ネットで公開されたオリジナル版と、双葉社から刊行されている書籍版(既刊2巻)に収録された話との相違点メモ。
全体の違い
- オリジナル版であった「なぜか歩くは頻繁にハンドルネームを変える」という設定がなくなり、書籍版では歩くのハンドルネームは「koko」のみ。
個別エピソードごとの違い
1「師事」
師事
- 書籍版では師匠と一緒にファミレスに行った後に、霊道を見に行くエピソードが追加されている。師匠いわく「霊道とは穴」。
失踪
- 書籍版では以下の加筆がある。
- 師匠に連れられて「生きた人間を沈めることで、死者を蘇らせられる」という奇怪な伝承がある『もどり沼』を見に行く。成功すれば死者が蘇るが、失敗すると魂のない肉体だけ戻ってきて、すぐ泥に還るという。「もどり沼を使って死者を蘇らすことに成功した人間と、失敗した人間の違いは?」「人の魂がどこから来るのかという話だ」という問答をする。
- かつてウニは、師匠の車のトランクをこっそり開けたことがある。トランクの中には、袋につまった土くれがあった。
- 師匠の恋人だった倉野木綾は、大学卒業後に県外で就職したが、その後、音信不通になっている。
コジョウイケトンネル
- 書籍版では後日談が追加されている。ウニが大学4回生の春のとき、再びコジョウイケトンネルを訪れ、3年前の自分には視えなかった、当時の師匠には視えていた筈のモノを視る。
歩くさん
- 歩くがウニに予知を告げるエピソードが違う。オリジナル版では歩くが卒業するときにウニへ「洪水に気をつけて」と口頭で警告するが、書籍版では時期も予知の内容も異なる。ウニが大学1回生だった梅雨の終わり頃、歩くとサークルBOXで二人きりになった冒頭のシーンの続き。歩くはウニの前で予知をパソコンで書き上げて印刷し、内容を知らせないまま封筒に封印したうえで「2年後の7月、本当に危ないときに開けなさい」という言葉とともに手渡す。
黒い手
- 書籍版では『黒い手』の残りの部分、かつて師匠が遭遇したという『黒いマネキン』と、それにまつわる一連の恐ろしい出来事について言及される。
そうめんの話
- 書籍版では、師匠の部屋を訪ねたときに「びっしりと人名が書かれたノート」が置いてある。ノートに書かれた人名はウニが見慣れない名ばかりだったが、その中に『倉木野彩』という、知っている人と微妙に違う名前を見つける。
- 書籍版のウニは、その後の師匠の変化を「かつて得たものの喪失」なのではないかと感じる。
四隅
- 書籍版ではkoko、京介、みかっちの三人とも「彼氏持ち」とされる。
2「4つの顔」
雨上がり
- バス停での、ウニと盲目の女性との会話。オリジナル版と書籍版で内容が違う。また、書籍版では女性が「よく知った過去が、作り変えられていく。そんな気がする」という恐れを口にする。
ビデオ
- 話の流れはオリジナル版と書籍版で共通だが、書籍版では師匠によってビデオが上書きされた後に、何者かの手によって『サトウイチロウ』の呪いが再起動してウニと師匠が死にかける。しかし直前に夏雄の警告があり、難を逃れる。
すまきの話
- 師匠が入学アルバムを手掛かりにして歩くを捜し当てた理由が加筆されている。曰く「下級生のアルバムのなかで、顔ではなく、名前だけを見ていた」らしい。
- 歩くがウニに計算してみせた数式
オリジナル版:24587×98564=2456395168
書籍版:24517×98534=2415758078
引き出し
- 書籍版でウニが「自分には今、恋人がいる」と述懐。詳細不明。
- 後日談にも加筆あり。かつて街で起きた事件と、それに関わった人間たち、そして人知れず進行していた『見えざる悪意』について。
最終更新:2025年06月29日 23:30