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*無限彼方大人編~あるなんて事の無い一日~
投稿日時:2010/10/19(火) 15:45:47
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空は青く、流れる雲はゆっくりと。
風は肌寒い。もうすぐ冬がやって来る。見上げる晴天とは裏腹に、空気の匂いは訪れる寒い季節のそれになりつつあった。
無限彼方はその空をぼーっと見上げながら、どこにでもある公園の、どこにでもあるベンチに座り、どこにでも売っているコーヒー飲料を飲みながら、ただぼーっとしていた。
彼女が今何をしているかと言われれば、何もしていないとしか言えない。
結論から言えば暇だったのだ。
やる事が無い。それが何日か続いていた。もし一度呼び出しがかかれば、彼女は一気に激務となる。
それ自体は彼女にとって対した仕事では無いが、忙しくなるのは間違いない。
なので、暇な時はここぞとばかりに思考を止め、ただぼーっと時間が流れるのを感じながら、ひたすらのんびりする。
ころころと、足元にボールが転がって来た。
それは青い、ゴムで出来た柔らかいボール。小さな子供用の玩具だ。
彼方はそれを拾い、どこから来たのかと思いながらそれをぐにぐにと握ったり。ふと横を見ると、小さな子供が物惜しそうに、それを見つめて立っている。
「コレは君の?」
「……うん」
少年は小さく頷きながらそう言った。彼方はそれを少年へと手渡し、ニコっと優しく微笑む。が、少年はまだ物惜しそうに彼方のほうを見たままである。
少し不思議に思ったが、彼方はすぐに理由がわかる。
彼方の横にあるコンビニ袋。そこから覗く、チョコのスナック。
「……欲しいの?」
「……」
「欲しいんでしょ?」
「うん……」
彼方は一つ。コンビニ袋からそれを取り出す。
辺りをきょろきょろ見回し、保護者が居ない事を確認してから少年にそれを渡した。もし親に見られたら何と言われるか。最近はヒステリックな保護者が増えているらしいので警戒は必要であった。
少年はありがとうと言い、スナックの袋を早速開けようとする。
が、なかなか開けられない。少年の腕力より袋の耐久性が勝っていたのだ。
仕方なく彼方がそれを開けようと袋を拝借。少年は彼方の横に座り、今か今かと待っている。
「はい。開けたよ」
少年は笑顔でそれを受け取る。
そして、幸せそうにスナックをかじった。
「お母さんは?」
「お仕事」
「一人で遊んでるの?」
「うん」
「今何歳?」
「六歳」
他愛の無い事をいくつか聞いてみる。
少年は簡潔にそれに答えた。正直、彼方よりスナックに夢中だったのだ。
少々生意気なガキだという印象だったが、自身の事を思うとさらに生意気だったかもと思ってしまう。育ての親は苦労しただろう。
彼方はニコニコしながら少年を見ていた。
感じていたのは、素直な愛おしさ。
空を見上げた。雲はちらほら流れていた。
そして、なんて事の無い時間が、ゆっくり流れて行く。
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*無限彼方大人編~あるなんて事の無い一日~
投稿日時:2010/10/19(火) 15:45:47
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空は青く、流れる雲はゆっくりと。
風は肌寒い。もうすぐ冬がやって来る。見上げる晴天とは裏腹に、空気の匂いは訪れる寒い季節のそれになりつつあった。
無限彼方はその空をぼーっと見上げながら、どこにでもある公園の、どこにでもあるベンチに座り、どこにでも売っているコーヒー飲料を飲みながら、ただぼーっとしていた。
彼女が今何をしているかと言われれば、何もしていないとしか言えない。
結論から言えば暇だったのだ。
やる事が無い。それが何日か続いていた。もし一度呼び出しがかかれば、彼女は一気に激務となる。
それ自体は彼女にとって対した仕事では無いが、忙しくなるのは間違いない。
なので、暇な時はここぞとばかりに思考を止め、ただぼーっと時間が流れるのを感じながら、ひたすらのんびりする。
ころころと、足元にボールが転がって来た。
それは青い、ゴムで出来た柔らかいボール。小さな子供用の玩具だ。
彼方はそれを拾い、どこから来たのかと思いながらそれをぐにぐにと握ったり。ふと横を見ると、小さな子供が物惜しそうに、それを見つめて立っている。
「コレは君の?」
「……うん」
少年は小さく頷きながらそう言った。彼方はそれを少年へと手渡し、ニコっと優しく微笑む。が、少年はまだ物惜しそうに彼方のほうを見たままである。
少し不思議に思ったが、彼方はすぐに理由がわかる。
彼方の横にあるコンビニ袋。そこから覗く、チョコのスナック。
「……欲しいの?」
「……」
「欲しいんでしょ?」
「うん……」
彼方は一つ。コンビニ袋からそれを取り出す。
辺りをきょろきょろ見回し、保護者が居ない事を確認してから少年にそれを渡した。もし親に見られたら何と言われるか。最近はヒステリックな保護者が増えているらしいので警戒は必要であった。
少年はありがとうと言い、スナックの袋を早速開けようとする。
が、なかなか開けられない。少年の腕力より袋の耐久性が勝っていたのだ。
仕方なく彼方がそれを開けようと袋を拝借。少年は彼方の横に座り、今か今かと待っている。
「はい。開けたよ」
少年は笑顔でそれを受け取る。
そして、幸せそうにスナックをかじった。
「お母さんは?」
「お仕事」
「一人で遊んでるの?」
「うん」
「今何歳?」
「六歳」
他愛の無い事をいくつか聞いてみる。
少年は簡潔にそれに答えた。正直、彼方よりスナックに夢中だったのだ。
少々生意気なガキだという印象だったが、自身の事を思うとさらに生意気だったかもと思ってしまう。育ての親は苦労しただろう。
彼方はニコニコしながら少年を見ていた。
感じていたのは、素直な愛おしさ。
空を見上げた。雲はちらほら流れていた。
そして、なんて事の無い時間が、ゆっくり流れて行く。
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