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*無限桃花~黒い太陽~ 67 :代理:無限桃花~黒い太陽~:2010/02/04(木) 23:05:08 ID:l0Je2gY6 「相手は一人だ!まとまってかかれ!」  一人がそう叫んだ。だが、その叫びと同時に黒い刃に貫かれ、その姿は影となり消えた。  刃を持つ者の背後から、異形の魔物が二匹、その者へ飛び掛かる。  刃を持つ者は振り向き様に刀を振ると、二匹の魔物はいとも簡単に両断され、消え去った。 周りは今だ魔物が囲んでいるが、追い詰められているのはむしろ彼ら魔物達のほうだった。 「おのれ、無限桃花‥‥これほどの数で挑んでも勝てぬのか‥‥‥」  魔物の一人、亜煩寄生は焦っていた。練刀寄生の後釜として四天王の座に収まったが、所詮は穴埋めに過ぎなかった。  練刀と同じ轍は踏まぬと、数十にも及ぶ配下を引き連れ桃花へ戦いを挑んだが、本来であれば名も無き寄生の一匹に過ぎない亜煩では桃花に敵うはずもなかったのだ。 「くっ‥‥‥‥無念だが今は退くしかあるまい。」  亜煩は配下の寄生数人に合図をし、撤退しようとした。残りの連中は囮として残しておけば逃げる時間くらいは稼げるはずだ。  だが、その動きすらも桃花には見破られていた。 「逃げられると思う?」  桃花は呟いた。そして村正を天へと突き立てると、その刀身からは影が煙のように吹き出す。その影はやがて黒い稲妻へと姿を変え、村正と、そして桃花の周りを激しく打ち付ける。 「爆ぜよ天‥‥‥」  その一言を合図に、黒い稲妻はまるで龍の如くうねり始めた。雷鳴は激しさを増し、黒い龍は辺り一面に降り注ぐ。  黒龍二左衛門村正。その銘はこの技から来ていた。 龍が通り過ぎると、そこには桃花と亜煩のみが立っていた。 68 :代理:無限桃花~黒い太陽~:2010/02/04(木) 23:05:51 ID:l0Je2gY6 「一人も逃がさない。特にお前には聞かなきゃならない事があるんだ」  亜煩は恐怖を禁じ得なかった。桃花の強さは知っていた。だが、一瞬にして配下を薙ぎ払うほどの力を秘めていようとは、予想だにしない事だった。 「お前‥‥四天王なんだろ?なら影糾の事は知っているよな?奴が私の妹をどこへ連れ去ったか知っているか?なんでもいい。知っている事があったら‥‥話して‥‥」」 「お‥‥俺は何も知らない!俺は運よく四天王の空いた椅子に収まっただけだ。影糾なんて会った事すらないんだ!本当だ!本当なん‥だ‥ガフッ‥‥」  亜煩が言い終わる前に、村正の切っ先が亜煩の肩へ突き刺さった。 「いい加減な答は好きじゃない」 「ほ‥‥本当なんだ!影糾に会った事があるのは悪世巣と婆盆、あと、あんたに殺された練刀だけだ!俺は練刀の後釜だが、本来はそんな器じゃねぇ。亜煩って名前も寄生らしくない適当に付けられた名前なんだ」  嘘を言っているようには見えなかった。 「また空振りか‥‥」  桃花は落胆の色を隠せず思わず天を見上げる。目の前の寄生は手掛かりを持っているどころか、名前の付いたただの寄生だ。さっさと始末してしまおう。  だが、そう考えている内に一瞬の油断を生んだのだ。  桃花が天から再び亜煩に目をやると、その姿は人のそれから巨大な蟷螂へと変わろうとしていた。  仮そめの姿を捨て、寄生本来の姿へと変わった亜煩は、その巨大な鎌で村正を桃花の手から薙ぎ払い、桃花は地面へ叩き付けられた。  一瞬だった。桃花は地面へ叩き付けられたダメージで視界が鈍った。ぼんやりとした目で見えたのは、今まさに、桃花の胸へ鎌を突き立てんとする、人の顔を持つ巨大な蟷螂だった。  