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ヴォルケンズ変化編-2

(おかしい…、さっきから熊と犬の死骸が多すぎる)

凶暴化した魔獣が暴れているとの通報が入り、その詳細を調べるべくジェミニマウンテン
と呼ばれる峠にやって来たザフィーラ。しかし、そこは異質な空間と化していた。
まず、この山に入った時から魔法が使えなくなった-以前はここで魔法を行使してもなんら
問題なかったのだが。そのおかげで彼は人型形態をとる事が出来ずにいた。

(潜入ならばこっちの方が早いが…)

それに加えて、いたるところに魔獣が暴れ…いや戦闘した形跡があるのだ。
そして、道中に鼻につく血の臭い、そして熊と犬の死骸。果たしてこの山で何が起きているのか?

(本来ならば戻って報告といきたいところだが…、何だ?この体の内側から湧き上がる闘いの衝動は)

本来であるならば、ここは一旦戻ってこの異様な事態を報告すべきなのだが、体の奥から沸き起こる戦闘
衝動に駆られそれができないでいた。熊、そして犬の死骸を発見するたびそれは熱く疼き、哀しみと怒り
の感情が沸いてくる。と、その時である。

「なんだ!このうなり声は!!」

ウゴォォォっという獣の叫び声が聞こえてきた。その声を聞いたザフィーラにはっきりとした闘争心が
芽生えてくる。

「ぬぅぅ…、何だこの熱く体がたぎる様な感覚は…。これが報告にあった魔獣の叫び声か!」

ザフィーラは脚を早めた。

一方、ジェミニマウンテン奥深く

「くそっ、ダメだ!!びくともしねぇ」
「怖気づくな!辛抱強く粘れば奴だっていづれは倒れる!」

何頭もの犬が熊のような、いやそれよりもはるかに強大な獣を囲み攻撃を加えている。
一見すると犬達の方が優勢に見えるがよくみて見ると攻撃に参加しているのは一部の犬で他の犬は動かず
ただ退路を断つ為に囲んでいるようであった。一匹の犬が獣に噛み付き獣はそれを振り払う、そして間髪
入れずにまた別の犬が獣に噛み付きにいく。振り払われた犬は囲んでいる犬の方へ走り、代わりに囲みから
一匹の犬が飛び出してくる。…そうローテション攻撃である。
この巨木の様なでかい熊のような獣に対し体格で遥かに劣る犬達であるが持ち前の俊敏さと統率力を活かして
じわじわ相手の体力を減らす作戦にでたのだろう。数で勝る犬達にとって現状はかなり有利であるといえた。
しかし…

「グォォォォォ~~~~~~っ!!」
「ぐわっ、なんだこの地鳴りもする叫びは!」
「な、何て声だよ。こいつまだまだ倒れる気はねぇってか」

あまりの声のでかさに犬達はひるんだ

「ひるむな!奴を休ませるな」

ドーベルマンの様な犬が他の犬達に声をかける

(おかしい、あいつがひるませる為に大声で叫ぶというのはあいつの性分ではないはず。なんだろう嫌な予感
 がする)

銀の毛並みをもった凛々しい顔つきの犬が先ほどの獣に対し、少し不可解なものを感じ始めた。

「おい、牙。ぼさっとしてるんじゃねぇぞ」
「すまん、それより…はっ!わかったぞ、奴の狙いが皆!一時散るんだ!」

牙と呼ばれた銀の毛並みをもった犬はあの獣の思惑に気づき、叫んだ。が少しそれはタイミングがずれていた。
牙が叫んだと同時に周りの茂みから何頭かの熊が飛び出し、囲んでいた犬達を弾き飛ばした。

「何ぃっ!!奴のさっきの雄たけびは仲間を呼ぶ為のものだったのか!!」

先ほどの有利な状況から一転、囲みを散らされた犬達は統率を失い混乱に陥ってしまった。

「皆!あわてるな、一時撤退だ!」

牙がそう呼びかけるが、そこに繰り広げられるのは阿鼻叫喚の地獄絵図。犬達は熊達に次々と餌食となってしまった。

「くっ!退け!退け~~~」

なんとか、撤退をしようと牙は退路を作る為に熊に飛び掛る。手早い早業で一頭仕留める退路を作ると。
そこに仲間達を誘導する。

「大将!!政の奴が敵のど真ん中に…」
「く、いい。お前は皆を纏めていろ、俺は政を助けに行く」
「大将~~~~」

と牙は仲間達を逃す為にあえておとり役になった戦友を助ける為に敵の囲みに突撃していった。

「大将!!何で来たんだ」
「お前を置いていけるか!まだ死ぬような場所じゃない!」
「大将…すまねぇ!!}

とそんなやりとりをしていると、熊の一撃が牙に襲い掛かった!!

「大将!あぶねぇ~~~~」

政は思わず眼を閉じた、しかし。次に聞こえてきたのは熊の悲鳴であった。

「うっ、た、大将…?あ、あんたはっ…!!」
「ふぅ、どうやら戦争をしているようだな」

政の眼に飛び込んで来たのはそう、ザフィーラだった!!

