突発的思いつき企画
○○はシンの嫁シリーズ第ニ弾
ジナイーダはシンの嫁
ACMoJ アナザーエンド
最後の魔鳥
シン・アスカがレイヴンのいる世界に飛ばされてからおよそ一年。
サイレントラインと呼ばれた地上の未踏峰地帯が開放され、人類がかつての領地を取り戻した頃、それは起きた。
何処からか現われた無人の自爆兵器が、見境無く世界を襲ったのだ。
そんな中レイヴンたちも多くがその命を落とした。
その中にはフリッツ・パーン、エネ、レジーナ、つまりシンの知り合いの名も含まれていた。
そしてジノーヴィー、アグラーヤもまた命を落とし、ジナイーダは消息不明となった。
再び全てを失ったシン。
だが世界は、彼を病的なほど愛している戦の女神━マーズ━は、シンに立ち止まる時間すら与えなかった。
特攻兵器来襲から半年後。
ミラージュ、クレスト、キサラギ。 かつてのレイヤード三大企業が創設した『アライアンス』が取り敢えずの世界の統治を宣言。
それに反発した者達がレイヴン、ジャックOを首魁とした反抗組織『バーテックス』を立ち上げた。
これに対しアライアンスは生き残りのレイヴンを集めレイヴン、エヴァンジェを指揮官に据えたアライアンス戦術部隊。
通称『ATF』をもってこれの鎮圧に当たった。
泥沼になるかと思われた戦況を打ち壊したのはジャックOの衝撃的な言葉であった。
「今から24時間以内にアライアンス本拠地を総攻撃する。 なお敵対するレイヴンには賞金を懸ける」
それに対抗するようにアライアンスも敵対するレイヴンの首に賞金を懸け、世界は動き始めた。
生き残ったレイヴンは23人。 その中にはシン・アスカとジナイーダの名前もあった。
シンは再び戦場に出る。 ジナイーダを連れ戻し、ジャックOの真意を知るため。
戦いの中で明かされたジャックOの真意。
それは驚くべきものだった。
世界を襲った特攻兵器は旧世界の遺産、インターネサインにより作られたものであり、未だそれは稼動し続けているという事。
インターネサインを破壊しえるのは管理者にイレギュラーと呼ばれた者達だけだが、その人たちは既にこの世に居ない。
その為ジャックOはイレギュラーになりえる、つまり先天性戦闘適合人類━ドミナント━を探していたのだ。
その候補はシンとジナイーダ。 そして残ったレイヴンは4人。
もはや一刻の猶予も無いと見たジャックは、二人をインターネサイン中枢へと突入させる為、命を落とす。
「ジナイーダは既に中だ。 早く行きたまえ!」
「ここは私に任せたまえ。 その代わり必ずインターネサインを破壊しろ」
「それが、私がレイヴンとして生きた証なのだから」
一つの依頼、『インターネサインの中枢破壊』を残して。
インターネサインへと突入したシンの前にその守護者、無人戦闘兵器パルヴァライザーが立ちはだかる。
苦戦するシンの間に現われたのは、ATF指揮官エヴァンジェであった。
ジナイーダとの戦いで傷付いたエヴァンジェは言う。
「よう、シン・アスカ、まだ生きてるか?」
「行け、例え偽者の私でも、こいつ位は何とかなる。……その代わり頼みがある、この先にある施設を必ず破壊してくれ」
「……後は任せたぞ、レイヴン!」
そしてシンはついに中枢へと到達する。
其処に立っていたのは紫色の二脚AC、忘れるはずの無い機体。
ジナイーダのファシネイター。
しかし以前と違い、主武装であった右腕のマシンガンが、ブレードのあった左手に持ち変えられ、
右腕には巨大なハンドレールガンを装備していた。
又、肩に合ったロケットもパルスキャノンへと変わっていた。
「やはりお前かアスカ、久しぶりだな。 なんとなくお前が来るような気がしていた」
そう言うとジナイーダは振り返り、シンと対峙した。
「……ジナイーダ」
現在シンが乗っているのは元々シンが使っていたコア、(かつての愛機デスティニーのボディを元にしたカスタムメイドコア)
そして左ブレードに、今はもういないジノーヴィのデュアルフェイスの頭部、脚部に右肩グレネード、右手のライフル。
アグラーヤのジオハーツの腕部、左肩のミサイルにエクステンションを組み合わせた決戦用の機体。
ジオハーツ、デュアルフェイス、デスティニーの頭文字を取り、名をGDDといった。
「インターネサインは、既に破壊した」
感情の篭らぬ声で、淡々と事実のみを告げるジナイーダ。
「ジャックとエヴァンジェは死んだよ、パルヴァライザーと相討ちで……」
対照的にシンは奥歯を割れるほど噛み締め、二人の死を口にする。
「そうか、残ったのは……私達だけか」
僅かな間を置き、ジナイーダは答えた。
「ジナイーダ、帰ろう」
「いや、まだだ!」
突如として様子の変わったジナイーダはシンへと銃を向ける。
「ジナイーダ、一体何を!」
「決着を着けよう、アスカ。 私とお前。 どちらが最強最後のレイヴンの名に相応しいか」
「ジナイーダ、そんな事に何の意味がある!? アグラーヤさんもジノーヴィーさんも望んでいない!」
シンは向けられたレールガンを振り払い、必死に説得を続ける。
「黙れ、最早言葉は無用だ。 お前もレイヴンであるならば言葉ではなく、銃口を突き付けろ!」
今一度振り払われた銃口をGDDに押し付け、ジナイーダは叫んだ。
