創作発表板 ロボット物SS総合スレ まとめ@wiki内検索 / 「<君と刻んでいく 物語>」で検索した結果

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  • <君と刻んでいく 物語>
    海も空も青く、どこまでも澄みきっていて、風は優しく穏やかに私の頬をくすぐる。空に輝く太陽は元気に、私達が居るクルーザーを眩しく照らしている。 私は空を見上げる。遠く遠く、このまま宇宙まで見えるんじゃないかって位、空は綺麗な青色を描いている。 というか空を見ていないと精神衛生上、危ない。 甲板の先端、白く塗装された鉄製の縁に寄りかかり、純白に青い水玉模様がワンポイントなワンピース。 頭をすっぽりと隠す程の、大きな麦わら帽子を風で飛ばない様に両手で押さえ、海を見ていた彼女が、私の方に振り返る。 太陽をバックに、白く透き通った繊細な肌が印象的な彼女は、柔和な微笑みを浮かべて心配そうに、私に言った。 「酔ってない? マキ」 ……あぁ、乗り込む前に色んな酔い止め薬を大量に摂取……。 駄目だ、視線を下げるとクルーザーの酔いを感じてしまい、胃から何かが昇って来てしまう。...
  • ROST GORL
    ...er s Day> <君と刻んでいく 物語> <蒼色花火> <the Pinocchio Girl> 前・後 <桜ノ雪> <アンドロイドはバレンタインの夢を見るか> <~sunny day funny~> <散髪記念日> イラスト
  • prologue:行き先は、色褪せゆく大地。
     ――――とある世界の、遠い遠い未来のお話。  とてもとても大きな戦争があった。  全てを無に還すその戦いは、世界の全てを更地にして、やがて終結した。  その戦争で、人々の記憶に、何代にも渡る消せない傷を残した力の象徴。  人はそれを、自動人形と言った。  ――――そして、その世界とは、別の世界のお話。  むかしむかし、世界はゼロに戻された。  理由はわからない。だが確かに、世界はゼロに戻ったのだ。  だが、人々は希望を捨ててはいなかった。  何も無くなった世界を人と共に作り直していった、同じ世界の同居人。  人はそれを、機械人形と言った。  ――――これは、そんな自動人形と機械人形、そしてそれらにまつわる人々の物語。  混迷を極めるこの街で――彼らと彼女らは明日を咲かす。 ■Tuern×Para Bellum!...
  • ROST GOAL×カインド オブ マシーン
    ROST GOAL                                   ×                              カインド オブ マシーン 原作協力:青森さん ◆wHsYL8cZCc                                  まだティマが、体も心も少し幼かった頃のおはなし。 北風が吹き荒れては、通行人を容赦無く寒がらせた挙句に風邪を引かす、乾いた空の下。 中身がどっさりと入った紙袋を、その男は両腕で抱き抱えて、トボトボと帰路を歩いている。男の名はマキ・シゲル。どこにでもいる、平凡な男だ。 マキが今歩いている、緑色の木々が美しかった帰路の街路樹は、季節が変わるにつれて寒々しくなってしまった。今は大量の枯れ葉が風に舞っているだけである。 マキが抱き抱えている紙袋の中には、一週間分の食料が入っている。一人...
  • 白鷹
    ――――――――――――――――この物語はあくまで一片に過ぎない―――――――――――――――― 残骸。かつて人という生き物がそこで生き、住み、子を託しては死んでいった……その残骸の山を、男は歩く。 無慈悲な破壊と死、暴力によって崩落し、消えていった人々の居住区は、月日を得、コンクリートによる灰色の砂漠となる。 歩く度に感じる死者の無念を、男はその足元でひしひしと感じ、静かな怒りを燃やす。その怒りの対象は―――――――――イルミナス、なる組織。 イスミナスを自らの敵と認識し、須らく滅する事こそが、男の存在意義であり、生存証明である。 今日も一人、男は黒色のロングコートを深く羽織り、頭部にフードを被って灰色の砂漠を一歩、一歩と踏みしめていく。 フードから見える男の目は暗く、しかし暗さの中には、確固たる意志を現す焔が消える事無く燃えたぎっている。 男のズボン、腰の部分...
  • case by case
    ROST GOAL                                   ×                              カインド オブ マシーン 原作協力:青森さん ◆wHsYL8cZCc                                  まだティマが、体も心も少し幼かった頃のおはなし。 北風が吹き荒れては、通行人を容赦無く寒がらせた挙句に風邪を引かす、乾いた空の下。 中身がどっさりと入った紙袋を、その男は両腕で抱き抱えて、トボトボと帰路を歩いている。男の名はマキ・シゲル。どこにでもいる、平凡な男だ。 マキが今歩いている、緑色の木々が美しかった帰路の街路樹は、季節が変わるにつれて寒々しくなってしまった。今は大量の枯れ葉が風に舞っているだけである。 マキが抱き抱えている紙袋の中には、一週間分の食料が入っている。一人...
  • ロボスレ学園プレゼンツ ヴィルティック・ラジオ 第一回
    「と……言う訳で。メルフィー!」 「スネイル!」 「……ん? あ、あぁ、隆昭の」 「「「ロボスレ学園プレゼンツ! ヴィルティック・ラジオ!!」」」 メルフィ―「と、言う訳で始まりましたヴィルティック・ラジオ略してヴィルラジ! パーソナリティは私、メルフィー・ストレインと」 スネイル「正式名称は時間の都合により省略。マチコ・スネイル。そして」 鈴木「何だかよく分かんないけど、鈴木隆昭の三人でお送りします。……で、何なんだ、この良く分からない企画は。てか何かテンションおかしくないか、メルフィー」 メルフィ―「繋ぎです!」 鈴木「へっ?」 メルフィ―「裏事情を話す事はあまり望ましくないのですが、件のアレがよりによってタイトルの時点で止まっていて、それも1字も書けずに止まっているらしいのです。       ので、あまり停滞していても申し訳ないだろうと急遽! 今回のラ...