これまでだーーー  蟷螂がそう言ったように聞こえた。だが、今の桃花には上手く聞き取れない。視界はまだ戻らない。  絶体絶命だったーーーだが 「そこまでだ化け物」 72 名前:代理:無限桃花~黒い太陽~[age] 投稿日:2010/02/04(木) 23:06:35 ID:l0Je2gY6  桃花は耳を疑った。誰かが来たのだ。寄生を感知できる人間は桃花以外は居ないはずだった。居るとすればそれは寄生と、寄生に憑かれた人間のみだ。  だが、亜煩の表情はそのどちらも否定した。 「お前は何者だ!?なぜ俺の姿が見える?」 「汚い口を閉じろ化け物。嫌でも今から俺が永久に塞いでやるがな」  現れたのはスーツ姿の男性。年齢は30代半ばくらいだろうか。一見すると整った出で立ちのサラリーマン風だったが、物腰はただ者ではない事を物語っていた。 「行くぞ化け物」  その男は懐から拳銃を取り出し、亜煩に狙いを定める。  有り得ない。桃花はそう思った。通常の武器では、寄生に傷を付ける事すら出来ないのだ。 だが、男が放った弾丸は亜煩の眉間を見事に貫いた。そして傷口からは、村正で切り付けた時のように黒い影が吹き出した。 「なぜ‥‥だ‥‥貴様は一体‥‥?」 「死に行く者が知っても無意味だ。さっさと消えろ化け物」  亜煩は黒い影となり、消えて行った。  男は亜煩が消えるのを見届けると、桃花へと視線を移す。そして朦朧とした意識の桃花に言った。 「無限桃花さんですね?探していましたよ」 「あなたは‥‥一体‥‥?」 「ここで話すのも何でしょう。傷の手当もしたい。我々のアジトへ来て頂けますか?」  男はそういうと桃花を抱え上げ、そのまま車で桃花を連れさった。  男のアジトだという場所は、驚いた事に霞ヶ関のビル内にあった。それは、男が所属する組織が国家機関である事を示していた。  桃花は簡単な傷の手当を受けた。病院での精密検査も受けないかと言われたが拒否した。  それよりも、早く男の話を聞きたかった。 「本当に大丈夫なんですか?遠慮する事は無いんですよ?」 「いらないわ。それより何で私をここへ連れてきたのか‥‥早く教えて。なんで寄生を殺せたのかも‥‥」 73 名前:代理:無限桃花~黒い太陽~[age] 投稿日:2010/02/04(木) 23:07:17 ID:l0Je2gY6 「解りました。お話しましょう」  男は紙コップに入ったコーヒーを差出ながら言った。だが、桃花はブラックコーヒーは飲めない。申し訳なさそうに男に紙コップを返した。 「ごめんなさい‥‥」 「気にしないで。代わりに何か飲みますか?」 「‥‥ミルクティーを」  男は黒丸と名乗った。黒丸の所属する組織は神社庁の秘密組織『ヤタガラス』。  その目的は、寄生を撃退する事だった。 「そんなのがあったんだ‥‥」 「我々の組織は遥か昔から存在します。文献に最初に現れたのは室町時代から。恐らくもっと昔から存在したと思われます」 「寄生を倒す為に?」 「おそらく最初は違ったはずです。寄生を倒す事は通常の方法では出来ない。だが、寄生を斬り裂く武器を作る事が可能となった時、ヤタガラスは寄生の抹殺を目的とした。 あなたの持つ剣も、大昔の刀匠と宮司によって作られた、対寄生用の武器だと思われます」 「大昔に‥‥?」 「寄生を斬り裂く武器は寄生から造られます。寄生を陰陽師や宮司が鉄に封印し、それを加工する。私があの寄生を撃った弾丸もそうやって造られました。寄生を斬り裂けるのは寄生だけだからです」  村正は無限一族に受け継がれている刀だった。だが、長らくその存在は確認されていなかった。  同じく受け継がれた古文書には「力を持つ物が現れた時、村正もまた現れる」と記されていたのみだった。  