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GUNDAM  SEED  DESTINY ―Double Cross― ◆l.5pQ38hy6-03

フリーウェアソフト「すないぷ」を起動します。
チャットルームAを選択。ボイスチャット、会議モードで起動します。

※博士がログインしました。
 現在、この場には「Ag」「中将」「博士」がいます。
博士「やあ、送れてしまってすまないね」
Ag「時間通りだよ、博士。問題はない。僕らが早く来ていただけのことだ」
中将「早くすると言う連絡が行ったのもぎりぎりだ、仕方あるまい」
博士「そうだな、では早速現状の報告を」
中将「こちらはほとんど問題ない……、と言いたい所だが。問題が起こっている」
Ag「と、いうと?」
中将「対立派閥は、計画通り大半が出払った。しかし、トップ部分と最低限の組織運用に必要なところはそのままだ。
   おまけに、出て行った連中も暴走ではなく、立派な演習名目ときている。これでは叩きようがない」
Ag「ははっ、なかなかやるみたいだね。それくらいする知恵はあるってことか」
博士「だが、そうなるともうひと押しが必要になるな。そのあたりは大丈夫なのか?」
Ag「問題ないよ。そろそろ、上も痺れを切らす。あんな状況だ、いらいらしてるだろうし」
中将「手早く頼むぞ。お互いがお互いのためを思っての同盟関係だ。どこか一つが崩れれば……」
博士「繰り返さなくても大丈夫だ、中将。君の立場は理解している。
   それに、君の目論見が成功しないようでは、最終的な勝利はかなり難しくなるのだからね」
中将「期待しているぞ。こちらはそろそろ失礼する。目立たない立場ではないからな」
Ag「まあ、大船に乗ったつもりでいるといい。僕たちのつながりは、誰にもばれてないんだから」
中将「いまのところ、だがな」

中将がログアウトしました。

博士「ずいぶんと慌しいな……。本当に、彼を巻き込む必要があったのかね?」
Ag「あるさ。最後の仕上げ、僕たちの代わりに汚名を着るって大事な役割がある」
博士「なるほど、違いない。しかし、君が基礎設計したこのソフト……。『すないぷ』と言ったかね?
   本当に便利なものだな。次元間通話可能なウィンドウソフトとはね」
Ag「まさか、完成させることが出来る人がいるとは思っていなかったけどね。こちらでもてこずっていたし。
   まあ、少々の予定外はあるけれど、ほぼ思ったとおりに物事は運んでいる。後はゆっくり、待つだけさ」
博士「それならば、こちらも第二段階に入るとしよう。そろそろ、パスポートの準備をしてくれたまえ」
Ag「ああ、では手続きに入るから、これで失礼するよ」
博士「わかった、いい夢を」

Agがログアウトしました。
博士がログアウトしました。すないぷを終了します。

「……ふぅ」
博士と名乗っていた彼は、向かっていたパソコンの電源を落とした。事が動いていることは、放っている耳から情報を掴んでいる。
しかし、事態を焦りすぎてはいないか、と自問することは多い。何せ、この前回収したサンプルもまだ完全ではないのだ。
そちらの調整に加え、動き出したこの計画のためにも手を焼かなくてはならずやることは多い。自分が、恐らくこの計画で一番働いているだろうと言う実感もある。
しかし、不思議と面倒には感じなかった。それどころか全てが楽しくて仕方ない。
これが成功した際に、自分の手に入るものを思えばそれも当然と言えるが、本当に面白いことは過程さえも楽しいのだ、と言う通説的なことを改めて感じていた。
「ドクター、食事の準備が整いました」
扉が開き、声がかかる。本当はそんなものなしで作業をしていたいが、体を維持しなくては本当に大事なときに動けなくなってしまう。
難しいものだと思いながら、博士はそちらに向かって歩き出した。
「ああ、今行くよ。私のかわいい娘達」