  • 第6話
    HARU×haru                             夢の様な、奇妙な悪夢の話。             異なる世界に存在しており、決して出会う筈の無かった、同じ因子を持つ人間同士が、出会う。出会ってしまった。                片方の人間は、この物語の主人公であり、変わらぬ平穏な日々を謳歌する、普通の少女、神守遥。        片方の人間は、距離も、次元も、時空も超えながら、とある目的を成就せんと終わりなき戦いに身を委ねる、普通を逸脱した少女、一条遥。            本来ならばまず、出会う機会が無い「遥」と「遥」。お互いの存在に驚嘆しながらも、同じ「遥」として強く絆を結びあう、二人。              不可思議で、現実味の無い非現実な現実の中でも、しっかりと絆を育む二人の前に、ゼノクレスなる破壊者が現われ何もかも壊し尽くす。  ...
  • <桜ノ雪>
    ROST GORL 真昼間。眩い太陽が人々を照らし出し、ポカポカとした陽気というよりも、じわりと額に汗が滲む様な気だるい暑さを感じる。 今日の夕食か、あるいは数日分の買い出しか。子連れの主婦等で賑わう、都内のとある大型スーパーの入口手前で、そのイベントは行われている。 如何にも予算が無いという事を示すかの様な、古びた木材や色褪せた看板から、貧しい印象を受ける屋台の中で、ガラガラの騒がしい音が響く。 現在、一定金額以上、買い物をしてくれた買い物客限定で、一等から七等、言わば残念賞まで揃えてのガラガラを使ったくじが行われている。 暑さのせいか、それともそういう体質なのか、ダラダラと汗を流しながらやけにテンションの高い髭面の店員が、引換券と引き換えにガラガラを客に回させる。 そして結果が出る度、ありがとうございましたぁ! またのご利用をお待ちしております! と言いながら残念賞のポケットテ...
  • ビューティフル・ワールド 第九話 獰猛
    重なり合う、視線と視線。目と、目。初めての面識ということもあり、二つの眼は動く事無く、互いをじっと、見つめている。 片方は大きくて丸く、純真さと誠実さを秘めた黒い瞳、もう片方は、淡い琥珀色で、見ていると吸い込まれそうなほどに澄んだ瞳。 時が止まったような錯覚を覚えながらも、黒い瞳の少女、一条遥は、琥珀色の瞳の少女に、自らの名前を教える。 「一条……一条、遥です」 少女は遥の返答に小さく頷くと、代わりに自らの名前を、遥に伝える。 「一条遥……覚えやすい名前ね。私はリシェル」 「リシェル・クレサンジュ。貴方も、本が好きなの?」 遥はリシェルの問いに正直戸惑う。ただ本を拾うのを手伝い、謝って立ち去ろうとしたが、まさか質問されるとは思わなかったからだ。 それに過失はおそらく自分にある。ここで答えずに隆昭達の元に戻ると、後で確実に心の中がもやもやする。遥...
  • R×R×R 下
                                   ――――――――――――――――――――― 「それは……本当なのかい? 遥ちゃん」 ルガ―からの質問に、遥はこくん、と頷き、俯いたまま、答える。 「師匠はあの剣の光から、私とリヒタ―を護る為に身を呈して……」 「行方が知れなくなった……と」 <ヘ―シェンも同じ様に光に飲み込まれたのか?> <ヴァイス・ヘ―シェンはリヒト・エンフィールドを助けに行く、と> <そうか……> 「きっとあの二人なら戻ってきますよ。何たって、ウチのエースなんですから」 そう言って、明るい笑顔を見せるまどか。そんなまどかに、力強く頷く遥達四人。 「けど、あの光の正体って何なんだろうね」 「きっとオーラロー何とかとか、マク―空何とかですよ!」 「あのーリタちゃん、今はボケる所じゃないんだけど」 ...
  • エピローグ・0
                               ヴィルティック・シャッフル                               エピローグ・0 ―――――A.D,2060。人類は異星により採掘した新機軸のエネルギー、アイルニトルにより格段の進歩を遂げていた。 長期に渡るアイルニトルの研究により、開発された巨大ロボット、アストライル・ギア。非常に強度と汎用性に優れたそれにより、人々は自らの生活圏を地球から宇宙へと広げる。 その内、人々はブレイブグレイブなる、アストライル・ギアを使った大衆娯楽を生み出した。目覚ましい科学の発展による、素晴らしき未来……ここまでなら。 ブレイブグレイブは世界中を巻き込む程のムーブメントとなる―――――が、その裏で少しつづ、破滅の足音へと忍び寄っている事に、誰も気付かなかった。 何時頃だっただろうか、さる世界大...
  • 兎死すれば狐これを悲しむ
    しろ(ヒソヒソ声で) 「というわけで始まりました、私、しろとたまねえさまがお贈りする、『兎死すれば狐これを悲しむ』タイトルに深い意味はありません。  ……ねえさま、ラジオ始まりましたよ、ねえさまー」 たま(睡眠) 「んん……あと30分……」 しろ 「つまり一人でやれと」 たま(眠い) 「……大丈夫だ、おまえなら一人でもできるだろう」 しろ(たまを揺すりながら) 「うさぎはさみしいと死んじゃうんですよー」 たま(唸りつつ) 「それは迷信だろう。眠いんだ……明日に繋がる今日くらいそっとしておいてくれ」 しろ(迫真) 「じゃあ添い寝させてください」 たま(迫真) 「暑いからやめろ」 しろ 「ならばウェイクアップ、スタンドアップ。終わりの無いディフェンスでもいいので起きてください」 たま 「やだ、攻めたい。守ったら負け」 しろ 「お...