そして、その古文書の通り、父を失ったあの日に村正は現れた。あの影の中から‥‥‥ 「桃花さん‥‥?」 「あ‥‥‥‥はい。ごめんなさい‥まだボーっとしてて‥‥」 「大丈夫ですか?話ならまた後日に改めてでも‥‥」 「いえ、大丈夫です。続けて下さい‥‥」 「そうですか。では本題に入りましょう。あなたには、ヤタガラスのメンバーに加わって頂きたい」 74 名前:代理:無限桃花~黒い太陽~[age] 投稿日:2010/02/04(木) 23:08:23 ID:l0Je2gY6 「我々は寄生を倒す力はあるが、所詮は小物しか相手に出来ない。その小物ですら我々には荷が思い事すらある。桃花さんの力を是非、我々に貸して頂きたい」 「私に‥‥ですか」 「ええ。桃花さんの力は確認済みです。もちろんタダとは言いません。特別国家公務員としての身分が保障されます。区分としては自衛官と同じですが、こちらでの待遇はケタ違いです。 十分な報酬も用意されます」  ほぼ予想通りの提案だった。黒丸はウソは言っては居ないだろう。この話を受ければ、おそらく桃花の目標へたどり着くのも早まるだろう。国の職員として高い給料も貰える。  父からの財産を食いつぶして行く生活ともおさらばできる。だが‥‥‥ 「ごめんなさい‥‥私、一人のほうがいいです‥‥」 「そんな‥‥こんな話はたぶんもう無い。なにもあなたを支配下にに置こうという訳ではありません。むしろ桃花さんには我々を自由に使って貰って構わない。それに‥‥」 「‥‥‥ミルクティーご馳走様でした」  桃花はそう言って立ち上がった。とにかく、一刻も早くこの場から立ち去りたかった。 「桃花さん!」  黒丸が呼び止めるのも聞かず、桃花は走った。その胸にあるのは、ある恐ろしい疑問。  黒丸は言った。『寄生を倒せる力は寄生だけ』と。  あの日、村正は現れた。  桃花の身体の中から現れた黒い影。それは形を変え、村正となったのだ。  桃花の黒い影から。 『寄生を切り裂けるのは寄生だけ』  桃花の頭の中は、その言葉で溢れかえっていた。 ---- [[無限桃花~落つる天~まとめに戻る>無限桃花~落つる天~]]
*無限桃花~黒い太陽~ 「相手は一人だ!まとまってかかれ!」  一人がそう叫んだ。だが、その叫びと同時に黒い刃に貫かれ、その姿は影となり消えた。  刃を持つ者の背後から、異形の魔物が二匹、その者へ飛び掛かる。  刃を持つ者は振り向き様に刀を振ると、二匹の魔物はいとも簡単に両断され、消え去った。 周りは今だ魔物が囲んでいるが、追い詰められているのはむしろ彼ら魔物達のほうだった。 「おのれ、無限桃花‥‥これほどの数で挑んでも勝てぬのか‥‥‥」  魔物の一人、亜煩寄生は焦っていた。練刀寄生の後釜として四天王の座に収まったが、所詮は穴埋めに過ぎなかった。  練刀と同じ轍は踏まぬと、数十にも及ぶ配下を引き連れ桃花へ戦いを挑んだが、本来であれば名も無き寄生の一匹に過ぎない亜煩では桃花に敵うはずもなかったのだ。 「くっ‥‥‥‥無念だが今は退くしかあるまい。」  亜煩は配下の寄生数人に合図をし、撤退しようとした。残りの連中は囮として残しておけば逃げる時間くらいは稼げるはずだ。  だが、その動きすらも桃花には見破られていた。 「逃げられると思う?」  桃花は呟いた。そして村正を天へと突き立てると、その刀身からは影が煙のように吹き出す。その影はやがて黒い稲妻へと姿を変え、村正と、そして桃花の周りを激しく打ち付ける。 「爆ぜよ天‥‥‥」  その一言を合図に、黒い稲妻はまるで龍の如くうねり始めた。雷鳴は激しさを増し、黒い龍は辺り一面に降り注ぐ。  黒龍二左衛門村正。その銘はこの技から来ていた。 龍が通り過ぎると、そこには桃花と亜煩のみが立っていた。 