シンと神依のどきどきお料理
「そういや神依さんって日本食上手いですよね?」
「む、そうだな、私は日本料理しか出来ないからな」
「わふふ、このはも神衣様の日本料理でございまするー」
屋上、金曜日の昼休み。
シンと神依は屋上で昼ごはんを食べていた。以前なら教室でこのはと一緒に食べるが、
シンに告白してから以来は人気がすくない屋上でシンとこのはとで一緒に食べるのが慣行になっていた。
ちなみに神依の弁当は日本料理マジものの基本であるおにぎり、梅干
そして漬物に秋刀魚の焼き魚、サツマイモの揚げ物、にんじんとこんにゃくの煮物とまさに学生の弁当を
日本料理にしてみせよ、という問題があれば正答例の一つに入りそうな弁当である。
対するシンは家庭料理が中心。ご飯にしょうが焼き、前日に作ったビーフコロッケに栄養のバランスを考えて入れられた
野菜の炒め物であった。男の子だからか肉が多めだが栄養のバランスが良い。
「む、ビーフコロッケか」
「あ、神依さん食べます?」
神依は千年守で本当に日本人という日本人を凝縮した人である。
だからか外国のものに関してはかなり知らないことが多い。神依の家でも日本料理しか作らないので
ビーフコロッケは付き合い始めた当初、知らなかったりする。
「む、なら食べてみるか「・・・、これはシンが作ったものなのか?」
「そうですよ、あ、それと神依さんの秋刀魚少し貰っていいですか?」
「いいぞ」
そして互いの弁当のものを交互に食べあう。
神依とシンはいつもこうやって食べあいっこをしている。神依はこうやって西洋の料理について知っていくのである。
当時のシンはコロッケのことを知らなくてびっくりした事があるとか。
「そういや神依さんの家を見たことが無いですよね」
「む、そういやそうだが・・・どうしたのだ」
神依は首をかしげる。次の言葉を聞いて心臓が飛び跳ねるのだが
「いや、一度神依さんの家に行ってみたいなと思って」
「!?」
―――
「む、むう、この服がいいのか・・・?だがしかしこれも・・・」
「神依様ー、この服装とかどうでありますかー?」
次の日の土曜日、神依は服選びに悪戦苦闘をしていた。
セーラー服で迎えるなどと少し失礼なことが出来ないので金曜日の夕方に色々と
(遠野家の魔物討伐に関する投資のお金で)服を買ってきたのだが、これには理由がある。
シンと一緒に料理し、食べることになったのである。
神依の家は遠野家の別居を貸しているわけで、ある程度広い日本風の家となっている。
だが一応西洋のキッチンもあるしそのキッチンはシステムキッチンになっている。
そこで一緒に料理をするのである。
女の子としては胸がどきどきするイベントであろう。
なのでこうして服を選んでいるわけであるが、この服選びが相当困難なものとなっている。
キッチンで料理するのである程度活動できる服がいいがそれなりに女の子らしくそれなりに可愛い格好。
それを選ぶためにこのはと一緒に
「わふー、中々決まらないでござりまするー・・・シン殿が来るまで後少しなのに。あ、この服はどうでありますか?」
と、黒色のワンピースを差し出す。比較的落ち着いた大和撫子の女性が着ると似合いそうな落ち着いた服だ。
「む、このは。これがいいかもしれないな」
と神依が着てみて、鏡の前に出る。
「・・・よし、これならシンもそれなりに可愛いと思ってくれるはずだ」
「わふー、このはもそれが良いと思いまするー。まさにやまとなでしこでありまする」
―――
それは、美しいものであった。
黒い絹のような髪の毛はポニーテールでまとめられて、美しく輝いている。
そして、大和撫子の女性を表すならこれである、という氷のように冷たく、そしてほんのり赤色に染まっている頬の
美しい顔。スレンダー気味だが少しボリュームがある胸を良く表現できている落ち着いた黒色のワンピース。
シンは少し、胸がどきどきしていた。
まさか、ここまで人が変わるとは思ってなかったからである。普段のセーラー服でも似合っているが
正直こちらのほうがよく似合っていた。
「シ、シン、似合って、ないか?」
「――あ、す、すみません、似合ってると思います」
とシンもはっとして言葉を返す。この時シンは少し顔を赤らめていた。神衣はその反応を見て、この服で成功したと判断した。
男の子は女の子が綺麗な時に見ると男の子はドキッとすると言われているがこれがそれではないか、とこのはは後日語る。
「まあ、とりあえずあがっていいぞ」
「あ、お邪魔します」
と、神依についていって居間に行く。
やはり日本家屋。ちょうどいい広めの大きさの部屋。たたみの匂いが心地良い。
そして向こうのふすまに見える庭が美しい。
「シン、材料は既に用意してある。一緒に料理をしよう」
そしてキッチン。
キッチンの柄は木材の特徴を出していて、家にマッチしていた。
「神依さんって日本家屋によく似合いますよね」
と、シンは天ぷらに使うエビを処理しながら聞く。
「む、そうか?」
と大根を切りながら神依は返事をする。
「神衣さんって、なんだか大和撫子みたいですよね。だから似合っているのかな」
「シ、シン。私はそこまで撫子じゃないし、その・・・」
少し言葉を照れて濁らす神依。こういうのは女の子は言われて嬉しいものである。
だから照れるのも当然の反応であったといえる。
そして、シンがにんじんを切っている時にそれは起きた。
「痛っ」
「シン、どうした?」
にんじんを切っている時に手を滑らせて指を少し切ってしまったのである。
「指を切ってしまったのか・・・少し待て、救急箱を出してくる」
といって台所の近くにある救急箱を出し。そしてシンの指に包帯を巻こうとする。
そして、ある程度巻いてから気づく
「あ、あの、神依さん・・・その、手」
「む・・・あ」
手を繋いでいる事に気づく。
さり気なく初めて手を繋いだ瞬間。
「そ、その、恋人・・・だから、これぐらいの事はしても、いい・・・よな」
「・・・」
そして顔を赤らめるシンと神依。
「わふー・・・アツアツでありまするー・・・」
ドアの隙間から見ていたこのははその場から逃げるようにすり足で逃げたとか。
―――
「わふっ、いただきまするー!」
料理が出来た後、居間で3人はご飯を食べた。
主食に王道のご飯に漬物、そしてわかめの味噌汁に鳥のから揚げ、これはシンが「から揚げが好き」という事を考えて
作れられたもの、他に作ったのはサツマイモの天ぷら。他にシンが作った得意料理であるコロッケもあるが何より一番特徴を出していたのは
このはは炒飯が好きである。
だから、シンと神依はこのはを喜ばせる為に一緒に炒飯を作ったのだ。
「このは、味はどうだ?」
「はいっ!おいしいでございまするー」
が、次の一言が凄いことになる
「まるでシン様と神依様は夫婦みたいでございまするー!」
「ちょっ」
シンと神依は顔を赤らめる。シンは気恥ずかしくて少し言葉が出なかった。
そして神依はとどめの一撃を食らわすかのように言った。
「ま、まあ、その・・・恋人同士だから、その、これぐらいはいいだろうと思う」
「かかか神依さんまで・・・まあ、その、確かに恋人同士だけどその・・・」
「そ、その、駄目、なのか?」
「―――っっ!!」
トドメであったとか、と後日わざとあんな発言をしたこのはが語る。
そして夕方ごろにシンは家に帰ったが、
ずっとずっと、夕日より顔を赤らめていた。
最終更新:2009年02月09日 23:35