  • タルタロスバックヤード4
    ガチャ、ギィイ…… コラージュ「バックヤードへようこそ」 ~タルタロスバックヤード~ コラージュ「さぁはじまりましたよ『バックヤード』。今回のお相手は――?」 ミコト「グラインドハウスのヒロイン!ミコト・イナバです!よろしくおねがいします!」 コラージュ「はいよろしく。本編では面識無いけどね。」 ミコト「そうだねー。今回のテーマは?」 コラージュ「今回はこれ。『キャラクタービジュアル』!」 ミコト「つまり、キャラデザ?」 コラージュ「うん」 ミコト「……小説でそれを語るのもなんか変じゃない?」 コラージュ「いまの時代キャラが可愛くなければ人気出ないからね。」 ミコト「そんなことないと思うけど……ちょっと待って」 コラージュ「なに?」 ミコト「もしかして、私がこんな外見(...
  • シンブレイカー 第八話
     天照恵は疲弊していた。  立っているのがやっとなほどの肉体の疲労は、トン単位の重量を持つ巨人の四肢を動かすに 想像以上の体力が必要だったためだが、それよりも辛いのは精神的な疲労だった。  急ごしらえのパイロットスーツは内側が冷や汗でぐっしょりと濡れ、不快である。 食いしばった歯は痛いほどだ。前髪が額に貼りついて邪魔になっている。  南の大学付近に第3の『×』が出現したことをうけて、まず頭によぎったのは『どこでシンブレイカーと 『×』をぶつけるべきか』というある意味最も重要だが、同時にどうでもいいことだった。  それよりも優先すべきは志野真実の安全だというのに。  結局、予め決めていた通りに何人かの研究員を迎えに行かせたのだが、彼らから志野真実に逃げられた という報告を受けたときは正直めまいがした。  逃げたくなる気持ちもわからなくはないが、事情を話すわけにもいかない。...
  • 第5話
    せっかく出発前、遥が用意してくれた可愛らしいワンピースは今や雨水に汚されており、所々に痣や切傷を作っている一条の姿も合って非常に痛々しい。 揺らいていた意識を回復させようと何度も首を横に振り、一条は立ち上がろうとする。 だが、コンクリートで成形された出入り口の壁面に、背中を強打した為だろうか。立ち上がろうとしても、呼吸が荒くなって手足が震える。立ち上がる事を体が拒否している。 本来、一条は普通の人間よりもずっと頑丈で回復力も高く、大した病気もしなければ怪我をしても短時間で治ってしまう体質である。 しかし、それはあくまで精神的に前を向いている、つまりポジティブで勝機を見いだしている状態での話だ。 今の一条は、リヒターの必死な行動にも屈しなかったゼノクレスの強さと、油断した事で窮地を招いてしまった自分への情けなさ。 そして何より、目の前でリヒターが破壊させようとしているのに、何も出来ない悔し...
  • 第一幕 異世界にロボットを持ち込んだ阿呆《地球人》
    「皆さんお揃いですねー? お揃ってなくてもお話を進めちゃいますけどねぇー」  本日はお日柄も宜しく絶好の昼寝日和の昼下がり、柔らかい土の上に青々とした芝草の布団に寝ッ転がっていると 金髪の幼女が空気も読まずにパンパンと手の平を叩いて甘ったるい声をあげた。  皆さんって言っても、この場にいる人間は僅か三人しかいねェ。  まず一人目、俺。  二人目は俺の隣であぐらをかいて、あくびを噛み殺しながら、幼女の言葉を待つ茶髪の少女。 名前は三日月《みかづき》芹菜《せりな》。年齢は恋に恋するお年頃。  初対面で屈託の無い笑みを浮かべながら「趣味は山で高山病を患うこと」と言われた時は正直、引いた。  そして、三人目。少し離れた所で俺達に背を向けて腕を組み、今の私は不機嫌なのだと全身で訴えている黒髪の少女。 名前は八重坂《やえざか》初音《はつね》。年齢は見ての通り、難しいお年頃。  因み...
  • 第9話
    (5) 今、二つの熾烈な戦いの内の一つに、終止符が打たれようとしている。 ようやく空を濁らせていた暗雲が消え、青い空が覗く。そんな清々しい青空と、燦然と輝く太陽の元で、二人の男が対峙する。 一人は、手元に握っている拳銃の銃身を変形させ、剣の様な形状にすると共に、銃口からビームによって成形された刃を放出させている白いスーツの男、ハクタカ。 そしてもう一人は、鍛え上げられ、完成された筋肉を赤いスーツ越しに誇示する、己の拳のみを武器とする男、シロガネマッスル。 二人の距離は遠からずも近からず。しかし互いに踏み込めば即座に、戦闘状態となる。なのだがどちらも、自ら踏み込んでこようとはしない、 荒野で相手が振り向くのを待っているガンマン同士の如く。鞘から刀を抜き、隙あらば一刀両断せんとする武士の如く。 先に動いた時点で、勝負が決まる。そう考えている為か、ハクタカもマッスルも、自ら動こうとはしない...
  • <3,動き出す(後篇)>
    「どういう事なのか、説明してもらいたいな」 眉を吊り上げたトニーが、腕組みをしてシュウイチとメルティを交互に見比べた。テーブルの上には、出来たての美味しそうな朝食が並んでいる。 シュウイチは申し訳無さそうに俯き、メルティはニコニコと笑顔のままだ。むしろこの状況を楽しんでいるようにも見える。 「昨日酔いつぶれてしまったのは俺の責任だ。それは謝ろう。……けど、こう言う事はすぐに説明してもらわないとホントに困るんだよ」 「ごめんなさい……疲れてる貴方を見ると、とても起こす気にはなれなくて」 上目遣いで答えるメルティに、トニーは顔が赤くなる。だが首を横に振り、強めの口調で返答した。 「いいかい、メルティ。今の俺達には誰かを雇う余裕も無ければ金も無いんだ。それに……分かるだろ」 トニーは言葉を止め、メルティに目線を送る。その目が何を言いたいかを、メルティはすぐに理解する。 ...