「一人も逃がさない。特にお前には聞かなきゃならない事があるんだ」  亜煩は恐怖を禁じ得なかった。桃花の強さは知っていた。だが、一瞬にして配下を薙ぎ払うほどの力を秘めていようとは、予想だにしない事だった。 「お前‥‥四天王なんだろ?なら影糾の事は知っているよな?奴が私の妹をどこへ連れ去ったか知っているか?なんでもいい。知っている事があったら‥‥話して‥‥」」 「お‥‥俺は何も知らない!俺は運よく四天王の空いた椅子に収まっただけだ。影糾なんて会った事すらないんだ!本当だ!本当なん‥だ‥ガフッ‥‥」  亜煩が言い終わる前に、村正の切っ先が亜煩の肩へ突き刺さった。 「いい加減な答は好きじゃない」 「ほ‥‥本当なんだ!影糾に会った事があるのは悪世巣と婆盆、あと、あんたに殺された練刀だけだ!俺は練刀の後釜だが、本来はそんな器じゃねぇ。亜煩って名前も寄生らしくない適当に付けられた名前なんだ」  嘘を言っているようには見えなかった。 「また空振りか‥‥」  桃花は落胆の色を隠せず思わず天を見上げる。目の前の寄生は手掛かりを持っているどころか、名前の付いたただの寄生だ。さっさと始末してしまおう。  だが、そう考えている内に一瞬の油断を生んだのだ。  桃花が天から再び亜煩に目をやると、その姿は人のそれから巨大な蟷螂へと変わろうとしていた。  仮そめの姿を捨て、寄生本来の姿へと変わった亜煩は、その巨大な鎌で村正を桃花の手から薙ぎ払い、桃花は地面へ叩き付けられた。  一瞬だった。桃花は地面へ叩き付けられたダメージで視界が鈍った。ぼんやりとした目で見えたのは、今まさに、桃花の胸へ鎌を突き立てんとする、人の顔を持つ巨大な蟷螂だった。  これまでだーーー  蟷螂がそう言ったように聞こえた。だが、今の桃花には上手く聞き取れない。視界はまだ戻らない。  絶体絶命だったーーーだが 「そこまでだ化け物」  桃花は耳を疑った。誰かが来たのだ。寄生を感知できる人間は桃花以外は居ないはずだった。居るとすればそれは寄生と、寄生に憑かれた人間のみだ。  だが、亜煩の表情はそのどちらも否定した。 「お前は何者だ!?なぜ俺の姿が見える?」 「汚い口を閉じろ化け物。嫌でも今から俺が永久に塞いでやるがな」  現れたのはスーツ姿の男性。年齢は30代半ばくらいだろうか。一見すると整った出で立ちのサラリーマン風だったが、物腰はただ者ではない事を物語っていた。 「行くぞ化け物」  その男は懐から拳銃を取り出し、亜煩に狙いを定める。  有り得ない。桃花はそう思った。通常の武器では、寄生に傷を付ける事すら出来ないのだ。 だが、男が放った弾丸は亜煩の眉間を見事に貫いた。そして傷口からは、村正で切り付けた時のように黒い影が吹き出した。 「なぜ‥‥だ‥‥貴様は一体‥‥?」 「死に行く者が知っても無意味だ。さっさと消えろ化け物」  亜煩は黒い影となり、消えて行った。  男は亜煩が消えるのを見届けると、桃花へと視線を移す。そして朦朧とした意識の桃花に言った。 「無限桃花さんですね?探していましたよ」 「あなたは‥‥一体‥‥?」 「ここで話すのも何でしょう。傷の手当もしたい。我々のアジトへ来て頂けますか?」  男はそういうと桃花を抱え上げ、そのまま車で桃花を連れさった。  男のアジトだという場所は、驚いた事に霞ヶ関のビル内にあった。それは、男が所属する組織が国家機関である事を示していた。  桃花は簡単な傷の手当を受けた。病院での精密検査も受けないかと言われたが拒否した。  それよりも、早く男の話を聞きたかった。 「本当に大丈夫なんですか?遠慮する事は無いんですよ?」 「いらないわ。それより何で私をここへ連れてきたのか‥‥早く教えて。