新アンカー氏の作品-02

 機動六課の朝は早い。
といってもそれは部署によるのだが。ちなみにフォワード隊は朝食の前に訓練があるらしい。
 今日はいつもより早く目が覚めた。別に早く起きる必要はなかったのだが二度寝はしない。
 これでも軍人なので、寝起きはちゃんとしているつもりだ。
 洗面所で顔を洗い、わずかに目立つ寝癖を直す。
 喉の乾きを感じたので冷蔵庫に入ってた水を一口、二口とあおる。
 テレビでもつけようかと思ったがやめておいた。後30分くらいしたらニュースで占いコーナーが
あるが、別に乙女座の運勢がどうとかは全く興味がない。例え俺が乙女座だとしても。

 やる事もないので、隊舎の周りをランニングすることにした。
 早めに起きた時はいつも走っているのだが、デスクワークばかりで鈍った体にはちょうどいい運動になっている。
 ただ走るのもつまらないため、一周のペースを決めて走る。今日はいつもよりハイペースにしてみよう。
 調子に乗って走ってたらいつの間にか日も高くなってきていた。何周したかはわからないが
ゆっくりとスピードを落とし、歩きながら息を整える。
 タオルで汗を拭いてると、寮の方からこちらに向かってくる人物を見つける。
「あれは……エリオにキャロ、それにフリードだっけ?」
 彼らも俺がいることに気づいたらしく駆け寄ってきた。
「あ、おはようございますシンさん!」
「今日もランニングをしてたんですか?」
「ん、まあな。お前達はこれから朝練か?」
「はい!」

 2人とも子供らしいハキハキとした返事をしてくれる。 その横で小さな竜――フリードも一声鳴く。
 このフリードはリイン曹長と並び、俺が心底驚いた存在だ。 まぁ、竜なんてのは昔やったゲームの中で
モンスターとして出て来た、ってくらいしか印象がなかったからな。
 それにしても……この2人は10歳という歳のわりにはだいぶ大人びてるような気がする。
 真っ直ぐな性格の少年エリオ・モンディアルと、ちょっと内気な少女キャロ・ル・ルシエ。 彼らは自らの意志で管理局員になったという。
 自分達を保護し、色々と世話をしてくれたフェイト・T・ハラオウン執務官の力になりたい。
というのが彼らが管理局へと入局した最大の理由だ。

 そう思う気持ちは少なからず理解できる。 俺自身、少しの間だったがオーブ軍士官の人にお世話になったことがあるし
その人には今も感謝している。
 だからといって、まだ小さな子供を軍のような組織に入れ、戦わせるという事に納得してるわけではないけど。

「シンおはよ~。ってあれ、どしたの?」
「ボーっとしちゃって。考え事?」
 声のした方へ顔を向けるとそこにいたのは2人の少女――スバル・ナカジマとティアナ・ランスター。
 この2人とエリオ、キャロはフォワード分隊のメンバーであり、スバルとティアナが“スターズ”
エリオとキャロが“ライトニング”の一員である。
「アンタが考え事なんてスバルと一緒で似合わないわよ?」
「あのな、俺だって悩んだり考え込んだりするんだぞ」
 何だか馬鹿にされたような気がする。 確かに頭を使う事よりは体を動かすほうが好きだけど。
「あはは。私も考えるより先に体が動いちゃうからね~」
「私“も”って……おい! 勝手に一緒にするなよな」
 完全に相手のペースに乗せられてるな……まぁそれはスバルに限ったことじゃないのだが。
 とにかく、この4人が来たということはそろそろ朝の訓練が始まるんだろう。
 魔法の使えない俺はここにいてもしょうがないし、たまってる仕事もあるので早く朝飯を食べて取り掛からないといけない。
「じゃあ、俺はこれで」
 適当に会話を切り上げ隊舎に戻ろうと後ろを振り向く。

「お、シンじゃねえか」

 視界に入ったのは2人の女性。 いや、1人は少女と言ったほうが正しいのか?
「おはようございます。なのはさん、……ヴィータ副隊長」
 目の前の人物はスターズ分隊隊長、高町なのはさんと同じく副隊長、ヴィータである。
「おはよう。随分と汗かいてるみたいだけど……」
「隊舎の周りを軽く走ってたんですよ」
 実際は軽くとはいえず、かなりのハイペースで走ってたりしてるのだが。
「なるほどな。どうりであまり疲れてないように見えるわけだ」
 腕を組み、俺を見上げながら話すヴィータ副隊長。 そう、彼女は背が低い。
外見年齢はエリオやキャロと同じくらいか、少し年下位に見える程だ。
「まぁ、体力には自信がありますし」
「よし、アタシが簡単なトレーニングメニューを組んでやるからやってみろ」

「へ?な、なんでいきなり」
「走るだけじゃもの足りなさそうだしな。それにまとまった運動すれば体もシャキッとして仕事も捗るだろ?」
 確かにそうかもしれない。 けど、気が乗らないのだ。
ヴィータ副隊長が言う「簡単な」トレーニングがどんな基準で簡単なのかわからないし。
 でもまぁ、魔法に関係ないトレーニングならそんなに大変なものでもないだろう。
 断るのも何だか逃げるようで情けないと思ったので、トレーニングを受ける事にした。
「よし、ならメニューの作成すっからついて来い」
 そう言い横を通り過ぎるヴィータ副隊長の後に続こうと振り向く

 ――刹那、視界が暗くなる。
 体に力が入らなくなり、背中に痛みを感じると同時に青い空が視界に入り――

「お、おいシン!大丈夫か!?」
「バカスバル!こんなとこでパンチなんて繰り出してんじゃないわよ!」
「だ、だってティアにシューティングアーツの魅力を知って貰いたくて~」
「2人とも!そんなこと言い合ってる場合じゃないでしょ!」

 ……どうやらスバルが俺の顔にパンチを喰らわせたらしい。 そういや、あいつの右腕には
ゴツいナックルが装着されてたな。「はわわわっ!はなっ、鼻血がたくさん出てますよぉっ」
「キャロ落ち着いて!エリオ、シャマル先生を呼んできてくれる?」
「わ、わかりました!」
 慌ただしい足音が遠ざかっていくのと同時に、俺は意識を手放してしまった。

「はやてちゃんはやてちゃん!今日は双子座の運勢が1位ですよぉ!」
「あは♪そんならうちの子達も最高の運勢やな~」
「あ、最下位は乙女座みたいです」
「なになに……『長時間同じ場所に留まるととんでもない目にあうかも?』かぁ。そういやシンって何座やろ?」





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最終更新:2008年08月08日 01:40
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