  • 第四幕
     北国へと向かう、エドたち一行。北国は、トンネルを抜けた先にあるといいますが、そんな戯言を抜かすのはハル子だけであったので、エドはまるっと無視しました。まん丸だけに。  ハル子はぶーぶーと文句を言ったのですが、所詮はまん丸人工無能。余計なことばかりくっちゃべるうえに、まったく役に立たないあたりが情けない限り。  エドはエリーと共にグレゴリオンの肩にいたのですが、次第に気温が下がってきたので、コックピットでハル子の文句に付き合うか、それとももうちょっと暖かい場所を探すか、しばし悩みました。  とりあえずしばらくは、とコックピットにもぐりこめば、ハル子がまたしても文句を言う始末です。  曰く『エリーとぴったりくっつくのはけしからん。すこぶる死んでください』というものだったのですが、  そもそもコックピットに二人は乗りすぎだし、おまけにコックピットの容積をとっているのが、そのハル子ことHAL‐8...
  • ビューティフル・ワールド 第一話 遭遇
                                    パラべラム                                    ×                              ヴィルティック・シャッフル 言いしれぬ重圧に心折れぬ様に、青年は球体に自らの掌を乗せ、ただ前へと気を集中させる。 彼の目下には半透明で蒼色に発光するパネルが広がっており、青年が掌を乗せている球体からは、無機質な数本のラインがパネル上に扇形となって伸びている。 青年の周りには近未来的な計器や物体がバランス良く配置されており、また、青年の目の前には大きなモニターが、外の様子を映し出す。 目の前に見えるのは、遠く遠く見えている、出口かもしれない白く光る穴。だが、何時まで経ってもその穴へと到着する様子は無い。 青年が視線をその穴へと凝視させているのは、早くこの空間...
  • CR ―Code Revegeon― プロローグ
    モノが焼ける臭い。 たんぱく質の燃える臭い。 死を身近に感じさせる臭い。 そんな臭いの中で黒峰潤也は目を覚ました。 「う…。」 意識が朦朧としている。潤也は何が起こったのかを思い出そうと、深呼吸した。 それと同時に煙を吸い込み、咳き込む。パニックを起こしていて思考がまとまらない。 何が、一体何が起こっている。 ポケットからハンカチを潤也はポケットからハンカチを取り出して口を覆った。 周囲を見渡す。辺り一面焼け野原だ。 何故こんな所に自分はいるんだろうか…。 そう思った時、潤也は先ほどまで何をしていたかを思い出した。 父と母と妹で旅行に来ていたのだ。最近話題の秘湯があると旅行雑誌に書かれていたのが発端で、母の誕生日祝いに妹と自分で金を出し合い家族旅行に行く事になった。 そうしてこの地にやってきて、家族で散策をしていた筈だ。 ならば、何故、そう何故ここにいる? 夢...
  • 廻セカDaZ 用語集
    用語集 ■揺籃島  物語の舞台にある島であり、一応東京都の伊豆諸島に指定されており、八丈島から少し左にいった所に存在し、一部の人間からは「神の住む島」と呼ばれる。 元々は自然で出来た小さな島であったが、第二次世界大戦以降、国から大幅な援助・改修プランを経て島の大きさは東京都の半分くらいになっている。そのため、新しく増設された土地にある繁華街や工業地区などは都心のそれと変わりはない。  島の反対側は大きな自然の森林と山々が広がるが、その一方戦争により廃墟となった地区がそのまま放置されている。 ■セカイ  この世を構成する原子。原子論のその回答であり、別名「0の中の0」とも呼ばれる。 この世の全ての有機物、無機物を構成する原子である。 ■リーゼンゲシュレヒト  ドイツ語で"巨人族"を意味する。その名の通り、全長数メートルのロボットのような姿になれる...
  • ビューティフル・ワールド 第七話 小波
    一切の光を拒むかのような暗闇の中、一人の男が姿を現す。その男は暗闇に同化する様に黒いスーツで身を包んでおり、表情は伺えない。 すると男の周りに円卓を組むように、5体の彫刻がライトアップされて姿を現した。 精巧に、かつ非常にリアルに作られたそれらの彫刻は、動物達の頭部を模している。左から猿、象、狼、猪、虎の順で並んでおり、異様な威圧感を感じる。 男は彫刻達を一瞥すると、真ん中に鎮座する狼に向かって背筋を伸ばし、深く一礼した。 『報告せよ、ノイル・エスクード』 狼が男――――ノイル・エスクードなる人物に、思慮の深さが伺える渋い声でそう言った。 ノイルは体を起こすと、胸ポケットから携帯電話大の大きさのリモコンを取りだした。リモコンには只一つ、赤いスイッチがあるだけのシンプルな仕様だ。 リモコンを天井に向けてノイルはボタンを押した。すると天井からノイルの背後...
  • 守護機兵Xガードナー 第五話
    第五話 「まったくよぉ、侵攻軍の連中も暇なこった。夜になったら寝むるのが地球じゃ決まりなんだぜ?」  パイロットスーツに着替えたライドは文句を言いながら、ガードナーX03のコクピットに入る。 「職業軍人、残業ご苦労さんって事で…まぁウチら正規じゃないから手当も無いんだろうけどさ」  Xガードナー隊は軍とは切り離された特別な権限を持った独立部隊だ。  基本任務は要人護衛や拠点防衛が主な作戦であり対抗勢力や敵対組織へ直接、侵攻や追撃は基本的に行わない。 「守りの部隊でも自衛の攻撃はアリなんだよなぁ…ドール少尉?」  全包囲モニターに小さなウィンドウが現れX02のサイバ・ドールが映し出される。 『…うと呼ぶな』 「何だって?ウチは階級が無いんだ、気軽に呼ばせてもらうぜ?ド」 『サイバだ』 「あぁ…サイバね、俺の三号機は後方支援型だから前を頼むわ!」 『要らん…お前のこそ足...
