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なのは単発-01

時刻は午後十一時半。
デスティニーの調整を終え、自分の部屋へと入りベッドへと倒れこむシン。
シン「あー・・・疲れた・・・」
この世界、ミッドチルダに来てもう何ヶ月経ったんだろう。 そして誰も知らないが、明日はシンにとっては特別な日。
シン「・・・誕生日・・・か」
C.E.ではザフトにいた頃はそんな事気にもしていなかったのに、この平和な世界ではそういうことを考える余裕も出てきていた。
シン「ま・・・誰も祝ってくれないよな・・・」
そう思って一眠りしようと思って瞼を閉じると、

ピピッ、ピピッ、ピピッ。
部屋の通信回線が鳴った。
枕元のボタンを押して、電子音を止め、空中にディスプレイのようなものが表示される。
スバル「あ、シンー戻ってたんだ」
声の主はスバル・ナカジマ。
俺がお世話になっている時空管理局・起動六課に所属している子である。
シン「なんだ、スバルか・・・」
スバル「あーなんだってそれひどいなー」
ディスプレイの向こうでむくれた表情をするスバル。
シン「で、どうした?」
とりあえず軽く無視して、用件を問う。

スバル「あのさーお腹空いてない?」
シン「お腹?」
そういえば今日は夕方からずっとデスティニーの整備をしていてロクに晩ご飯を食べていなかった。
整備に集中している時は空腹など気にならなかったが、言われて気付くと段々空腹感が溢れてくる。
シン「まぁ・・・まだ晩ご飯食べてないし」
スバル「ホント?それは好都ご・・・じゃなくて、じゃ今から食堂行かない?」
シン「それはいいけど、さっきの好都ご」
スバル「じゃ先に行ってるから!!」
ブツッ。と回線が遮断される。
シン「・・・・・・何なんだ、一体?」
不思議に思いながらも体を起こし、部屋を出て、食堂へと向かうシン。

そして食堂のドアまで到着するシン。
スバルの姿がなかったが、先に行ってると言ってたので中にいるんだろう。 ドアの横のボタンを押し、プシューとドアが開く。
シン「スバ」
パン、パパンッ、パパパンッ!!
突然鳴り響く弾ける様な音がし、反射的に目を瞑るシン。
そして鳴り止むと同時に目を開けると、
全員「ハッピーバースデー!シン・アスカ~!!」
シン「・・・・・・え?」
そこには六課のメンバーがクラッカーを持って立っていた。

スバル「おめでとー!」
ティアナ「おめでとう」
エリオ&キャロ「おめでとうございます!シンさん!」
新人によるおめでとうコール。だが、当の本人は事態がよくわかってなかった。
シン「え・・・何で・・・皆・・・」
ヴィータ「水くせぇじゃねぇか、シン」
シグナム「そうだぞ、シン・アスカ」
シン「どうして・・・俺の誕生日・・・」
俺の誕生日は誰にも行ってない筈なのに・・・。 その疑問を打ち消す答えはすぐに来た。

フェイト「それはね、はやてが教えてくれたんだよ」
シン「はやて部隊長が・・・」
なのは「うん。『9月1日はシンの誕生日やから、祝ってあげよう』って」
シン「・・・・・・はやて部隊長」
そういって食堂内を見てが、はやての姿はなかった。
フェイト「はやてなら、今地上本部に行ってるよ」
なのは「はやてちゃん、『本当なら自分も祝ってあげたかったんやけど・・・』ってすごく残念そうだったよ」
シン「・・・そう、ですか」
シャマル「はい、お待たせ~」
食堂の奥からガラガラと"何か"を乗せたものを運んでくるシャマル先生。
それは、17本のローソクがのっているバースデーケーキ。 そしてシンの前でそれは止まる。
パチンと消える部屋の灯り。ローソクに灯っている17個の火が全員を照らす。

ザフィーラ「シン、消してくれ」
シャマルと一緒に奥から出てきたザフィーラがシンに促す。
シン「・・・いいのか?」
全員がコクと頭を縦に振る。
ケーキに近づいて息を吐き、ローソクの火を消していく。
そして最後のローソクを消すと、一瞬光が消えるが、すぐに部屋の灯りがついて光が部屋を包み込み、
パチ、パチパチ、パチパチパチパチパチパチパチパチ・・・・・・!!
誰からかわからないが、湧き上がる拍手。
シン「皆・・・ありがとう!本当にありがとう!!」

FTER PHASE

はやて「すっかり遅うなってしもたな」
地上本部での仕事を済ませ、六課へと戻ってきたはやて。 時刻は午前二時。
静まり返った静寂の中、入り口に向かって歩いていくと、玄関のところに誰かいるのが見えた。
はやて「?」
こんな時間に一体誰が?そう思っておそるおそる近づいてみると、
はやて「シ、シン?」
シン「・・・・・・おかえりなさい、はやて部隊長」
そこには夜空の下でずっと帰りを待っていたシン・アスカが返事をした。

はやて「で、何で待っとんたん?」
玄関では何なので、部隊長室へと連れて、向かいのソファーに腰掛け、互いに向き合うように座る。
シン「・・・部隊長にお礼が言いたくて」
はやて「お礼?」
シン「今日、六課のみんなに俺の誕生パーティーをしてもらったんです」
はやてはようやく頭の中で閃いた。
シン「それで聞いたら、はやて部隊長がみんなに祝ってくれるようにいってくれたって聞いて・・・」
はやて「・・・・・・」
シン「俺、ここ数年ほとんど誰かに誕生日なんて祝ってもらってなかったから・・・俺、本当嬉しくて・・・」
シンの手が震えていた。表情は今にも泣きそうな顔をしている。

