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厨二病万歳

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sousakurobo

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厨二病万歳

1941年12月8日。
この日、大日本帝国はアメリカ軍基地である真珠湾に奇襲攻撃を仕掛けた。
日本海軍が保有する全ての正規空母を用い、米海軍主力艦隊を撃滅せんとするのだ。
次々と空母を飛び立つ飛行機の中に、他とは明らかに違う異様な存在がいた。
零式艦上戦闘機の倍ほどの大きさをもち、プロペラがない。
さらに風防までもがない。これが飛行機だと聞いて、誰がそれを信じるであろうか。
やがて発艦の順番が回ってきた。
それは機体後部から噴射炎をあげ、滑走し飛び立っていく。
空母翔鶴、瑞鶴から三機づつ飛び立っていったそれは、先に飛び立った飛行機を追い抜かし
一旦広く旋回、攻撃隊長からの連絡を待った。
鋭い後退翼がしっかりと風をつかむそれの中で、パイロットの広瀬勝弘(ひろせかつひろ)大尉
は体の底から沸き上がる高揚感と、背に掛かる不安感を上手く 釣り合わせるべく必死だった。
それの他のパイロットも同様である。
なお後退翼とは、先端にゆくにつれ、機体後方に向いている翼のことだ。
ふと頭を巡らし、停泊している米戦艦に目をやる。
この機体には風防がないが、代わりにコックピットを埋め尽くすモニターにより、
外部が見えるようになっている。その為、普通の飛行機より視界が広い。
モニターに映る米戦艦は、敵愾心だけでなく、美しさも感じさせる。
広瀬は、そこに悲しさを覚えた。
何故兵器を美しく作ってしまったのか。何故それを壊さなくてはならないのか。
勿論何故かは知っている。
美しければそれは誇りになり、戦争は敵の誇りを打ち砕かねば、勝利は掴めない。
それがまた悲しいのである。
彼を我に返らせるように、攻撃隊長の淵田中佐から連絡がきた。
トラトラトラ。
奇襲成功を意味するこの電文に、広瀬はすぐさま反応し機体の速度を上げる。
米戦艦直上に来るやいなや、広瀬はスロットル近くのレバーをひく。
するとどうだろう、三角形の印象の強い機体が、変形していくではないか。
四肢が伸びていき、うつ伏せの様な姿勢の飛行機からまるで、いやまさに人型のロボットに
姿を変えたそれの名前は、特式戦闘オートマシン。通称鉄人である。
松戸斎園(まつどさいえん)技士によって作られたそれは彼が軍に無理矢理導入させ、
軍の金を使い完成した物だ。

ほとんどの者が懐疑的に鉄人を見る中で、とりあえず試験的にと、博打狂の
山本五十六(やまもといそろく)連合艦隊長官が今回の作戦に投入させたのである。
鉄人は次々に米戦艦に飛び乗り、右手に持つ10インチ無反動砲を艦後部に放ち、
左手に持つ3インチ機関砲で更に撃ちかける。
すると貫通して戦艦に浸水していき、どんどん沈んでいく。
六機ともそれに成功した。
すぐに戦艦から跳躍して離れ、無反動砲に再装填し目に入る船に撃つ。
また再装填し撃とうとしたが、艦爆隊が爆撃を初めた為、近くにある砲台を攻撃しに向かう。
艦爆とは艦上爆撃機の略称で、敵に向かって逆落としに急降下し、爆弾を叩きつける飛行機である。

鉄人の弾が射耗した頃、第二次攻撃隊が到着した。
第二次攻撃隊が攻撃を始めたのを見届け、鉄人は帰還した。
それからの戦いにも鉄人は参加し続け、そして敗れた。
しかし広瀬は終戦の日まで闘い、軍神とまで呼ばれるようになる。

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