  • capter2 「悪夢」 SIDE A
    この物語はどのような物語だと言えるのだろうか?  一人の男の戦いの物語。  是。  これは苦難に満ちた男の戦いの物語である。  一人の男の復讐の物語。  是。  これは復讐以外の何物でも無い物語である。  一人の男の後悔の物語。  是。  これは後悔に満ちた物語である。  だが、そのどれもがこの物語の全てを抱くにたる言葉では無い。  もし、この物語がどのような物語かというならば、こう称するのが一番だと言えるだろう。  この物語は自分が間違っているのだと知った上で、それでもその歩みを止める事が出来なかった男の物語なのである。  だから、この物語は王道では無い、王道とは正しき道を行く物語であるのだから…。  それでは皆様、CRの第二幕「悪夢」の始まりでございます。  また、長い時の間、皆さまに...
  • capter2 「悪夢」 SIDE A 前編
     この物語はどのような物語だと言えるのだろうか?  一人の男の戦いの物語。  是。  これは苦難に満ちた男の戦いの物語である。  一人の男の復讐の物語。  是。  これは復讐以外の何物でも無い物語である。  一人の男の後悔の物語。  是。  これは後悔に満ちた物語である。  だが、そのどれもがこの物語の全てを抱くにたる言葉では無い。  もし、この物語がどのような物語かというならば、こう称するのが一番だと言えるだろう。  この物語は自分が間違っているのだと知った上で、それでもその歩みを止める事が出来なかった男の物語なのである。  だから、この物語は王道では無い、王道とは正しき道を行く物語であるのだから…。  それでは皆様、CRの第二幕「悪夢」の始まりでございます。  また、長い時の間、皆さまにお付き合い願う事になりますが...
  • ハルタカラジオ
    チッ、チッ、チッ、ポーン ロロロロボスレベイFM 隆昭「隆昭!」 遥「遥の!」 隆昭・遥「ビューティフル・ワールド特別企画! ハ・ル・タ・カ・ラジオー!」 「この番組は、紳士よ大志を抱け、ロボット物SS総合スレと オートマタの未来を見据える エンダ―ズステイの提供でお送りします」 隆昭「と、言う訳で始まりましたハルタカラジオ。パーソナリティはヴィルティック・シャッフルで主人公を務めさせていただいております。    どこにでもいる平凡な高校生、鈴木隆昭と」 遥「パラべラム! の主人公を務めております、ロボスレの看板娘こと、一条遥がお送りいたします! 早速だけど隆昭君、説明宜しく!」 隆昭「はいはい。この番組は、様々なコーナーで、ビューティフル・ワールドを通して    ヴィルシャとパラべラムの魅力を伝えながら、ロボスレを盛り上げていこう! とい...
  • REVELLION 第三章 策士篇
     傭兵集団シュトゥットガルト。その集団は国を自ら作り、誰にも縛られぬ道を選んだ。  封鎖された国は独自の技術を身につけ、エッセンに次ぐ技術国としても名高い。  だが、一年前に謎の部隊の奇襲により、国は弱体化していた。  地下に潜り、息を潜ませて戦力を蓄え、ようやく復活したシュトゥットガルトを狙う国は少なくない。  その国の一つ要塞都市ミュンヘン。世界の五分の一を占める大国がシュトゥットガルトを狙う理由は一つ。  国主ガイの強かさだ。その男、死んだ魚のような目をしているが、それは裏を返せば瞳から心が読めないということだ。  若さのみの王。他国からそう揶揄されても知る者は知っている。  ガイの恐ろしさを。  一面を木が覆う深い森林。上空から見れば永遠に続くとも思われる木の支配する土地にぽっかりと空いた穴。  木が抉り取られ、土色の大地が覗いている。 ...
  • Episode 03:今僕にできる事の最大限を。
     城塞都市ブラウニングは、レイチェルから車で南へ三時間程の場所にある。  レイチェルのそれよりもずっと大きい防壁は苔むしていて、見る人に威圧感と安心感という相反する感情を抱かせた。  街をぐるりと囲んだ防壁の所々にある検問は人や車、馬車やオートマタ――――様々な物や者でごった返している。  その中には、やおよろず連中を乗せた車とトラクター ――――タウエルン――――の姿もあった。  渋滞、渋滞、大渋滞。いつまでたっても動き出さない長蛇の列を見て、うんざりするスーツ姿のリヒト。 「おいおい、いつになったら前に出れるんだ……」  普段はもっとスムーズなのだが、何故だか今日はちっとも動けない。やはりアウロラの件で人が殺到しているのだろうか。 「まあまあ、ゆっくり待とうじゃないか」  同じくスーツを着たルガーがネクタイを緩めた。密閉された車内はやはり暑い。 「オーナー、お姫様特権...
  • グラウンド・ゼロ 第19話
     開戦してから半月も経たないうちに勝負は見えてきてしまっていた。  連合がわにつく国は少しずつ減っていき、その数は初期の3分の2にまでにな った。これでは最初に計画していた作戦の進行に支障が出てくる。  各国首脳は悩んでいた。  歩行要塞を落とすにはどうすればよいのか。  敵の補給ルートを断つという作戦は初期の作戦と平行して行っていたが、すで にこの半月の間に成功の見込みがどんどん薄くなってきている。  全戦力を一気に投入すれば倒せる可能性も、ゼロではないかもしれないという 程度だが、ある。だがもしそうなって敗北したら、本当に取り返しがつかなくな る。しかも短期決戦は向こうも望むところなのだ。  遠距離からありったけのミサイルを叩き込むのは、歩行要塞のミサイル迎撃装 置の性能を知っていたら考えもしないだろうし、AACVまでも加わったらミサ イルが命中する確率はいよい...
  • 「Epilogue.」
     『Diver s shellⅡ』  「Epilogue.」  例えば自分そっくりのナニカがそこに座っていると仮定して……いや、まどろっこしいことは抜きにした方がよいだろう。  つまり、自分そっくりのガノロイドが、あろうことかゴスロリ系の服を着て目の前に座っている、そんな状況だった。髪や耳、瞳を除外した、身長体格顔つきがそっくりなのだ。  ブロンドの毛を左右で少しずつ結んだ髪型、銀フレーム眼鏡、リクルートスーツ。社長姿のアイリーンが、両手を気持ち悪く組み合わせた後、傍らのガノロイドの肩をぽんと叩いて見せる。  「君を呼んだのは他でもない!」  「売るなよ!」  「何故分かった!」  「分からない奴が馬鹿なんだ!」  合わせた手を解除するや否や、身を乗り出してくるアイリーン。ジュリアはその顔をむんずと押しのけ、首をぶんぶん左右に振った。  一...
