「無限桃花~Woe to you longing for the justice~」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

無限桃花~Woe to you longing for the justice~ - (2010/02/24 (水) 01:01:42) の最新版との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*無限桃花~Woe to you longing for the justice~ 383 名前:無限桃花~Woe to you longing for the justice~[] 投稿日:2010/02/24(水) 00:58:29 ID:6OsO8DVX  モニターの画像はせわしなく無数の赤い点を表示していた。それは途方もない数で、日本地図の上を北へ、北へと移動している。  まるでそれ自体が一個の生命体のようだった。  黒丸の願いを聞き入れた南澤達の動きは早かった。あれから僅か一週間で、東京から北の地域には寄生感知の結界が設置され、それらの情報はすべて『ヤタガラス』指令室へと送られる。まだ正確な目的地こそ見えないが、寄生達は桃花の生まれた地、霊域・青森へ集結している。  三沢基地から飛び立ったRF-4偵察機に搭載されたアクティブ型の寄生センサーは、寄生達が青森の至る所へ紛れ込んでいると告げている。そこもかしこも、センサーが反応しない場所は青森には既に無い。  しかし、寄生達による被害の報告は無かった。不気味な静けさが支配していた。  桃花は指令室で寝泊まりしていた。事情を察した理子の配慮で桃花はタダで寝床を手に入れたのだ。  寄生の情報はここに居ればいつでも手に入る。だが、桃花は魂でそれを感知出来る。 ーーー彼方。  彼女の憎悪が膨れるのが解る。叫んでいるのが伝わる。「災いを!」と。 「‥‥連中は何がしたいんだ?ただ集まっただけで何をするでもない‥‥‥」  黒丸はしかめ面でコーヒーを啜る。すでに青森は結界だらけだ。寄生はいくらでも感知する。  桃花もこの不気味な静寂には何か意味があるとは感じているが、それが何かまでは感じる事が出来ないままだった。 「どうするつもりなんだろ‥‥?」 「桃花さん、この際寄生の目的はどうでもいい。何とか婆盆と影糾の居場所を感知出来ないんですか?」 「ごめんなさい‥‥そこまではどうしても解らないんです。でも‥‥‥」 「でも?」 「もうすぐ彼方は動き出すと思う。そうなれば‥‥‥」 「やはり‥‥。では待つしかないか」 「ええ。ごめんなさい‥‥‥」 「桃花さんのせいじゃないですよ」 384 名前:無限桃花~Woe to you longing for the justice~[] 投稿日:2010/02/24(水) 01:00:14 ID:6OsO8DVX  もうすぐ彼方は動きだす。  それは間違いではない。宇曽利湖では、既に魔道と現し世を繋ぐ門が開こうとしていたのだ。 「通りゃんせ。通りゃんせ。ここはどこの細道じゃ。天神様の細道じゃ。クスクスクス」  彼方は笑っていた。宇曽利湖の水面に不自然に立ち、細い身体で歌を歌いながら舞う彼方。  もうすぐだ。もうすぐ千年の大願が成就される。思いだす。憎い憎い。人間達。権力者達。憎い憎い憎い。あの時の怨み、忘れるものか  それが晴らされるのだ。笑わずにはいられなかった。  彼方は、怨みに顔を歪ませながら笑っていた。 「通りゃんせ。通りゃんせ。クスクスクス‥‥‥」  全ては天神の細道を通す為に。  異変は静かに訪れる。宇曽利湖の中心から、少しずつ少しずつ、山が現れる。  それは細長く天まで伸びて行き、頂上は雲で覆われて行く。その雲は、まるで血のように朱く染まっていた。 「クスクスクス‥‥もうすぐよ。姉さん。出来れば来て欲しくなかったけど‥‥多分来るよね」 「彼方よ。門の閂を抜く時は来た。さぁ。始めよう」 「そうね婆盆。ああ、アイツはどうしてる?」「今だ眠っている。だが何時でも目覚めるだろう。敵が来るまで力を貯めているのだろう」 「クスクスクス‥‥‥じゃぁ、うまくいけば姉さんも殺してくれるかもね」 「無限の天神が目覚め無ければ、だが」 「その時は‥‥私がやる。やりたくないけど。