昔、昔。
”彼”は、とある錬金術師によって作られようとしていた生命でした。
けれど、人による生命の創造は容易に出来るものではなく、その練成は失敗しました。
失敗し、何も形作られることはなかったそこには、しかし、ひとつの魂が生まれ出でていました。
けれど身体を持たないその魂は、誰の目にも見えず、誰にも認識されず、ただ彷徨うことしかできなかったのです。
彼は、いつか自分が身体を備え、この世に生まれることができる日が来ることを信じて、待ち続けました。
何年も、何十年も、何百年も――。
しかしその願いは叶えられることなく、彼は生まれることができず、次第にその精神は、歪み始めて行きました。
絶望した彼は、世界を、自分の存在を許してくれない世界を憎んだのです。