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転移戦隊しゃどうみら~ 第二話でございますです

 転移戦隊しゃどうみら~ 第二話でございますです

 この世であってこの世で無い場所。
 自らの存在を求めて彷徨った偽りの魂は消滅を迎えようとしていた。
 答えを見つけ、思い残す事無く消えていこうとした「彼女」の思考に一瞬写ったのは、
 自らの子供というべき者たちの姿だった。
 もはや極わずかとなった力で願う。

 …あなたたちは生きなさい…

 …母として…これが…最初で…最……後…の…

 そして、「彼女」は完全に消滅した。

 「ふぅ、終わった終わった」

 シンは乗機のアシュセイバーをハンガーに納めると溜息まじりに呟いた。
 最近、あちらこちらで転移反応らしきものが観測され、その調査で大忙しなのだ。
 反応があったポイントに向かっても特に異変が無いあたり完全に骨折り損のくたびれもうけなのだが
 隊の頭脳、レモンが言うには何かが起こる前触れという事らしい。
 そんなこんなで調査の手を抜くわけにもいかず、早朝から数えて五回目のスクランブルを終えたシンは疲れていた。
 機体から降り部屋に帰ってさっさと休もうとしたシンの視界にラミアの姿が映った。

 「ラミアさんも今戻ったんですか?」
 「ああ、結果は例によって例のごとくだったが」
 「やっぱりですか」

 相づちをうちながら伸びをするシン。
 疲労が溜まっていながらもまだどこかに余力を残している様な仕草にラミアは目を細める。

 「君も一人前のパイロットらしくなってきたな」
 「そりゃ、ラミアさんやアクセル隊長に二年間みっちり鍛えられましたから」
 「フッ、だがまだまだだぞ?アクセル隊長はああ見えてスパルタだし、私のカリキュラムもまだ終わっていない」
 「…精進します」

 そんな会話をしながらシンはふと思った。

 (もう二年も経つのか…)

 家族を失い、シャドウミラーに拾われ、彼らの一員になってからそれだけの月日が流れていた。
 特訓は大変だったが一癖もふた癖もある彼らとの生活は波乱があり愉快でもあった。
 そしてそれはシンの心の傷を癒すのに充分であった。
 いつしかシャドウミラーはシンにとって第二の家族ともいうべき場所となっていた。

 「おうラミアちゃん、シン」

 背後から男に呼ばれ、ラミアとシンは振り向いた。

 「アクセル隊長、どうかしちゃったのでござんすか?」
 「ああ、また新たな転移反応が発見されてな。今、手が空いてるのはラミアちゃんたち二人しかいないから
  二人に行ってもらおうと思って伝えにきたんだな、これが」
 「了解したでありやんす」
 「了解しました」

 陽気な赤毛の男、アクセルの命令に敬礼を返す。
 ラミアの敬語がおかしい事は隊内でももはや誰も気にしない。
 唯一、隊のトップであるヴィンデルがWシリーズの生みの親であるレモンに直すように言ったのだが

 「だって、あのままのほうが可愛いじゃない」

 という一言で却下されている。

 「それと僭越ながらこのアクセル・アルマー目が、多忙な任務で疲れている二人に激励の言葉を贈ろう。
  ゴホン…シンくぅ~ん、ラミアちゃ~んがんばってね~ン☆」

 「……」
 「……」

 格納庫の空気が死んだ。
 もの凄い猫撫で声で更にばっちりウインクまで決めている。

 「…気持ち悪いです…」
 「地獄に堕ちまくりやがれでございますなの」

 「ひでぇ…」

 ガックリと肩を落とし地面に手をつくアクセル。
 自我の希薄な量産型Wシリーズまでが作業の合間にアクセルを白い目で見ているのは気のせいだろう。たぶん。
 そんなアクセルを放置してラミアとシンはさっさと出撃していった。

 陽光を受け、煌びやかにひかる湖面の上を二つの人型が通り過ぎていく。
 一つはSMSC-アンジュルグ。天使のような羽と女性型の甲冑が印象的なラミア専用機だ。
 もう一つはRPT-014-エルアインス。テスラ・ドライブにより飛行することができる
 汎用量産型パーソナルトルーパーだ。
 今回は飛行可能なアンジュルグと一緒の任務ということでアシュセイバーはお留守番となっている。
 シンは自機の二倍以上の大きさのアンジュルグを見ながら羨ましそうに言った。

 「特機かぁ。俺もいつか専用機がほしいなぁ」

 アシュセイバーを与えられているが、アレは正確には専用機とは言えない。
 少数ながら量産されエース級のパイロットには全員分配備されているからだ。
 十六歳という年齢を考えれば破格の待遇であるのだが、まだまだ少年のシンにとってスーパーロボット
 というべき特機に憧れを抱くなというほうが無理であろう。

 《シン。そろそろ目標のポイントに到達する。気を抜くな》
 「りょ、了解」

 慌てて思考を切り替え、レーダーに目をやる。

 《ここが反応の中心だが…今回も外れか?》

 周りはぽつぽつと傘の大きな木が生えているただの草原だ。
 異常のようなものは何処にも見あたらない。
 ラミアですら気が緩みかけるほどの牧歌的な穏やかな風景だが

 「ラミアさん!あれっ!!」

 シンのエルアインスが一つの木の下を指さす。
 拡大して見ると、人が三人倒れていた。

 (こんなところに人?それに三人ともシンよりも幼い。まだ子供だ)

 ラミアが考えにふけっているとエルアインスに動きがあった。
 コックピットハッチが開き、シンが下に降りようとしているのだ。

 「シン、待て!不用意に機体を降りるな!!」

 ラミアの制止の言葉が聞こえていないのか、シンは木の下に駆け寄った。
 そこには草のベッドの上で寄り添いあい、穏やかな表情で眠る二人の少女と一人の少年の姿があった。





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最終更新:2008年09月23日 19:57
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