  • 犬も歩けば棒に当たる 放送リスト
    珍獣:リタ・ベレッタと! まどか:まどか・ブラウニングの! 二人:犬も歩けば棒に当たるー! 珍獣:改めまして、お久しぶりです。リタ・ベレッタです。    世界を驚かせる旅に我々もお供致します。    まずは……武士道いってみよう。    武士道しゅっぱーつ! まどか:ブシドーとは、死ぬ事と見たり! 珍獣:とことで始まりましたね、犬も歩けば棒に当たる! まどか:はじまりましたねー。 珍獣:正直何をやる番組なのか私もよくわからないんですけど、 まどか:えっ? 珍獣:せーしんせーい頑張っていきたいと思います! まどか:が、頑張っていきたいと思います! ……あの、リタさん、今なんか非常に不安な事を言ったような気がするんですけど。 珍獣:とことで、まずはお葉書からいきましょう! まどか:あ、は、...
  • CR ―Code Revegeon― 三章スタッフロール
    STAFF ROLL キャスト 黒峰潤也(主役なのに出番がないと怒られました) 琴峰藍(ヒロインなのにry) 時峰九条(出番が多くてホクホクだったようです) シャーリー・時峰(ゲロ吐くシーンの多さに凄く悩み、色々薬を飲んで無理して吐いたのだとか…。) 秋常譲二(そのうち、シャーリーみたいな主役回が来ると信じているようです) 秋常貞夫(そろそろ格好いい役やりたいなと思っているようです) 琴峰雫(最近、バイオリンを始めました) 柳瀬恵(実は新進気鋭のアイドルとして売りだそうと事務所から打診が) アテルラナ(笑いすぎて喉を壊したそうです…最近つきまとうイメージがイッちゃってる系になってきてて悩んでるとか) クリフ・ブラウン(やっと出番きたと喜んでいる人です) 久良真由里(急に決まった三つ編み設定で髪を伸ばさないといけなくなり、苦労したそうです。) ...
  • 第二幕
    ひょんなことから、謎のロボット『グレゴリオン』に乗り込むこととなってしまったエドという少年。  しかし本人としてみれば、そんなのまっぴらごめんな運命なので、当然のように反発してはロボットを降りました。  ついでに勝手に動かれると困るので、制御プログラムだか何だか、HAL‐800という丸っこい物体も引っこ抜いてきました。  これにて一安心、問題もなし。と行けばよかったのですが、エドを取り巻く周囲というものは、ものすごい勢いで変化していくのです。  まずエドが集落を歩いてみて気がついたことは、まとめてお亡くなりになったモヒカンたち悪漢よりも、突如として現れた破壊の権化、グレゴリオンの方を皆が恐れていることでした。  むしろモヒカンたちには同情するものの方が多い有様。確かにやりすぎたことは認めるところですが、それだって自分の意志ではないのに……と、エドはやや虚しくなります。 『そう悲観するもので...
  • ビューティフル・ワールド ヴィルティックプラクティス
    ヴィルティックシャッフル×パラべラム! 一人では充分な程に広いコックピットが、やけに窮屈に感じる。ひしひしとした切迫感が肌に突き刺さる。 額から滝の様に流れる冷や汗を掌で振り払って、青年――――――――鈴木隆昭は、ヴィルティックの操縦桿となる二つの蒼白い半球体に両手を触れる。 半球体は隆昭の思考を読みとったかの如く、蒼く眩く発光する。すると球体より一瞬蒼色の光が放たれ、複雑に絡みあっているコントロールパネルのラインを這う。 ヴィルティックは隆昭の思考を反映して、項垂れていた頭部をゆっくりと見上げる。頭部が上を向くと同時に、隆昭の周辺のモニターが上下して空の様子を映し出す。 膠着状態を揶揄する様な薄暗い暗雲が立ち込めており、そこに青い空は見えない。まるでこの勝負の勝敗を表している様で、隆昭は複雑な心境になる。 ネガティブな心境に浸っている場合ではない。隆昭は一呼吸して心身...
  • captar2 MAIN 承 前編
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  この物語は悪意に満ちている。  だが、悪意とはそれに対となるものが存在して初めて悪意となるのだ。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  男が初めに持ったのは憎悪であった。  激流のような憎悪、業火のような憎悪。  それは男が家族を失った際に抱いたものだ。  理不尽。  この世界には理不尽がある。  あり得る筈の無い、説明のつかない理不尽がある。  だから、男はその理不尽に対して復讐を誓った。  己の全てを奪った悪意に悪意を持って、立ち向かった。  そんな男が得た力は強奪の力。  相手から命を奪う力。  命を残滓を己の力へと変換する力。  そんな力を行使する男が誰かを救える筈も無いのがま...
  • capter4 「アークの覚醒」 スタッフロール&エピローグ
    CR4 『アークの覚醒』 STAFF ROLL キャスト 黒峰潤也 琴峰藍 時峰九条 黒峰咲 現実主義者/木崎剣之助 道化師/アテルラナ 鉄の処女/セレーネ・リア・ファルシル 皮肉屋/クリフ・ブラウン 貴婦人/ナガル・クルガ・ラッハ 企画・脚本・演出・全裸 古時計屋 キャラクターデザイン 遅筆 DaZの人 メカニックデザイン 遅筆 226 動画制作 TロG https //www.youtube.com/watch?v=quh6SxGLkgc https //www.youtube.com/watch?v=7XHmJIk0TnA DaZの人 https //www.youtube.com/watch?v=wpESpi4ttBs http //www.youtube.com/watch?v=...