「……暇やな」
「そうですね~」
人気がなくなっている機動六課のオフィスで、はやては小さく呟いた。同じようにちょっとだらけながらリィンが相槌を打つ。
と言うのも、同僚でありフォワードを務めるなのは達が、次元航行部隊の新人訓練の付き合いで貸し出されていることが主な原因である。
正直な話いきなりの出向任務に戸惑ったが、リンディやクロノに頭を下げられては嫌とも言いづらい。
こちらとしてはすぐさま仕事を片付けてシンを探しに行きたいのだが、そうも言ってられない。
彼らがいない間にも事件は多発しており、現状はヴォルケンリッターの面々がどうにかしている有様である。
この状態で、自分ひとりシンを探しに行くなどとわがままを言うわけにも行かなかった。
(そうや。なのはちゃんもフェイトちゃんも、こういう気持抑えて仕事してるんやから)
自分に言い聞かせながら、ん、と大きく伸びをする。シンがいなくなって始末書の数が減り、仕事自体が楽になったと言うのが不幸中の幸いだろう。
こんなさびしいオフィスを長く見ることも、泣き言を言うこともない。
「主、ただいま戻りました」
そんなことを思っていると、不意に声がかかる。扉を開き、やってきたのはシグナム。
「報告書は、後ほど。ヴィータが報告したいことがあると言っていました。直接の方がいいと言うことで、勤務時間外に時間を作って欲しいと」
「了解や。今日は久しぶりに、みんなでご飯にしよか」
シグナムの言葉に、10年前のことを少しだけ思い出しながら。はやては必死に書類に向かった。
ほんの少しの寂しさを、紛らわすように。

そして、仕事が終わり夕食終了後。
「……で、一体どうした、ヴィータ。全員を集めろなどとは珍しい」
首をひねりながら問いかけるザフィーラ。それに対し、私服のヴィータは書類の入った封筒を取り出した。
「事件解決後に、カリムからはやてに渡してくれって言われてさ。預かってきたんだ」
言いながら、封筒を開く。その中に入っていたのは一枚の無機質なコピー用紙。
「えっと、古代ベルカの文章みたいですね」
「それ、預言の一部やないか」
まじまじと見つめるシャマルに、目を見開いて声を上げるはやて。まさか、こんな形で預言に触れることになろうとは思いもしなかったのだろう。
「えっと、多分この訳は、こうだと思うんですけど……」
自信なさげではあるが、シャマルが内容を要約する。

―声なき声が、試練を告げる。
 未来は暗き闇に沈められ、過ぎ去りしものは蘇る。
 逃れえぬ背負いし業と、捨て去った過去。
 二つの試練を乗り越えたとき、運命の者は新たな力を得るだろう―

「運命の者……ねぇ。つか、これ表に出しちゃまずいんじゃないか?」
要約された内容に頭をかきむしりながら、ヴィータがぼやく。そもそも、なぜ自分のほうに来たのかも分からない。
「運命の者……。フェイトのことか?」
ううむ、と首をひねりながら呟くシグナム。こういう謎解きの要素については門外漢でもあるため、こちらもお手上げと言った風情だ。
「……はやてちゃん?」
そんな中、シャマルは不意に横にいる主の様子を見る。はやてはと言うと、紙面を見ながら肩を震わせていた。
「…………シンや。これはシンのことを言ってるんや!」
くわ、と大きく目を見開き、宣言する。
「は、はやて?」
「しかし、どこにもシンとは……」
あまりのテンションの変わりぶりに焦るヴィータとシグナムに対し、はやては再びテーブルの上に置いた紙面を指差す。
「運命の者が新たな力を得る、って書いてあるやろ? 普通に考えればパワーアップするって事や。
 でも、フェイトちゃんがさらにパワーアップするってのも考えにくいやろ?」
はやての指摘に、うなずくヴォルケンリッターの一同。
「で、や。運命って言葉はいくつか同じ意味の違う表記があるんよ。
 代表的なのがフェイトと、デスティニー」
「って、それシンの!」
身を乗り出したヴィータに、うんうんとうなずくはやて。その表情は満面の笑み。
(な、何ででしょう……)
(あの笑顔に、何か計上し難いエネルギーを感じる……)
シャマルとザフィーラが、その笑みを見ながら半歩引いていた。
「そういうわけで、や。この預言についての調査を行うべく、うちらも行動を開始しよか。
 多分、この表記からするとまずはシンを探すべきだと思うんよ」
きっぱりと宣言するはやて。その表情は、ずっと笑みを浮かべたままである。
背後に流れる赤黒いエネルギーには、ヴォルケンリッターがそろって見ない振りを決め込むほどのものが流れていた。
異議を唱えれば殺される、と言い換えても良い。
「まっとってな、シン。すぐに迎えに行くから」
菩薩のような笑みを浮かべながら、夜空に向かって声を上げるはやてであった。


「っくしっ!」
「どうした、シン。風邪でも引いたか」
「い、いや……。何かものすごい嫌な予感がするんだよな……」
「そうか。だが急げ。少佐が呼んでいる。なんでも極秘任務らしいからな」




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最終更新:2008年09月10日 09:11
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