コズミック・イラ 73年
ブルーコスモス盟主及びロゴスの指名手配メンバーとなっていたロード=ジブリールは地球軍月基地にて、死亡が確認された。
それから数週間後・・・
プラント最高評議会議長 ギルバート=デュランダルは、全世界に対し、「類存亡を賭けた最後の防衛策」と称し
デスティニー・プランの導入実行を宣言する。
ミネルバ補給及び整備のため、プラントへ帰還していた。
プラントの軍事工廠ではミネルバとその搭載機である。デスティニー レジェンド インパルスの整備が行われていた。
そのミネルバの一室では1組の男女がいた。
シン=アスカとルナマリア=ホーク・・・ミネルバにおいてデスティニーとインパルスのパイロットであった。
シンはルナマリアに話があると言われ、この場に呼び出されていた。
「ルナ、話って何?」
「シン・・・シンは今のデュランダル議長は本当に正しいと思っているの?」
ルナマリアの言葉にシンは違和感を感じていた。
「え?どう言う意味だよ?」
「遺伝子で職業が決まるって事は、自由がなくなるって事でしょ?」
「議長のプランは戦争が無くなるためにも必要だよ。レイもそう言っていたし・・・」
ここへ来る前に彼はアカデミー時代からのルームメイトの付き合いである友人 レイ=ザ=バレルから話を受けていた。
「デュランダル議長の目指す誰もが幸福に生きられる世界。そしてもう二度と戦争など起きない世界。
それを創り上げ守っていくのが自分達の使命」
戦争が起こらない平和な世界・・・それはシンが心から望んでいた世界である。
「自由が亡くなったら、自分のやりたい事も出来なくなるって事よね?」
「何が言いたいんだよ・・・ルナはまさか、デュランダル議長が間違っていると言いたいのか?!」
「そうじゃないわ!」
「じゃあ、何なんだよ?!」
シンは無意識にであるが、ルナマリアに対して次第に苛立ちが覚えていた。
「・・・きっと・・・」
「?」
「きっと・・・アスランとメイリンはそれに感づいて・・・」
「アスラン=ザラ」・・・その名前はシンにとって忌々しい記憶でしかない男。
最初に出会った時はシンから全て奪った国の代表の護衛として・・・
次にあった時には出戻り風情でありながら上官として、シンの前に現れた。
更にはハイネ=ヴェステンフルスやステラ=ルーシェを始めとした。
多くの人間を殺したフリーダムとアークエンジェルを「敵ではない」と豪語した男。
現在は、目の前に居るルナマリアの妹 メイリン=ホークと共に脱走を図り、死んだかと思われていた。
しかし、彼らはAD(エンジェルダウン)作戦にて、撃墜したフリーダムのパイロット同様、奇跡的に生還を果たす
そして、クライン派の開発した新型ジャスティスを駆り、自分達の前に敵として立ち塞がった。
「だから私はザフトを離れようと思うの。」
「離れる?」
「結果的に裏切る事になっちゃうかも知れないけど。」
「っ!!」
パキィンッ!!
シンの中で何かが音を立てて崩壊して行った。
「・・・・・・」
「シン?」
その時、ルナマリアはシンの異変に気づくはずも無かった。
「そうなんだ。」
シンはトーンの低い声で喋る。
その声はいつも聞いているような声ではなかった。
「え?」
「・・・ルナも裏切って俺の敵になるんだ?」
「シン!違うの!そう言う訳じゃ・・・」
その先のルナマリアの言葉は無かった。
彼女はシンの手に握られた銃から放たれた銃弾によって額を打ち抜かれていた。
裏切る・・・それは既にシンにとって敵対を意味していた言葉である。
その後、銃口はルナマリアの体へ向けられ、彼女の肉体に幾つもの穴を開ける結果となった。
それはシンの銃弾が尽きるまで続けられていた。
「はは・・・はははははははっ・・・あははははははははっ・・・あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはぁっ!」
シンの表情は壊れた玩具の様であり、笑い声は壊れたラジオの雑音の様に高かった。
その後、シンは衛兵が来るまで狂う様に笑い果てていた。
やがて、シンは軍法会議にかけられる事となった、仲間殺しの罪は重罪であった。
だが、彼の証人となったレイは「彼は脱走を起こそうとしていた者を始末しただけであり、何の責任もない。」と発言。
そのレイの言葉とギルバートの「彼の力は、この世界を戦争の起こらない平和な世界のためにも必要」と言葉により、
シンの判決は、無罪となった。
シンは釈放されるが、その時、彼は既に変わり果ててしまった。
彼からは生きる気力・・・所謂「生気」と言う物が全く感じられなくなった。
三度に続く喪失に彼の精神が耐えられる要素は無かった。
「人形」「生きる屍」・・・誰もそう思わずに入られなかった。
それから間もなく、シンとデスティニーはオーブ・連合混合艦隊戦において、鬼人的な強さで艦隊を次々に撃沈させる、
オーブの象徴的MS「アカツキ」 アスランの駆る新型ジャスティスを撃墜した。
また戦闘の最中 ジュール隊を初めとした、オーブ・連合混合艦隊へ寝返った一部のザフト艦隊を幾つも撃沈させた。
戦闘は言うまでも無くザフトの勝利で幕を閉じ、世界には次々とデスティニー・プランが導入されるようになった。
プラン導入に最後まで反対の意を示していたオーブは、導入賛成派の市民と政府関係者のクーデターに遭い、
代表のカガリ=ユラ=アスハは「平和への反逆者」としてのレッテルを張られ、公開処刑される事となった。
その後のコズミック・イラの歴史において、「戦争」と言う2文字はその姿を現す事は無かった。
最終更新:2008年07月15日 16:54