  • 妖魔設定
    妖魔基本設定  とりあえず人の敵という役割です。  誤解なきよう補足しますと、この設定はシャドウミラージュの為のものだけではなく、この世界グランドアースという箱庭の為の設定であります。   その為、シャドウミラージュでこれらの設定が全て使われると言う事はありません。  あくまで世界観がこんな感じなんだと感じとってもらえれば幸いです。 【妖魔】  東の大地の覇者達。  姿形は個体によって大きく異なる。  主食は生物の肉。  それは人間も例外ではない。  また人間の心臓を食した場合強大な治癒を得られる為。  人間を便利な妙薬として見ている。  それ故に、圧倒的な戦力差がありながらも人は滅ぼされてはいない。  妖魔の中には人間を飼う感覚でいるものもいる。  故に人間の敵であり、倒すべきもの。  また妖魔の中には己の姿を人のようなものにする事が出来る者もいる。...
  • シンブレイカー 第十九話
     足下の砂利を踏み鳴らして、私は星の少ない夜空を見上げた。  かなたに見えるはずの下弦の月は雲の向こうに姿を隠している。 その様がまるで都市の光から逃げているように見えて、私は生まれてはじめてこの街に良くない感情を抱いた。  畑の真ん中の自販機コーナーでは3台の自動販売機が薄ぼんやりと周囲を照らしている。 道路を挟んだ向かい側には駐車場があったが、今は自動車の姿は1台もなかった。  視線を横にやると、道路からこの自販機コーナーを隠すようにそびえ立つ大きな貸看板の裏側が目に入る。 (この看板があったから、私が飛び出すのに気づけなかったんだな……)  私は道路の左右を見渡して、自動車の気配が無いことを確認してからその真ん中に立った。 スマートフォンのライトで足下を照らすと、アスファルトの真ん中に引かれた白線が闇に浮かぶ。 そこに私はかすかな変色のあとを認めたが、よほど注意深く...
  • capter1 「怨嗟の魔王」 SIDE C前編
    それは一瞬の出来事だった。 大地に舞い降りた漆黒の鋼機は腰から引き抜いた大きな黒槍をその場にいた天狼の喉元に突き刺したのだ。 機体から紅い閃光が走り、その閃光は軌跡となって、天狼の機体になだれ込み、黒槍の矛先に収束していく…。 矛先の空間が歪みはじめる。 その歪みは紅の光を通し、一点の大きな光となっていく…。 そうして集められた光を漆黒の鋼機は黒槍にあるトリガーを引く事で解放した。 閃光。 それは指向性を持った強大なエネルギーとなって黒槍の矛先から解放され天狼の巨躯を体の中から蝕む。 それは貯蓄した力の全てを放出するように天狼の体の中を駆け巡り、その肉体を陵辱し、その存在を蹂躙し、それがそこにいたという事実を消滅させていく…。 そうして天狼は塵芥残さず消滅した。 この間、漆黒の機体がこの大地に舞い降りてから、わずか5秒の出来事である。 なんという威力か―― ...
  • <the Pinocchio Girl> 前
    ロボット物総合SSスレ   2周年目記念作品 深い暗闇の中、大型モニターがぐるりと囲んで、彼女を照らしている。鮮明ながらも決して彼女の眼球機能を傷つけない、淡く優しいモニターの光。 彼女は耳元の専用ヘッドフォンに流れる情報を受け取りつつ、扇形キーボードを高速でタイピングし、激流の如く流れる情報のライフラインに、余す事無く目を通す。 少しでも異常があればすぐさまワクチンソフトを投与し、途切れている部分があれば直ぐに繋ぎ合せる。次々と用件は増えていく為、瞬時の判断が必要となる。 「5地区E-7不良箇所発見。至急ワクチンソフト、sI-8投与」 「27地区R‐13修理箇所の対処、完了」 「678地区B-20悪質なウイルス確認の為一定時間ブラックアウト。早急の対処を求む」 三メートル前後の卵を思わせる、緩やかで滑らかな形状の巨大なカプセル内に座り、彼女は途絶える事...
  • capter1 MAIN 後編(上)
    意志の話をしよう。 この世のありとあらゆる生物は意志の力を持っている。 それは強くあろうとする意志であり、生きようとする意思であり、夢を追う意志である。 ありとあらゆる生物の原動力はこの意志の力であるといっても過言ではない。そしてその意思の力こそが生物に進化する力を与え続けてきた。 猿が人になったのもその一例であるといえる。つまり意志の力こそが生物の力と呼ばれるものの根源であるといえる。 ありとあらゆる大業も意志の力を伴わなければ果たすことはできない。故に意志の力は強大なものであるといえた。 そして意志の力こそが唯一進化と呼ばれるモノへの指向性を持つ力なのだ。 一つの意思が少しづつ、その生態系を変化させていったようにその意思が一つの所に何千、何万と集まる事になるのならば、それは強大な力となる。 だが、この意志の力は形が無い力でもある、雲のように掴めないもので、あると理解は出...
  • 3-エピローグ
    【エピローグ】 夢を見ていた。 始まりはなんだっただろう…。 ああ、そうだ、母の笑顔だ。 母はいつも優しかった。 母は劇団『幻想館』の花形だった。 母の操糸は誰よりも綺麗だった。 糸を使ってまるで自分が空を飛んでいるように見せたり、遠くにあるモノを糸で使ってもってきてまるで物体が意思を持ったように動かす一族の技能、剣糸術を使い、見に来たお客さんに幻想を与えていた。 そんな母を持っていたのがあたしの何よりの自慢だった。 あたしは母のようになりたかった。 だからあたしがお母さんに糸操りを教えてもらうようにお願いしたのは自然な事だった。 初めてそう母に教えてお願いしたとき、母は少し困った顔をした。 そうして母はこういった。 「剣糸は一歩間違えれば人を傷つけてしまう、そんな危ない技能なの、だからね、お母さんと一つ約束しよう。絶対この技を他人を傷つける為に使わない...
