<おまけ2:秋桜の咲く頃に>
シン 「煎茶か、なんか久しぶりだな。え~っと、たしか温めのお湯で……」
――ガチャリ。
雪歩 「し、失礼します……あ、シンさん」
シン 「あれ、雪歩? どうしたんだよ、仕事はもう終わったろ?」
雪歩 「そうなんですけど……えっと、その、さ、差し入れですっ!」
シン 「え、俺に?」
雪歩 「は、はい。あ、それ私があげたお茶……」
シン 「ん? あぁ、今淹れようかって思ってたところだ」
雪歩 「じゃ、じゃあ私が淹れますね! あ、これここに置いておきますから!」
シン 「そこまでしてくれなくても……って、もう行っちゃったよ」
雪歩 「ど、どうですか……?」
シン 「うん、うまいよ。なんかとろっとしててあんまり渋くないんだな」
雪歩 「あ、これは深蒸し煎茶っていう種類の煎茶だから。とろっとして濃厚な甘みがあるんです」
シン 「へぇ……あ、そういえば言うの忘れてたな。悪いな、差し入れ持ってきたりお茶まで入れてもらって」
雪歩 「い、いいんですよ。今日はシン君の
誕生日だし……これくらいしか私はできないから」
シン 「それはいくらなんでも謙遜しすぎじゃないか? 雪歩だって頑張ってるだろ?」
雪歩 「でも……」
シン 「……なんか、前にもこんな話したことあったよな」
雪歩 「え? あ、そういえば」
シン 「あのときもこうして一緒にお茶飲んでたんだっけ?」
雪歩 「そうでしたね……今はもう、あんな風にゆっくりした時間もあまり取れないですけど」
シン 「忙しいのは事務所としては嬉しいけどな。たしかに、あのときみたいな暇が欲しいよなぁ」
雪歩 「え……? そ、それって私と一緒にお茶を飲めるようなって意味ですか?」
シン 「ん? まぁ、そういうことになるけど」
雪歩 「そ、そうですか……えへへ」
シン 「?」
雪歩 「あ、そうだ! そういえば近くに綺麗なコスモスが咲いてる公園があるって知ってますか?」
シン 「コスモス?」
雪歩 「はい。昨日の仕事帰りに偶然見つけたんですけど、辺り一面に咲いててつい見とれちゃいました」
シン 「そんな場所があったんだな……」
雪歩 「それで、その」
シン 「ん?」
雪歩 「こ、今度休みが重なったら……そこで一緒にお茶を飲みませんか!?」
シン 「ゆ、雪歩!?」
雪歩 「あ……ご、ごめんなさい。いきなり大声出しちゃって」
シン 「いや、いいけど……秋の花見か、それもいいかもな」
雪歩 「えっ!?」
シン 「なんでそこで驚く?」
雪歩 「い、いえ! なんでもないです! それじゃ、その日が来るまで頑張りましょう!」
シン 「あ、あぁ」
それからしばらくの間、雪歩はいつもより積極的に仕事に取り組むようになったとか。
小鳥 「シン君知ってる? コスモスの花言葉は『少女の純真』とか『真心』なんだって」
シン 「そうだったんですか、知らなかったです」
小鳥 (無反応……駄目だこの子、早くなんとかしないと。いやでもコレはコレでイイ!)
最終更新:2008年11月07日 00:17