仕方ないよね」 「さぁ彼方よ。今こそ贄を捧げる時」 「そうね。じゃぁ、みんなここに呼ぶわ。一気にね」 「うむ。既に人が我等を探している。猶予を与える意味は無い」 「クスクスクス‥‥‥さぁ。闇の兵達。もうすぐこの世で動く為のエサをあげるわ。何千人集まったかしら。クスクスクス‥‥‥」 385 名前:無限桃花~Woe to you longing for the justice~[] 投稿日:2010/02/24(水) 01:01:12 ID:6OsO8DVX 「HQ、こちらスワロー1。現在高度五千フィート。速度四百ノット。センサー異常無し。地上センサーからも異常報告無し。いや、反応しっぱなしで意味が解らない」 『了解。スワロー1。現在の高度を維持。引き続き同空域の監視を続行せよ』 「スワロー1了解。左旋回する」  上空を飛ぶ偵察機RF-4のパイロットは地上への報告を終えると操縦桿を倒し来た道を引き換えした。  警戒レーダーの代わりに取り付けられたセンサーには何も映らない。何の為の装備かも知らされないまま飛ばされた彼は不満だった。 「ったく何を探してるんだ?」  それは彼の本心だろう。今来た道にはどうせ何も無い。また雲の海を滑り、地上へ内容の無い報告をするだけだろう。  そう思っていた。それを見る迄は。 「いくら暇でもこんな任務は無いな。基地にゃ何やら新しいミサイル来てるじゃねぇか。なのに俺は無意味なフライトだ」 『聞こえてるぞスワロー1」 「おっとこりゃ失礼。こっちは相変わらず快適なフライトだ」 『口を慎め』 「はいよ‥‥って、ちょっと待て。あれは‥‥‥」 『どうしたスワロー1?』 「ウソだろ‥‥?」 『どうしたんだ?報告しろ!』 「こちらスワロー1。宇曽利湖に何か出来てる」 『何だと?報告を繰り返せスワロー1!』 「こちらスワロー1。宇曽利湖に山が出現。なんだコレは?こんな細長い山は始めて見た」 『山?山だと言ったなスワロー1』 「だから山だ。剣みたいな細い山だ!」 『考えられん‥‥」 「実際見てる!‥‥って、ちょっとまて、何か接近してきた!」 『接近?何だ?見えるか?』 「ちょっとまて‥‥あれは‥‥‥マズイ!!」『どうした!何が来た!?』 「炎だ!炎が接近!凄い‥‥!炎の壁だ!回避行動をとる!」 『回避しろスワロー1!出来るか!?』 「今やってる!ダメだデカ過ぎる!炎が目の前に!炎しか見えない!ダメだ!包まれ‥‥‥‥」 『スワロー1!!応答せよスワロー1!!』 ---- [[無限桃花~落つる天~まとめに戻る>無限桃花~落つる天~]]
*無限桃花~Woe to you longing for the justice~  モニターの画像はせわしなく無数の赤い点を表示していた。それは途方もない数で、日本地図の上を北へ、北へと移動している。  まるでそれ自体が一個の生命体のようだった。  黒丸の願いを聞き入れた南澤達の動きは早かった。あれから僅か一週間で、東京から北の地域には寄生感知の結界が設置され、それらの情報はすべて『ヤタガラス』指令室へと送られる。まだ正確な目的地こそ見えないが、寄生達は桃花の生まれた地、霊域・青森へ集結している。  三沢基地から飛び立ったRF-4偵察機に搭載されたアクティブ型の寄生センサーは、寄生達が青森の至る所へ紛れ込んでいると告げている。そこもかしこも、センサーが反応しない場所は青森には既に無い。  しかし、寄生達による被害の報告は無かった。不気味な静けさが支配していた。  桃花は指令室で寝泊まりしていた。事情を察した理子の配慮で桃花はタダで寝床を手に入れたのだ。  寄生の情報はここに居ればいつでも手に入る。だが、桃花は魂でそれを感知出来る。 ーーー彼方。  彼女の憎悪が膨れるのが解る。叫んでいるのが伝わる。「災いを!」と。 「‥‥連中は何がしたいんだ?ただ集まっただけで何をするでもない‥‥‥」  黒丸はしかめ面でコーヒーを啜る。すでに青森は結界だらけだ。寄生はいくらでも感知する。  桃花もこの不気味な静寂には何か意味があるとは感じているが、それが何かまでは感じる事が出来ないままだった。 「どうするつもりなんだろ‥‥?」 「桃花さん、この際寄生の目的はどうでもいい。何とか婆盆と影糾の居場所を感知出来ないんですか?」 「ごめんなさい‥‥そこまではどうしても解らないんです。