舞うデスティニーへと視線を話すこと無く見つめている中、ふっと呟く。
「デスティニーをあそこまで操れるのは、"シン"の実力です」
そして、ティアナは自分でも気付かない内に微笑んでいた。
爆炎を上げながら、地上へとまた落ちていくガジェット。
「残り4体!!」
当初の数は16体。だが、ものの十分も立たない内にガジェットの数は4分の1以下にまで減ってしまった。
いや、この場合は減らされてしまったと例えるのがあっているだろう。
シンは片手でコンソールを叩く、そしてあるプログラムを立ち上げる。
そしてコンソールの上に表示される文字、『EXTREEM BRAST MODE』
このエクストリームブラストモードはシャーリー達デバイスメンテスタッフがデスティニーの為にOSを再構成し、
デスティニーの出力を120%以上引き出すという、いわばデバイスのフルドライブモードである。
ただし、あまりの出力に耐え切れない事を想定し、プログラムの発動時間は3分となっている。
「これで一気に決めてやる! エクストリームブラストモード、発動!!」
そして、プログラムのEnterキーを押し、発動する。
ペダルを踏み、いつも以上の出力を肌で感じるシン。
だが、SEEDが弾けたシンにとってその程度はまだ問題なく使いこなすことが出来る。
先程より一段とスピードアップしたデスティニーが残ったガジェットへと向かっていく。
目の前に広がる魔力の奔流。それを両手のビームシールド『ソリドゥス・フルゴール』で防ぎながら真っ直ぐに突き進む。
そして向こうも4体が同時に仕掛けてくる。
(向こうも一気に勝負をしかけてくるつもりか? ……上等っ!!)
『アロンダイト』を背面にマウントし、両肩の『フラッシュエッジ』を引き抜き、同時に投げる。
そして標的となった2体はそれを回避する。その一方が避けた瞬間、避けた先に高密度のビームが直撃し、爆発。
『フラッシュエッジ』を最初から避けられる事をわかっていたシンは、投げた直後に背面の大型ビーム砲を構え、
"避けるであろう"方向へとビームを放った。
そして、今度は即座に移動し、片方の避けたガジェットへ向けてビームライフルを放つ。
それをAMFで防ぎ、先程と違って返って来る『フラッシュエッジ』をも回避する。だが、
「もらったぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
その回避した直後に、背後からAMFごと『パルマ・フィオキーナ』で貫かれ、爆散。
(残り2体!!)
即座にディスプレイを確認し、2体の位置を確認。
1体は左に、もう1体は右に。丁度デスティニーを中心とした位置に正反対の位置にいた。
放たれる魔力の弾の奔流を『ソリドゥス・フルゴール』で防ぐ、だが、時は刻一刻と迫る。
『エクストリームブラストモード、残り時間1分』
スピーカーから流れる機械的なシステムサウンドボイス。
それを聞いたシンは、ハンドルを後ろへと下げる。
大きく後方へと下がるデスティニー。すがる様に追い付いてくるガジェット。
(ここだ!!)
2体のガジェットがほぼ近接する瞬間。それを見計らい、ペダルを大きく踏み込み、ハンドルを前へと押す。
最大出力で2体へと迫る紅き幻想の翼の持つMS。
迫りくる魔力の奔流を、全て回避し、『アロンダイト』を構える。
「ええええええええええええいっ!!!!!!」
突きの構えで突撃し、そのまま『アロンダイト』に串刺しにされる2体のガジェット。
そしてそのまま斬り上げられ、真っ二つになり、爆散するガジェットだった機械。
『エクストリームブラストモード、タイムリミットにより解除。これよりノーマルモードへと移行します』
全てが終わると同時に、発せられるシステムボイス。
「……ふぅ」
戦闘が終わるのを確認したシンは安堵のため息をつく。
そして背後に乗せているはずのミコトを思い出し、振り返る。
「ミコトさん!?」
そこには、息を切らしながら肩で息をしているミコトの姿があった。
「大丈夫ですか!?」
「あ……シン様……はい……大丈夫、です……」
そう気丈に振舞おうとするその姿は弱弱しく、儚げだった。
「一体、何で……くそっ!!」
ペダルを踏み込み、ハンドルを前倒しにする。 急加速し、その場を離れていくデスティニー。
「あれ?」
スバルが疑問の声を上げる。
いつもなら戦闘終了後はその場に降りて来る筈だったのに、デスティニーは来た方向へと最大速度で引き返していく。
「シン……?」
いつもと違う様子に疑問を抱くティアナ。
そして、デスティニーは瞬く間にその場から消えてしまう。
機動六課・医務室。
「…………」
医務室の前の椅子に座りながら俯いているシン。 時計の針の音のみが静寂の中に響く。
全速力で六課の宿舎へ帰ってきたシンはミコトを抱え、医務室のシャマルへと駆け寄る。
ミコトをシャマルへ託し、医務室を出たシンだったが、ここから離れたくなかった。
そして、この状態が継続している。
「……くそっ」
俺があの時、無理やりにでも置いていくべきだったんだ!
