ソフィア王国内戦で、全前戦にレオネッサ軍が押し出されると、レオネッサのドゥーチェはソフィア王国王党派を完全掌握する野心を燃やしだした。
先ず王党派総司令部だが、王党派総司令部は
レオネッサ王国ヴァーレンディアにあり、この司令部に居るのはクロヴィス王や高級将官、惰眠を貪るばかりの無能な貴族達で、軍事力もまともに持ち合わせておらず、脅威ではなかった。特にクロヴィス王の妻、クラーラの母でもあるルクレツィアはレオネッサ貴族出身であり元々レオネッサに好意的で、クロヴィス王の兄メロヴィクスや、取り巻きの貴族達は簡単な懐柔で直ぐにレオネッサに掌握され、連日レオネッサの首都で「レオネッサとの親睦を深め、より心情的協力関係を築く」為の舞踏会を開いては惰眠を貪っていた。クロヴィス王も王党派の状況からレオネッサと協力することの重要性をよく理解しており、自身はレオネッサを警戒しながらも、かなり協力的な姿勢を示していた。
だが問題は王党派軍の前線部隊でソフィア王国
フォート・ヴェラリアの王党派軍集団だった。王党派軍集団はクロヴィス王の娘クラーラ王女(上級大将)が指揮下に置かれてあり、レオネッサの影響は殆どなかった。その上クラーラはレオネッサ王国軍将兵をしばしば慰問し、彼らを称賛する事はあっても、レオネッサ王国軍上層部とはしばしば非協力的だった。そのためレオネッサ王国軍は、王党派軍集団を解散し、王党派総司令部直轄の第4軍と合わせて王党派の4個軍を必要に応じてレオネッサ王国軍の指揮下に置く事ができるようにしたいと提案した。
この提案に王党派の将軍達もクロヴィスも懸念を抱いた。クロヴィスは決してレオネッサのファシストを信用していなかったし、将軍たちも一部を除いてレオネッサは信用できなかった。ただレオネッサ寄りの空軍元帥は積極的にレオネッサと協力する事を主張したし、全面的に拒否するのは今後の関係に問題であったので、クロヴィスは王党派総司令部直轄の第4軍に関しては、必要に応じてレオネッサの指揮下に置かれる事を承認した。また、王党派軍集団解散の代わりに、王党派軍集団がレオネッサと連携しやすいよう、王党派軍集団司令部にレオネッサ軍の連絡部署を置く事を提案した。
この回答にはレオネッサ軍を失望させたが、ドゥーチェはこの提案を容認した。連絡部署に将軍を置いて、彼らが王党派軍集団を王女に代わってコントロールしてしまえば良いと考えたからだ。
こうして取決めが交わされると、王党派総司令部から王党派軍集団にその旨が通知された。クラーラにとっては寝耳に水の話しで、彼女は武官を王党派総司令部に派遣して激しく抗議させた。だが結局決定が覆る事はなく、5月20日には王党派総司令部の一室にレオネッサ軍の連絡部署が設けられた。
そしてレオネッサの連絡将校たちは部署着任後、クラーラが一揆に巻込まれ、精神衰弱を起こしている事を知ると、ファシストの将校は歓喜してレオネッサ軍上層部に連絡した。レオネッサ軍上層部は王党派総司令部にそれを報告し、王党派総司令部に王女の軍集団指揮官の解任を求めた。娘のクラーラの身を案じて解任を求めた王妃ルクレツィアの圧力もあって、クロヴィスはクラーラの解任とアンリ上級大将の任命を決めた。だがクラーラはこの決定に猛反発した。王党派軍集団の将軍達も、近代戦の実戦経験がないアンリ上級大将の就任に抗議し、辞表を王党派総司令部に発送した。少なくとも、王党派軍集団の将軍達はクラーラの軍事采配を評価していたし、又年齢の若いクラーラは、王党派軍集団の将軍達の諫言も意見も良く聞いたのである。
この王党派軍集団の造反に王党派総司令部は大きな衝撃を受けた。クロヴィスは直ちに解任の撤回を決め、王党派軍集団の将軍達をなだめた。だがこの一件は王党派総司令部と王党派軍集団に軋轢を生み、レオネッサはこれを機に王党派総司令部をあまり信用しなくなる。だが、その一方でフォート・ヴェラリアのレオネッサ軍連絡部署のレオネッサ軍連絡将校と王党派軍集団の将軍達やクラーラは、最初は対立していたものの、次第に個人的な信頼関係を醸成して行く事となる。
最終更新:2011年02月19日 12:05