なんで寄生を殺せたのかも‥‥」 「解りました。お話しましょう」  男は紙コップに入ったコーヒーを差出ながら言った。だが、桃花はブラックコーヒーは飲めない。申し訳なさそうに男に紙コップを返した。 「ごめんなさい‥‥」 「気にしないで。代わりに何か飲みますか?」 「‥‥ミルクティーを」  男は黒丸と名乗った。黒丸の所属する組織は神社庁の秘密組織『ヤタガラス』。  その目的は、寄生を撃退する事だった。 「そんなのがあったんだ‥‥」 「我々の組織は遥か昔から存在します。文献に最初に現れたのは室町時代から。恐らくもっと昔から存在したと思われます」 「寄生を倒す為に?」 「おそらく最初は違ったはずです。寄生を倒す事は通常の方法では出来ない。だが、寄生を斬り裂く武器を作る事が可能となった時、ヤタガラスは寄生の抹殺を目的とした。 あなたの持つ剣も、大昔の刀匠と宮司によって作られた、対寄生用の武器だと思われます」 「大昔に‥‥?」 「寄生を斬り裂く武器は寄生から造られます。寄生を陰陽師や宮司が鉄に封印し、それを加工する。私があの寄生を撃った弾丸もそうやって造られました。寄生を斬り裂けるのは寄生だけだからです」  村正は無限一族に受け継がれている刀だった。だが、長らくその存在は確認されていなかった。  同じく受け継がれた古文書には「力を持つ物が現れた時、村正もまた現れる」と記されていたのみだった。  そして、その古文書の通り、父を失ったあの日に村正は現れた。あの影の中から‥‥‥ 「桃花さん‥‥?」 「あ‥‥‥‥はい。ごめんなさい‥まだボーっとしてて‥‥」 「大丈夫ですか?話ならまた後日に改めてでも‥‥」 「いえ、大丈夫です。続けて下さい‥‥」 「そうですか。では本題に入りましょう。あなたには、ヤタガラスのメンバーに加わって頂きたい」 「我々は寄生を倒す力はあるが、所詮は小物しか相手に出来ない。その小物ですら我々には荷が思い事すらある。桃花さんの力を是非、我々に貸して頂きたい」 「私に‥‥ですか」 「ええ。桃花さんの力は確認済みです。もちろんタダとは言いません。特別国家公務員としての身分が保障されます。区分としては自衛官と同じですが、こちらでの待遇はケタ違いです。 十分な報酬も用意されます」  ほぼ予想通りの提案だった。黒丸はウソは言っては居ないだろう。この話を受ければ、おそらく桃花の目標へたどり着くのも早まるだろう。国の職員として高い給料も貰える。  父からの財産を食いつぶして行く生活ともおさらばできる。だが‥‥‥ 「ごめんなさい‥‥私、一人のほうがいいです‥‥」 「そんな‥‥こんな話はたぶんもう無い。なにもあなたを支配下にに置こうという訳ではありません。むしろ桃花さんには我々を自由に使って貰って構わない。それに‥‥」 「‥‥‥ミルクティーご馳走様でした」  桃花はそう言って立ち上がった。とにかく、一刻も早くこの場から立ち去りたかった。 「桃花さん!」  黒丸が呼び止めるのも聞かず、桃花は走った。その胸にあるのは、ある恐ろしい疑問。  黒丸は言った。『寄生を倒せる力は寄生だけ』と。  あの日、村正は現れた。  桃花の身体の中から現れた黒い影。それは形を変え、村正となったのだ。  桃花の黒い影から。 『寄生を切り裂けるのは寄生だけ』  桃花の頭の中は、その言葉で溢れかえっていた。 ---- #left(){[[無限桃花~無限地獄に咲く花よ]]}#right(){[[無限桃花~雪と霊魂舞う大地~]]} ---- [[無限桃花~落つる天~まとめに戻る>無限桃花~落つる天~]]

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