そうすれば、こんなことにはならなかったんだ……!
そして押し迫る不安。また自分のせいで誰かを失うかもしれないという恐怖。
わかっている。いくら自分を責めてもどうにもならないことぐらい。
でも、責めずにはいられない。
ステラを殺された時は、撃ったフリーダムを憎んだ。
だけど、いざフリーダムを倒しても、俺の取り戻したかったものは何も帰ってこなかった。
責める誰かなんていない。責めても、何も変わらない。
だけど、それでも自分を責めずにはいられない。
シン・アスカはそういう人なのだ。
刹那、医務室の扉が開く。
「!!」
扉の向こうから出てくるシャマル。
「先生!!」
「シン君……」
「ミコトさんは、大丈夫なんですか!?」
切羽詰まる表情でシャマルへと問い詰めるシン。
「……シン君、あなたも着いて来て」
「え?」
それだけを言うとシャマルは歩き始めた。
わけがわからなかった。だけど、着いて来いと言われたのでそれに続くシン。
機動六課・ブリーフィングルーム。
部屋へと入るとすでに待っていたフォワード陣と隊長陣がこちらへと視線を向ける。
「シャマル先生、シン……」
「みんな、どうして……」
「私が呼んで来てもらったの」
そして適当な椅子へと座り、シャマルが口を開く。
「シン君」
「あ、はい」
「あなた、ミコトさんについて何か知っていることは?」
「え? いや、俺は多分元の世界の軍関係者だと思ってるですけど……」
シンはてっきりサフトの関係者だという結論に至っていたが、それを聞いたシャマルは首を横に振った。
そして目を瞑り、再び目を開けると同時に口を開く。
「……単刀直入に言うと、彼女、人間じゃないわ」
――――え?
「ちょ、シャマル! それはどういうことや!?」
シャマルの言葉に一番に反応したのははやてだった。
「……彼女は私達に近い存在です」
「!!!」
「何が原因なのかはわかりません、けれど、彼女を構成する魔力に一つ類似する力がありました」
「類似する力?」
「結論的に言ってほぼ同じ魔力と言ってもいいくらいなんだけど……その力を持っているのが」
シャマルがシンへと視線を向ける。それにつられて皆もシンへと視線を移す。
「お、俺ですか!?」
「違う、シン君じゃない」
「え? だったら」
「あなたの乗っているあのMS」
――――え?
「デスティニーから感じられる力とほぼ同一なの」
――デスティニーとミコトが……?
「そ、それじゃ、ミコトさんは……」
「……これは私の推察だけれども、多分デスティニーの大きなエネルギーが何らかの作用により、
ミコトさんを生み出した。と考えるべきでしょうね」
その言葉を聞いて何か気付いたティアナが口を開く。
「それじゃ、デスティニーが動かなかったのは……」
「……多分、ミコトさんを生み出したせいで起動に必要なエネルギーが足りなかったと考えれるわね」
次いでシンが口を開く。
「じゃあ、今日デスティニーが動いたのは……」
「彼女がデスティニーに乗っていたから……」
「急に容態が悪くなったのは……」
「……恐らく、ミコトさんを構成する魔力がデスティニーへと戻っていこうとしたんだと思う……」
「それじゃ、ミコトさんは……」
「……恐らく、あと少しで……」
ピーッ、ピーッ、ピーッ。
シャマルの言葉を遮るように鳴り響くコール音。
それを受け取り、出現するディスプレイには白衣の女性が映っていた。
『シャマル先生! こちらにいらっしゃいましたか!』
「どうしたの?」
『それが、ミコトさんがいなくなってしまったんです!!』
「ええっ!?」
『起き上がる気配もなかったのですが、目を離して戻ってみるといなくなってたんです!』
「魔力を辿る事は!?」
『それが、自身を構成する魔力反応がかなり微弱な為感知できません!』
椅子から駆け出し、飛び出していくシン。
誰かがシンを呼んだ気がしたが、今はそれすらも聞こえていなかった。
「皆も手分けしてミコトさんを探すで!!」
「了解!!」
はやての声を皮切りに全員がその場を飛び出していく。
30分後。
「シン!!」
向こう側から走ってくるシンに声を掛けるフェイト。
「こっちにはいませんでした!」
「こっちもダメ、全然いない……今度はそっちを探してくるね!」
「じゃあ、俺はあっちに!!」
そしてまた違う方向へと走っていく二人。
(くそっ……一体どこへ行ったんだ……!!)
