紅魔館の仕事は手が抜けない、まぁ手を抜いていい仕事があるという問題はさておいてここの仕事は軍に
いた時と同じくらいの緊張感があった。それはシンがここで元から働いているメイド達より少しはマシ
であり、多少は期待と信頼されてあるからなのであるが。今日も今日とてシンは仕事の一部である清掃
活動に励んでいた。
「よっし、ここのモップがけ終わりっと」
紅魔館は広い、モップがけといってもシンが担当している分でも軽くランニングする程度の広さだ。
また、ここは高さもあるためこれに窓ぶきが入ると相当の運動量になる。まぁ、窓ぶきに関しては空を
飛ぶ事ができないとカバーできない程の高さだったりもするのでシンはモップがけだけやらされている
のだが。
「は~終わった終わった、次は草むしりか」
バケツとモップをもって片付けにいく、なお角をまがる際はゆっくりとそれでいてきちんと左右確認を
してから曲がる。これには説明するのもおこがましいが彼の『出会い頭にパルマしてしまう程度の能力』
を防ぐ為である。コーディネーターとはいえまったくの一般人の彼にとってこの人外の館でのパルマは
命に関わる。具体例をあげると角でぶつかってしまった人妖メイドにパルマをかまして弾幕に発展、騒ぎ
を聞きつけた妖精メイドがこれを見て「私も混ぜて~」とさらに騒ぎを拡大させ、これに暇を持て余して
いたフランドールも加わりあわや大惨事になった事や出会い頭にメイド長とぶつかってこれまたパルマ。
次の瞬間にはチェスや将棋でいう『詰み』の状態が目の前に広がり、あわや幻想卿の三途の川を渡りかけ
てしまった事があげられる。なお、三途の川では肝心の船頭が職務を放棄しサボっていたため事なきを得た。
「あ~、鎌だけだとやっぱつらいな。今度パチュリーさんに頼んで草刈機作ってもらおうかな。」
なんて事を言いながら、農家の息子のような慣れた手つきで鎌を振るうシン。そうしていると「精がでますね」
と門の方から声をかけてくる女性が一人。
「ああ、お疲れ様です。中国さん」
「いや、私の名前は・・・いや、いいんです。はぁ」
彼女の名は紅 美鈴(ホン メイリン:通称中国)、紅魔館の門番にして紅魔館一のバストの持ち主だ。
なお、周りからは本名ではなく中国中国言われ続けシンもそれが彼女のあだ名なんだと思い親しみを込めて
『中国』と呼んでいる。
「それにしても頑張ってますよねぇ、いたって普通の人間なのに」
「いや、世話になってますし。それに体を動かしていないと持て余してしまって」
二人は周りでひなたぼっこを楽しんでたり昼寝したりしてる妖精メイド達から目をそらしながら会話を続ける。
その目はお互い、どこか遠い。だが、そんな平和な空気を乱そうとする者が現れた。
「やいやいやい、そこの人間!ちょっとあたいと勝負しなさい!」
「ちょっと止めようよ、チルノちゃん。」
そこには青い髪をして羽を生やした小さい少女と緑の髪をしたこれまた羽を生やし前述の少女より少し大きい
少女がいた。おそらく両者とも妖精だろう。
「あ、あれは・・・!!」
「なに!?知っているのか!中国さん!」
「⑨だな」
「「ゲェッ、魔理沙!!」」
ゲェッとはなんだ、ゲェッとはとぷりぷり怒る魔理沙。
「今日は返しに来たんだよ、本」
と、箒の先にくくりつけてある風呂敷を見せ付ける魔理沙。以前にシンと一悶着あってから彼女は不定期では
あるが借りていった本を返しにくるようなった。まぁ訪れるたびにまた新しい本が強奪されていっているのだ
が、返しにくるだけ前よりマシになったといえよう。
「キィーーー、無視するなー」
