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守護機兵Xガードナー 第一話

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守護機兵Xガードナー

 CC(コスモセンチュリー)107年

 レイン・ダリューグは泣きじゃくる弟をなだめていた。
「シュートは男の子だろ?」
 それでもシュートは兄の服の袖にしがみ付いていた。
「レイン、そろそろ始めるぞ…」
「うん、わかった…シュート、父さんが呼んでるからそろそろ行かなきゃ」
「…う、兄ちゃん…いっちゃだめだょ…」
「大丈夫さ、"右眼"も安定してる。なぁに、ちょっとした実験だよすぐ終わるから」

 シュートはブリッジの特別席、艦長用の座席から兄の様子を眺めていた。
 白い機体、ガードナーX-0は球体型の無人兵器等と対時していた。
「開始しろ」
 艦長である父、アグリット・ダリューグが言う。
 白い機体に球体マシンが群がる。0号機は次々と球体を破壊していく。が、
「だめだぁっ!」
 シュートが叫ぶ。0号機の様子がおかしい。
「どうしたレイン」
『…く、"眼"が…!』
「実験は中止だ!」
 しかし、球体は無慈悲にも0号機に襲いかかる。

 それが、兄さんの最後だった。


 CC115年。人類が宇宙に進出して百余年が過ぎた時代。そして地球と火星との第一次惑星戦争。
 百年にも渡る戦争も地球の劣勢で終盤を迎えていた。


 シュート・ダリューグは逃げていた現状から、自分から、なにより他人から。そうやって生きてきたのだ。
 今だってそうだ。火星軍『ベルゼリーン』の軍人に自分から仕掛けておいて逃げている。中立地域とはいえ、気性の荒い火星軍の奴等が何をするか分からない。
 後先を考えないから後手で詰む。何かを成功した事は一度もない。自分すらろくに守れないんだ。シュートは人気のない裏道をひた走る。
「悪いのはベルゼだ。アイツ等が地球さえこなけりゃッ!」
 愚痴が漏れる。月を掌握した火星軍の次なる狙いは地球の支配だ。地球統合連合はいったい何をしている。
劣勢所の騒ぎじゃない。弱すぎだ、とハラワタが煮えくり返る思いだった。
「これだから軍隊は嫌いなんだ。自分等の考えを押しつけて」
 それでも、シュートは言うだけ逃げるだけ。ただ早く過ぎれば良いと思ってるだけだった。
 表通りに出た時、大きな爆音と悲鳴が響く。上を見上げると迷彩の機体と灰色の角付きの機体が対時していた。
「こちら03、やっぱりベルゼの奴等この街にいやがった…それに坊ちゃんも一緒だ。どうする艦長?」
『人命救助は駐在している軍の人たちに任せます。ライドさんは敵を町外れまで追い込んでください…ターゲットは私が直接いきます』
「OK、そっちは頼む。さあて…敵は量産型のギルガ一体、何とかならぁ!」
 03と言う迷彩の機体はブースターを展開、敵の角付きの機体、ギルガの所まで突進した。その両肩を掴んで街の外まで押し出す。
 ギルガも黙ってはいない。腕の機関砲を03の腹へと撃つ。03は掴んだ手を離し後方へ大きくよろける。
「さすが重装甲、耐えてくれるね」
だが何百発と叩き込んだ03の装甲は無事だった。
「次はこっちの番!」
 肘のパーツがスライドし右腕が大型の剣へと変形した。ドスドスと地を鳴らし接近する03。熱を帯びた刃はギルガを袈裟切りにして両断した。

 シュートは眺めている事しか出来なかった。人々が逃げる中、一人立ち尽くす。
「…シュート」
 自分を呼ぶ声がした。逃げまどう人の声の中にあるのに、それはハッキリと耳に響く。声を聞くのは一年ぶりだ。
「ルーナ?ルーナ・ルージュか…!」
「一緒に帰ろうシュート」

つづく

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