「あ、あんたは一体…」
「少なくともお前らの敵ではない、それより早くここを突破するぞ!」
「どこの誰かは知らないが助かった、ありがとう」
「何、気にするな」

そう言って三頭は熊達を屠りつつ、その囲みを突破していった。





シン「ザフィーラの奴、報告遅いなぁ」
はやて「ああ、今調べたら魔力レベルそんなでかい奴じゃないみたいやから。ザフィーラ一人でも充分やろ」
ヴァイス「いいんですか?」
はやて「まぁ、心配あらへんよ。それよりもやらなあかん事まだまだある。ここでシグナムもヴィータも使えない
    から大変や~」





前回のあらすじ
人里を荒らす魔獣がいるとの通報を受けいち早く偵察任務にジェミニマウンテンに赴いたザフィーラ。
しかし、そこに広がっていたのは犬と熊との死闘の跡であった。隠せない不安を抱きつつも任務を続けると
そこには熊の群れに立ち向かう犬の大群が。あわや優勢であった犬達であったが、突如として現れた熊
の増援に蹴散らされ壊滅の危機に。同胞を助けにとザフィーラはその犬のボスと思われる凛々しい顔を
もった犬-牙を救出し、脱出に成功した。果たして、この山で何が起こっているのか。犬と熊の関係は?


「ふう、ここまでくれば。よし、皆隊列を立て直せ」

熊の奇襲にあい、一時は全滅必死かと思われた犬達だったがザフィーラの活躍にてなんとか窮地を脱し。
今は隊列を立て直す為に逃げ出し、整えていた。

「思いのほか残ってるな」
「ああ、でも戦闘に参加できる奴とそうでない奴がな」

牙の決断もあってか思いのほか軽傷ですんでいたが、それはあくまでも生き残っている数の話。
怪我を負っているものは多く、中にはこれ以上の戦闘の継続が難しい者達もいた。

「それにしてもありがとう、あなたのおかげで犠牲は少なくすみました。名前をお聞きにしたいのですが」
「うむ、ザフィーラという」
「へぇ、しかしなんでまたこんなところに」
「いや、それは…」
「ぉお~い、牙ーーー」

と、ザフィーラの紹介も終わらぬ内に別の犬の一群が牙たちの元に向かってきた。

「あれは…マックの旦那」
「おお、政。やられてなかったか」
「マック!なんであなたがここに?」
「おお、熊どもが遠くから聞こえてきた遠吠えに反応して一斉に逃げ出したんだ。だが、よく考えてみれば
 その逃げたコースと遠吠えの方向がお前の攻撃する方面だったんでな。もしかしたらとかけつけてきたんだ」
「そうか…」
「この様子だと、どうやら俺の勘は当たっていたようだな。すまん、俺達がもっと減らしていれば…」
「いや、来てくれただけで嬉しいよ。これで奴らともやり合える、そういえばスカーレットさんは?」
「スカーレットは…」

マックはそう呟くとそのまま空を見つめた。

「そうか…」
「立派な最後だった…、かねてより噂されていたあの半目と数頭の熊を道連れに沼の底へ…」
「惜しい男がまた一人逝っっちまいやがったなぁ…」

壮絶なスカーレットの最後に牙達は思わず涙した。そして、そんな牙達の様子についていけない漢が一人。

(スカーレットって…だれだ)

ザフィーラである。

「そういえば、そこの兄ちゃんはなんなんだ」
「ああ、この人はザフィーラさんといって俺を助けてくれたんだ」
「そうか、それはすまなかったな。だが、今更何の用だ?」
「マックの旦那ぁっ!それは…」
「黙れ政!俺達は決められた期日内に打倒ブラッディ・ヘルムを掲げて集まった同士!!
 牙を助けてくれたかは知らんが集合日時も守らず急にこられてはこれからの士気も落ちるというものだ」
「ほう、お前達はそういう目的で集まってきたのか」
「何?」
「いや、すまない。俺は外部の者でな、ここに人里を荒らすという魔獣がいると聞いてそれを退治に来たのだ。
 それで俺は偵察と地形把握の為に単独で動いたのだが」
「そこで俺達に会ったといわけか」
「そうだ」
「退治…まさか麓の人間達がハンターに依頼したのか?」
「いや、それ以前にもハンター達がやって来ては逆にやられて帰っていったから…。もしかしてもっと上の…」
「いや、それはどうでもいい。それでザフィーラさんとやら、おめぇこれからどうするんだ?」
「うむ、それなんだが…」

(正直、この魔法が使えないフィールドにシン達を連れてきてはかえって足手まといだな。シグナムならば…
 と思うが、あの統率のとれた熊の群れに魔法無しだとなると…)
そう、管理局の質量兵器の廃止によりいかなる状況においても銃の類は使えないのだ。つまりはこのような魔法をいっさい
使えない状況においては魔導士もただの人、個人ポテンシャルに依存する事になる。それは質量兵器廃止の弊害でもあった。

「あの様子を見ると俺の主では退治は無理だ、だがお前ら達とならあるいは…。という事ですまないが俺も
 そのブラッディ・ヘルムとやらの退治を手伝わせてくれないか?」
「へっ、だとよ牙」
「そうか、ありがとう。あの時の判断力と強さ実に惜しいものとおもっていました。こちらからも喜んで!」
「感謝する」

こうして、ザフィーラは牙達の軍団に入る事になり。打倒ブラッディ・ヘルムを目指す事になった。
果たして、ザフィーラ達の運命やいかに。

次回予告
ブラッディ・ヘルムの一群は牙達の猛攻により徐々に数を減らしていき、とうとう一線を退かせるまでになった。
しかし、それは逆にブラッディ・ヘルムの城に篭城し一層抵抗が強くなる事のあらわれでもあった。
果敢に攻撃を続ける牙達、しかしその一方で牙達と反対方向のところで一頭の怪しい影がブラッディ・ヘルムに
近づきつつあった…次回「決死の攻城戦」
今、振り返ると。漢達の記憶が…



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最終更新:2009年02月08日 14:35
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