  • シンブレイカー 第十三話
     夜が明けた。  私は朝食を終えると家を飛び出し、大学への通学路ではなく織星山へ向けて自転車を走らせた。  そこそこの距離を走り、昼前に織星山の麓へついた頃にはもう汗だくだったので、少し喫茶店で休んだあと、 自転車を駐輪場に置きっぱなしにして、中腹の展望台までを往復するバスに乗った。  駐車場に下りるとアスファルトの照り返しが下から顔をあぶってくる。私は手で扇を作りつつ展望台の、 例の写真を撮った場所に向かう。  本日も女木戸市は快晴で、見晴らしの良い風景が広がっていた。  私は景色をひとしきり堪能するとショルダーバッグから魔学スマートフォンを取り出す。  わざわざ大学をサボってここまできたのは行楽のためじゃない。私はカメラモードを起動した。  カメラモードを『サイコメトライズ』に変更。1枚写真を撮る。 そこにはハーレーをバックに私と誰かの白い影が笑い合う光景が写ってい...
  • 第四話 「仕事? 遊び?(前)」
     『Diver s shellⅡ』  第四話 「仕事? 遊び?(前)」  ジュリアはふと思った。  「見て~! これぞ南国ってヤツよねぇ~!」  休日と仕事を両立することは出来るのだろうかと。  それと、私は何をしているのだろうと。  際どい南国風ビキニを着たクラウディアの声を尻目に、青い空と青い海に白い砂浜の上の長椅子に腰掛けると、『月光』を口に咥えて先端に火を灯した。  入り江にある椰子の木……正確には星の入植者に植えられたものの葉が潮風に揺れて音を立てた。  ジュリアとクラウディアはα12遺跡に潜った後、ひとまず帰宅して、さっそく次の日から機体の整備作業や引き上げたものの選別作業を開始した。大して時間をかけずに作業は終了。月が9月に変わる頃にはもう一潜り行けるようになっていた。  無論ぶっ続けの作業の所為で疲労は蓄積する。そん...
  • 「意味」 中篇
    さて、突然で難だが物語の語り部は彼女から僕になる。僕が何者かは後々分かるよ それでだ、青年型に誘拐された彼女は何者なのか、そして青年型の正体とは…… とそんな微妙な伏線を、人類が全滅した過程と共に明かしておこう。おっと、心配は要らない。見せ場はちゃんと彼女に託そう さぁて、では彼女と青年型が語る「彼」いわゆる「博士」と呼ばれる人物について語っておこうか 彼の名は……おっと何だったかな。僕も忘れ草が付いてて困る。……いかん、本気で思い出せない そうだ、先に青年型が語っていた人類とロボットの衰退と戦争、そして滅亡の歴史について語ろう まず人類が初めてロボットを開発した…は凄く長くなっちゃうので残念ながら省略。またの機会に 彼女が回想していた1NE系統が、本格的に生産ラインに乗って、人々が日常的に酷……ではなく共に生活していた時代だ そんな日、「博士」及び「彼」……今後は「...
  • 第一〇話 「ネオ・バイラム」前編
    「はぁ、はぁ、はぁ」  薄暗い回廊をひたすら走る。辺りを見渡しても電灯の光が窓から入ってくるだけで、どこにも人影らしい物 は何も見えない。同じような扉はどこもかしこも口を閉ざし僕の求めている物を教えてくれない。 「マリア!」  僕は大声で彼女の名前を呼ぶが当然のように返事がない。聞こえてくるのは風の音だけだった。 「どこへ行ったんだ?」  辺りを見渡し、彼女がいるかもしないと希望を載せて手短な部屋の扉を開けてみる。  しかし彼女の姿はどこにも見えなかった。  再び別の部屋の扉を開くがどこにも彼女の姿は見えない。 「マリア!」  再び彼女の名前を呼ぶ。聞こえてくるのは僕が叫んだ言葉だけだった。  あのとき、学園祭で彼女が最後に言った言葉を思い出す。 「さよなら、セイヤ」  その顔がとても悲しくて、とても辛くて、とても切ない。 「くっ、どうすればいいんだ?」  壁を思いっきり殴る。壁が大き...
  • 第4話【トライアングル】Aパート
    「それでは、機甲騎士についての講義を行います。耳をかっぽじってよく聞いて下さいね」 「は、はい」 「返事はイエスマイマムです」 「イエスマイマム!」  キルデベルタ内コクピット。操縦席に座った由希音は、前方のモニターに映るオドレイの言葉に耳を傾けた。  モニターの端では、デフォルメされたオドレイが指揮棒片手にこちらを見据えている。由希音専用キルデベルタにのみ搭載された補助AI、【オドレイmk-Ⅱ】だ。  初めて騎士を駆る由希音のため、オドレイが超速度で取り付けたらしい。改めてオドレイの熱意を感じ取ると共に、由希音は彼女への感謝の念で一杯になった。  ここまでしてくれているのだから、自分もその熱意に答えるほかあるまい。 「まず基礎知識から入りましょう。機甲騎士とはどのような存在でしょうか」 「……巨大な騎士、鋼鉄の騎士……ですか?」 「模範的な回答です...
  • <1,望まぬ用心棒>
    遠い遠い未来のお話。 とても大きな戦争があった。それはそれは大きな戦争で、大地の殆どが焼き畑になったと言っても、過言ではない程に。 何時だっただろうか。各国の代表者達が軒並み亡くなった事で、戦争は唐突に終わりを告げた。最早戦争など出来ぬ程、世界は、人々は力を無くしたのだ。 戦争は人々を不幸せにした。その代わり、戦争は格段に工業技術を進歩させた。そして、それらの技術は全て兵器に費やされた。 兵器の中にはもちろん、ロボットも存在する。しかしロボット達がもたらしたのは幸福ではない。 自動人形と呼ばれたそれらは、人々の記憶と心に癒せぬほどの傷跡を残した。そしてその記憶は、何世代にもわたって受け継がれるだろう。 これは、その自動人形と旅をする一人の男の物語である。 星空も無い、濁った夜空をその飛行船は飛んでいる。まるでどこかに着地するかを選んでいる様にゆっくりと。 ...
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