「…………ジナイーダ、どこまで強情なんだ、アンタって人はッ!」
悲しげな表情でシンは慟哭した。
道は別たれたのだ。
お互い機体は大破寸前、打てる手は後数手。
シンは機体状況をチェックすると素早くOB(デスティニーから受け継いだ遺産の一つ光の翼、VLエクストリーム・
ブラスト)の起動準備をし、グレネードを構えた。
ファシネイターはブースターを吹かすと、照準を逸らす為、左右に機体を振り、乙の字を描きながら迫る。
シンは適当にタイミングを計ると、ファシネイターが右に機体を振った瞬間を狙い、トリガーを引いた。
放たれた榴弾に一切の躊躇いなく、右に機体を急加速し、それを避けた。
真横に着弾した榴弾が砕け、金属片と爆風が撒き散らされる。
ファシネイターに破片が襲いくる、しかしそれに大した反応を示すでもなく接近を続ける。
「……今更機体に傷ついてもどうってことないって?」
苦虫を噛み潰したような表情でシンは呟く。
もう一度タイミングを計りグレネードを放つ、右肩に当たった。
しかし、肩アーマーが吹き飛んだだけで右腕に一切損害はない。
「これだ。 この感覚だ。 今、私はお前が何を考えているか分かる。 お前の思考が、想いが全て私に向けられている」
突如として通信機から聞こえるジナイーダの声。
「何を言ってるんだ、アンタは!」
僅かな困惑を覚えつつもシンはそれを唾棄する。
「……私がどんなにお前のことを想っても、口に出そうとも、お前は振り向きもしなかった」
「…………」
「だが、今のお前は私を、私だけを見ている!」
それはあまりにも哀しい告白。 ジナイーダの偽りの無い本音だった。
「ジナイーダ……」
シンは己自身に憎悪する。
何故こうなる前に止められなかった。
どうして彼女の思いに気付かなかった。
後悔と悔恨の念が頭をよぎる。
かろうじて思考の全てを持って行かれなかったのは、シンの戦士としての本能と経験があったからか。
ここが戦場であるという事実がシンの後ろめたい気持ちを覆い隠した。
「お前と私はよく似ている。 力を追い求めたもの同士」
「今、この瞬間が私の全てだ! 私達は戦う事でしか分かり合えない!」
ジナイーダの自分の道を貫こうとする様は……
「そんな事ッ!」
「ならば私を倒して証明して見せろ」
それはかつての自分のようで……
「ジナイイィィイィィィイダァァッァッァアア!!」
「シィイインン・アァァスゥカァァァアアアア!!」
力尽くでしか止められなかった。
桜色の光翼がGDDの背に広がる、OBとも比較にならない急加速。
これこそが対ジナイーダ戦用に温存していたシンの切り札であった。
GDDの左腕から青白い光刃が伸びる。
MOON-LIGHT。 月光の名を持つ最強のブレード。
対するジナイーダは残された全武装をGDDへと向け、引き金を引く。
轟音と共に弾丸が、光弾が放たれ粉塵を舞い上げる。
立ち上がる粉塵の中、青と桜二種類の光がファシネイターの目の前に飛び出し、その中枢部を両断した。
「やはり強いな、シン」
「私は悪夢に苦しむお前を救えない代わりに守ってやりたかった」
「その為に私は唯ひたすらに強くあろうとした。 ……そして、そこに私が生きる理由があると信じていた」
「だが何時からだろうな、お前を守るという理由と、強くなるという手段が入れ替わってしまっていた。」
「……私はお前に、シンに止めて貰いたかったのかも知れない」
「ようやく、追い続けていた物に手が届いた気がする。 レイヴン。 その称号は、お前にこそ相応しい」
「馬鹿、野郎ッ……」
「俺は、そんな称号なんて要らない。」
「俺が欲しかったのはジノさんが、アグラーヤさんが、そしてジナ! 君がいるあの家、家族だったんだ」
「ははは、そんな……そうか、私が追い続けてきた物はそんな近くに、手が届くところにあったのか」
「ジナ、もういい、帰ろう」
「だが、私はもう」
「君が嫌でも、俺は無理やり連れて行く!」
「シン、私は……」
数ヵ月後、全てのレイヴンがいなくなったレイヤードは再び企業の支配が始まるかと思われた、だがそうはならなかった。
企業の横暴が聞こえる所、緋と紫二機のACが現われ、企業の戦力を一方的に撃破して言ったのである。
無論正義の味方なんていう安っぽいものではない。 正規の手続きによる依頼とそれなりの報酬が無ければ彼らは動かなかった。
だがその依頼と報酬によってのみ従い、いかなる権力、財力、戦力にも従わない姿に人々は畏敬と憧れを込め、
企業はありったけの恐怖と憎悪を込めこう呼んだ。
ラストレイヴンズ
つがいの魔鳥と。
とある場所、いつかも分からぬ時間。 男女が座り込み、話をしていた。
「なあ、シン。 次はどこに行くんだ?」
「ん、風の向くまま、気の向くままさ ジナは何処か行きたい所はあるか?」
「そうだな。 暖かいところが良い。 出来れば海があれば最高だ」
「暖かい所、とりあえず南にでもいくか」
「いい加減だな」
「どうせ一箇所に長居は出来ないし時間なら有り余ってるさ、それに」
「それに?」
「君が側に居てくれるなら俺は何処でも構わないさ」
「そうか、私もそう考えていた」
最終更新:2008年09月22日 14:25