でも‥‥‥」 「でも?」 「もうすぐ彼方は動き出すと思う。そうなれば‥‥‥」 「やはり‥‥。では待つしかないか」 「ええ。ごめんなさい‥‥‥」 「桃花さんのせいじゃないですよ」  もうすぐ彼方は動きだす。  それは間違いではない。宇曽利湖では、既に魔道と現し世を繋ぐ門が開こうとしていたのだ。 「通りゃんせ。通りゃんせ。ここはどこの細道じゃ。天神様の細道じゃ。クスクスクス」  彼方は笑っていた。宇曽利湖の水面に不自然に立ち、細い身体で歌を歌いながら舞う彼方。  もうすぐだ。もうすぐ千年の大願が成就される。思いだす。憎い憎い。人間達。権力者達。憎い憎い憎い。あの時の怨み、忘れるものか  それが晴らされるのだ。笑わずにはいられなかった。  彼方は、怨みに顔を歪ませながら笑っていた。 「通りゃんせ。通りゃんせ。クスクスクス‥‥‥」  全ては天神の細道を通す為に。  異変は静かに訪れる。宇曽利湖の中心から、少しずつ少しずつ、山が現れる。  それは細長く天まで伸びて行き、頂上は雲で覆われて行く。その雲は、まるで血のように朱く染まっていた。 「クスクスクス‥‥もうすぐよ。姉さん。出来れば来て欲しくなかったけど‥‥多分来るよね」 「彼方よ。門の閂を抜く時は来た。さぁ。始めよう」 「そうね婆盆。ああ、アイツはどうしてる?」「今だ眠っている。だが何時でも目覚めるだろう。敵が来るまで力を貯めているのだろう」 「クスクスクス‥‥‥じゃぁ、うまくいけば姉さんも殺してくれるかもね」 「無限の天神が目覚め無ければ、だが」 「その時は‥‥私がやる。やりたくないけど。仕方ないよね」 「さぁ彼方よ。今こそ贄を捧げる時」 「そうね。じゃぁ、みんなここに呼ぶわ。一気にね」 「うむ。既に人が我等を探している。猶予を与える意味は無い」 「クスクスクス‥‥‥さぁ。闇の兵達。もうすぐこの世で動く為のエサをあげるわ。何千人集まったかしら。クスクスクス‥‥‥」 「HQ、こちらスワロー1。現在高度五千フィート。速度四百ノット。センサー異常無し。地上センサーからも異常報告無し。いや、反応しっぱなしで意味が解らない」 『了解。スワロー1。現在の高度を維持。引き続き同空域の監視を続行せよ』 「スワロー1了解。左旋回する」  上空を飛ぶ偵察機RF-4のパイロットは地上への報告を終えると操縦桿を倒し来た道を引き換えした。  警戒レーダーの代わりに取り付けられたセンサーには何も映らない。何の為の装備かも知らされないまま飛ばされた彼は不満だった。 「ったく何を探してるんだ?」  それは彼の本心だろう。今来た道にはどうせ何も無い。また雲の海を滑り、地上へ内容の無い報告をするだけだろう。  そう思っていた。それを見る迄は。 「いくら暇でもこんな任務は無いな。基地にゃ何やら新しいミサイル来てるじゃねぇか。なのに俺は無意味なフライトだ」 『聞こえてるぞスワロー1」 「おっとこりゃ失礼。こっちは相変わらず快適なフライトだ」 『口を慎め』 「はいよ‥‥って、ちょっと待て。あれは‥‥‥」 『どうしたスワロー1?』 「ウソだろ‥‥?」 『どうしたんだ?報告しろ!』 「こちらスワロー1。宇曽利湖に何か出来てる」 『何だと?報告を繰り返せスワロー1!』 「こちらスワロー1。宇曽利湖に山が出現。なんだコレは?こんな細長い山は始めて見た」 『山?山だと言ったなスワロー1』 「だから山だ。剣みたいな細い山だ!」 『考えられん‥‥」 「実際見てる!‥‥って、ちょっとまて、何か接近してきた!」 『接近?何だ?見えるか?』 「ちょっとまて‥‥あれは‥‥‥マズイ!!」『どうした!何が来た!?』 「炎だ!炎が接近!凄い‥‥!炎の壁だ!回避行動をとる!」 『回避しろスワロー1!出来るか!?』 「今やってる!ダメだデカ過ぎる!炎が目の前に!炎しか見えない!ダメだ!包まれ‥‥‥‥」 『スワロー1!!応答せよスワロー1!!』 ---- #left(){[[無限桃花~The war is coming near~]]}#right(){[[無限桃花~I am your sickness~]]} ---- [[無限桃花~落つる天~まとめに戻る>無限桃花~落つる天~]]

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
目安箱バナー