「あ、忘れてた。魔理沙、このちっこいのとそのお姉さんっぽいの誰だ?」
「ああ、そのちっこいのがバカでお姉さんぽいのは大妖精だ」
「バカっていうなーーー」
「チルノちゃん落ち着いて」
大妖精と呼ばれたお姉さんっぽいのが小さい方の少女をなんとかなだめる。
「すいません、えーっと自己紹介しますね。私はここの湖に住んでいる妖精で大妖精っていいます。
それで、隣のこの子が」
「あたいはチルノ、あたいったら最強ね」
「通称バカな」
チルノが自己紹介を終えたと思ったら魔理沙が茶々をいれる。
「むきー、あたいバカじゃないもん。自分の名前かけれるもん」
「なら見せてみろよ」
「ふん、おどろいて腰抜かさないでね!大ちゃん、あれ渡し。」
はいはいと大妖精が微笑みをうかべながら腰から一枚の紙切れを取り出してシン達に渡す。
「こ、これは・・・」
「な、何語なんでしょうか・・・」
「え、えーっとホ、ホキョ?」
そこにはミミズがのたくってるんだか、アラビア文字みたいなんだかよくわからないのが書いてあった。
それに思わず戸惑う三人。
「これ、うーん・・・」
「あ、これこっちの向きにするんじゃないんですか?」
「おお、これで・・・それでも見覚えのない字だぜ」
「いや、これここをこうして・・・これ『升』じゃないか?」
「あ、言われてみれば。そうなるとこれが・・・『ノ』?」
「えーっと、これが『レ』で・・・これが・・・『1』?」
解読結果、升ノレ1。書けてなかった。
「名前を書けるなんてあたいったら最強ね」
「おい、バカ氷精。間違ってるぞ。」
「惜しい、というか結構器用な間違え方してますよ。」
「すまん、何をしに来たんだ。」
「ほら、チルノちゃん。言ったとおり呆れられてるよ。」
散々な事を言われるチルノ、そしてシンはこの流れに少しついていけてないでいた。
「ムキー、もういいわよ。ちょっとそこの人間、あたいと弾幕ごっこしなさい!」
「お、俺!?」
「付き合いきれない、さっさとパチェのとこいくわ」とここで魔理沙が退場し、シンはチルノに因縁
を吹っかけられた。
「話に聞けばあんた強いらしいじゃない、幻想卿最強のあたいとしてはその力をみておきたいのさ」
ズビシっと指をさしてかっこよくポーズを決めるチルノ、なお幻想卿最強は自称であって本当ではない
(それでも妖精としては強い方に入るのだが)、ただ小さい子供というのはやたらめったら最強という
言葉にあこがれ使用するものである。チルノもそういうタイプというわけだ。
「強いって・・・俺弾幕張れないし、そもそもなんで外にそんな話が」
「おそらくあの鴉天狗の新聞記者のせいですね。大分前に号外としてあなたの事を記事にしたのを配っ
てましたよ。」
ああ、以前『香霖堂』にお手伝いをしにいった時にあったあの妖怪の事か。とシンは思い返していた。
「というわけで、いくわよ!」
「っておい、ちょっと待て!」
「いけ!氷符「アイシクルフォール」!!」
チルノのスペルカード宣言が終了するやいなや弾幕が張られ、シンはなんとかそれに対応して距離をとった。
その様子を見ていた大妖精は諦めた様子で紅魔館の門の奥へ避難し、美鈴もまた同じように避難した。
「って、見てないで助けろよ!!」
「頑張ってくださいねー、シン君なら頑張れば全部かわせると思いますから。」
「ちっきしょぉぉぉぉぉ!!」
しかし、弾幕回避と体の硬さには定評のあるシン・アスカ・何とか何発かもらいながらもスペルカード4枚目
まで耐える事に成功した。結局は5枚目あたりで咲夜がこの騒ぎを聞きつけ、シンともどもチルノを鎮圧して
この騒ぎを収拾させたという。
最終更新:2008年09月06日 17:56