トレアン・ブレス
「これが、白夜樹…?なによ、毒草って言うわりには綺麗じゃない…」
シリウスもやはり女の子と言ったところか、キラキラと光る木々に目を奪われていた。
「すごーい!雪みたいに溶けてるよ!」
ルーラが駆け出し、木に触れようと…っておい!!
「ルーラぁああぁあ!!」
「はひぃ?!!?」
僕が大声でルーラの名前を叫ぶと、驚いたのかルーラは硬直した。
「全く、どういう神経してるんだ!毒草だって言っただろ!
しかもそれを素手で触ろうとするなんて!野蛮にも程があるよ!」
「ふぇ…ご、ごめんなさい…」
ルーラはしゅん、とし俯いた。…ちょっと言い過ぎたか…?
い、いやいや、でも素手で触って毒でもあったらルーラの手が大変な事になってたんだ!
と、なぜか僕は自分に自分で言い訳をする。
「そうね、ルーラはちょっと猪突猛進過ぎるところがあるんだから」
ぽん、とシリウスがルーラの肩を叩いた。
「これからは気をつけるのよ?」
「う、うんっ!気をつけるっ!」
シリウスの一言に、ルーラは元気よく頷いた。
さて、と…
「ちょっと待ってろ」
僕は毒素のマナをも防げる錬金術師用の白手袋を装着する。
ひらり、と落ちてくる葉を受け止める。
見たところ…どうやら、マナの変化に敏感な植物らしい。
僕は皮の袋とチョークを取り出し、軽く魔方陣を描く。
「こんなものかな」
魔方陣が光り、光が袋を優しく包んだ。
「わあ!なになに、すっごい!何が起きてるの??」
ルーラが歓喜の声をあげる。
「袋にマナを量を固定させる魔法をかけたんだよ」
僕は少し得意げにそう話すと、もくもくと袋の中に葉を採取する。
この魔法がかかっている間なら、葉も溶ける事はない…はずだ。
「こんなもんでいいか?翔」
「あ、ああ。サンキュ!」
僕は十分な量を採取すると、袋を翔へと投げた。
翔はそれを片手で受け取った。
…と、あとは…。
「?どうしたんだ、ブレス?」
「いや、これだけマナが強い場所だ。僕が探してる石も…ひょっとしたらここにあるのかもしれない」
キョロキョロとあたりを見回す。
木の根っこが大量に絡まった地面と壁。
少し掘れば見つかる可能性がある…かもしれない。
と、思ったその時だった。
グルルルル…
ズドン!!と大きな地響きと、唸り声。
…マナが強いからまさか、と思っていたが…
「皆、気をつけて…!この感じ…すごく強い魔物がいるよ!」
プラチナが弓を構える。翔もそれに倣い剣を取り出す。
…その瞬間、壁が大きな音を立てて崩れ落ちた。
「グルルルルル…ッ!!」
「…!!」
飛び出したのは黒々とした毛で覆われた猛獣。
その猛獣はどうやら、この樹を主食としているようで、口の鋭い牙からは白い白夜樹の液体が零れ落ちている。
…どうやらまだ、僕たちには気付いてないようで、白夜樹しか見ていない。
「みんな…気をつけて。この魔物…毒を持ってるよ」
プラチナが魔物に気付かれないように囁いた。
…毒を持った魔物ほど厄介なものはない。
「メンドーな魔物が出てきたな…獲物は手に入ったし、逃げるのが得策じゃねーか?」
「そうね…厄介な戦いは私も避けたいわ」
翔の言葉に、シリウスが賛同する。
…出来れば僕もそうしたい。…そうしたいけど。
僕は魔物が壊した壁の後ろに見える、きらりと光る鉱石から目が放せなかった。
あれは、間違いない…流星の石だ…!!
最終更新:2012年07月27日 03:03