はやて「シン」
名前を呼び、その人の震える手を握る。
はやて「ちょお遅うなったけど・・・ハッピーバースデー、シン」
その言葉だけで、シンの涙腺は一気に刺激された。
頬を伝う、一粒の雫。
シン「はい・・・ありがとう・・・ございます・・・」
はやてはポケットからハンカチを取り出して、涙を拭う。しかし涙は止まることなく流れてくる。

するとはやてはソファーから立ち上がり、シンの前にまで立ち、

ぎゅっ。と抱きしめた。

シン「は、はやて部隊長!!?」
はやて「ええんよ、シン」
シン「え?」
はやて「泣いても、いいんよ」
そして、その言葉をキッカケにシンの涙は溢れ返っていた。 泣きじゃくるその姿はみっともないと分かっていても、今は甘えてしまっていた。
数分後、思いのままに泣きじゃくったシンの涙はようやく止まろうとしていた。 そして顔を上げると、はやてと目が合った。
互いの顔はほぼ至近距離。目と鼻の先程の距離。 
見詰め合う二人の顔がほんのり赤くなり、そして、顔を近づき、触れようとして

リイン「むにゃ・・・リインもケーキ食べるです!!・・・・・・むにゃ」

その声で一気に離れる二人。
そして恥ずかしくなり俯いてしまう。
はやて「ああああの、その、ええと・・・」
シン「す、すみませんでした・・・!!そ、それじゃ俺、これで失礼します!!」
その場の雰囲気に耐え切れなくなったシン、カミングアウト。 全速力で逃げていった。
はやて「・・・・・・そない全力で逃げんでもええやんか」

こうして、シン・アスカの17年目は始まった。

翌日
シン「そういえばはやて部隊長、どうして俺の誕生日知ってたんですか?」
はやて「知ってるも何も、最初に色々質問した時に誕生日きいたら『9月1日です』っていったんやで」
シン「・・・・・・」
そんな事、全然覚えていない。 誰も知らないどころか自分から教えていたのかよ・・・俺。(恥
はやて「さぁて、シンの誕生日も成功したみたいやし、よかったよかった」
シン「そういえば、はやて部隊長の誕生日っていつなんですか?」
はやて「私?6月4日やけど?」
シン「6月4日ですか・・・わかりました」
はやて「何や?来年の誕生日祝ってくれるんか?」
シン「・・・・・・まぁ、そんなとこです」

はやて「え?」
冗談で聞いてみたら本当だった事に驚きを隠せないはやて。
シン「俺が祝ってもらって、祝わないのはおかしいでしょ?だから俺が祝いますよ」
はやて「・・・・・・ホンマに?」
シン「ええ、そのつもりです」
はやて「そうか、そうか、ま、期待して待っとくわ♪」
シン「そ、そんな過剰な期待はしないでくれませんか・・・」
はやて「楽しみやわ~」
シン「ちょ、はやて部隊長~!!」

はやて(本当に、楽しみにしとくよ・・・シン)

完。

おまけ。
なのは「私の誕生日は3月15日だからね♪」
まただ。今日だけで会うたびみんなから自分の誕生日を俺に伝えてくる。
すでに、スバル、ティアナ、エリオ、キャロ、フェイト隊長、それになのは隊長まで。
一体何なんだ?
そう考えていえると目の前をスバルが通り過ぎる。
シン「なぁ、スバル?」
スバル「ん?何?」
シン「何でみんな俺に会う度に誕生日を言ってくるんだ?」
スバル「ああそれはね・・・

    シンに誕生日を言っておけば祝ってくれるって誰かが言ってんだ。」

シン「・・・・・・え?」
スバル「ちなみにその噂ってもう六課中に知れ渡ってるみたいだよ」
シン「な、何だってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!」
シンの悲鳴が六課内にこだまする。

その後、六課の人間から逃げ回ったシンは、最終的にデスティニーのコクピットで一夜を明かしたそうな。

シン「そういえばはやて部隊長。みんなにバラすなんてなんてことしてくれたんですか。
   俺あの後大変だったんですよ」
はやて「?何のことや?」
シン「とぼけないで下さい。みんなが誕生日を祝ってもらおうと俺の所に押しかけてきたんですよ」
はやて「私は誰にも言ってへんけど……」
リイン「あ、それいったのリインです」
シン「……へ?」
はやて「リ、リインがいったんか?」
リイン「はいです。だってあの時、シンさんがはやてちゃんの誕生日を祝うっていうからリインもお祝いしてほしいですーって言ったら
    『ああ、わかった』ってシンさんが言ってくれたから、思わずみんなに言っちゃったです」
シン「……」
はやて「……」
お、怒るに怒れない……。
はやて「……ま、まぁ、今回はリインにも悪気はなかったんやし、許してあげてくれへんか?」
シン「……まぁ、もう終わった事ですし、俺だって流石に怒る気にはなれませんよ」
はやて「それはそうとシン」
シン「はい?」

はやて「ティアナとキスしたって本当か?」

シン「あの……どうしてそんなに目が据わっているんでしょうか……?」
はやて「そんなことあらへんよ♪」
シン(その笑顔が怖ぇ……)「あ、あれはただの間接キスですよ!」
はやて「ふぅーん……」
シン「ていうか、なんでそんなに怒るんですか?」
はやて「別に怒ってへんよ」
シン「いや絶対怒ってるでしょ」
はやて「怒ってへんって言ってるやろ?」
はやての目があまりにも怖く感じたシン。
シン「は、はい……わかりました」
はやて「それならええんや、ほな私は本局に行ってくるからね」
シン「あ、はい。行ってらっしゃい」
はやて「行ってきます~」

はやて(でも、なんで私こんなにイライラしてんねやろ……?)

その意味を知るのは……もう少し先のお話。

終わり。






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最終更新:2008年08月08日 00:10
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