闇夜を走っていくシン。
そして行き着いた場所は、
「格納庫……」
(そういえば、まだここは探して無かったな……)
格納庫の扉を開く。
すると、
「!!」
いた。
階段で苦しそうにしているミコトが。
「ミコトさん!!」
名前を呼び、駆け寄っていくシン。 近付いて見ると息も荒く、顔色も悪い。
「なんでこんあとこに……」
ともかく早く連れて帰らないと。そう思った矢先に、引っ張られるシン。
「待って……待って、下、さい……」
「喋っちゃダメだ! すぐに医務室へ戻れば……」
「……もう、ご存知、なのでしょう……?」
「な、何を……」
「私は……もう、長くは……」
「!!」
やっぱり彼女はわかっていたんだ。
自分自身の事を……それでも、
「馬鹿な事言うな!!」
俺は認めたくなかった。
「シン……様……」
「もう長くないないなんて、俺は絶対に認めない!! きっと何かあるはずなんだ……! きっと……!!」
僅かな希望があると信じて、いや信じたい。
そんなシンにすがりつくように服の袖を引っ張ってくるミコト。
「シン……様……お願い……です……」
「お願い……?」
「はい……」
デスティニー・コクピット内。
ミコトのお願い。
それはデスティニーのコクピットの中へ連れて行って欲しいという事だった。
本当ならダメだと言い張って無理やりにでも医務室へ連れて行くつもりだったのだが、
彼女の必死な願いに折れ、というよりはシン自身がわかっていたのかもしれなかった。
――きっと、これが最後の願いなのだろう。と
「それで、ここで、何を……?」
「はい、えと……シン様、コクピットに、座って、頂けますか……」
「え? あ、ああ……」
言われるままにコクピットへと座るシン。
「それで、どうしたらいいんだ?」
「……失礼します」
「え?」
すると、ミコトはシンの上に寄りかかるように乗ってくる。
「ミ、ミコトさん!?」
「すみません……重くは、ないですか……?」
重くはなかった。それどころか人一人分の体重すら感じられない。
「重くなんてないよ……」
「そう、ですか……」
それを言った後、ミコトは正面を見つめる。
「ここが、シン様の……視線、なの、ですね……」
「……」
「シン、様……」
「え?」
「短い、間でしたけれど……お会いできて、嬉しかったです……」
「そんな、まるでもう消えるみたいな事言うなよ!」
「……お優しい、ですね……」
「俺は、優しくなんか……!!」
「あなたのような人に、使って頂いて、私は、幸せです……」
「……」
すると、段々とだが、ミコトの体が薄くなっていく。
「!!」
もう、体の重みもまったく感じない。
「この、奇跡の瞬間も、もう、終わりですね……」
「……ふざけるな!!」
「……?」
「これで終わりだなんて俺は認めない!! もう消えるなんて、そんなの絶対に……!!」
もう、こうやって幾つもの大切な誰かを失っていったことか。 すると、シンは知らず知らずに、涙を流していた。
「泣かないで……下さい……」
頬を伝わる涙を拭うミコト。その手を掴むシン。
「今ここにこうやって掴めるじゃないか! この手だって、ちゃんと暖かいじゃないか!!」
「……シン、様」
「だからっ……! だからっ……!!」
重みは感じられなくても、目の前にいる彼女の体を抱き締める。 それは紛れもなく、彼女がそこにいるという感触。
「……ありがとう、ございます」
そういうミコトの目に浮かぶ涙。
「あなたに、そう言って貰えて、私は……」
その言葉を最後に一気に消えていくミコトの体。
「!!!」
抱き締めていたはずの手が体をすり抜ける。
そして、次の瞬間には、粒子となって、彼女は、ミコトは、
消えてしまった。
「う……く……うぅ……」
握り締めていたはずの手は、今は何も掴めてはいない。
目の前にいたはずの彼女は、もう、いない。
「うわあああああああああああああああっ!!!!!」
最終更新:2008年07月11日 19:22